[ホロライブ同人小説]:『ホロゲート』第5章
第5章 暴龍と白銀
森で放浪するココ見つけたノエルとフレアは採掘場へ入ったココを足止めするべく作戦を立てた。ホロゲートの影響を受けた者を止めるためには一度意識を奪う必要がある。フレアはココを足止めするべく麻酔矢を持ってきていた。これをココに打ち込むことができればココは眠りに就き意識を奪うことができる。しかし、ドラゴンは皮膚のほとんどが硬いうろこで覆われているため、矢が刺さらないのである。よって、喉仏などの皮膚の柔らかい部分を狙うため正面からの攻撃が必須であった。フレアの狙撃の隙を作るのがノエルの役割であった。
ノエル「フレア、準備はいい?」
フレア「ごめん、ノエル。危険な役割を任せて。」
ノエル「ううん。平気!フレアは団長が守るよ!」
2人は見合った後に行動を起こした。ノエルはドラゴン化しているココの真っ直ぐ走っていき、50メートルほどまで近づいたところで大きな声で呼びかけた。
ノエル「ココ会長!ノエルです!分かりますかー?」
ココはノエルの声に反応を示し、ゆっくりと振り返った。
ノエル「ドラゴン化を解除してお話し―」
ノエルがそこまで言いかけた時だった。ココの尻尾がムチのようにしなり、ノエルを叩いた。ノエルは間一髪でそれを躱した。尻尾で叩いた地面は大きく陥没し、その破壊力を物語っていた。ノエルとフレアはココが会話できるような状態ではないことを再認識して、当初の作戦通り麻酔矢を打ち込む準備をした。ノエルはフレアが狙えるような位置へ誘導すべくココに背中を向けて走った。ココは翼を羽ばたかせ飛び上がり、ノエルとの距離を飛翔し縮めた。距離を縮められたノエルは振り返り、その場にあった直径150センチメートルほどの岩を片手で持ち上げると飛んでいるココに目掛けて投げた。その岩は勢いがほとんど落ちないままココへ命中し、ココは地面に墜落した。すかさず、ノエルは墜落して仰向けになっているココのおなかの上に乗り、足元に向かって正拳突きをお見舞いした。ココはうめき声をあげ尻尾でおなかの上にいたノエルを弾き飛ばして体勢を起こした。体制を起こしたところに、フレアが喉仏目掛けて麻酔矢を放った。放った麻酔矢は見事命中し、ココは動きを止めた。フレアは命中を確認して飛ばされたノエルに駆け寄る。
フレア「ノエル!無事!?」
ノエルに意識はなかった。ノエルは正拳突きをしたタイミングでココ会長の意識を奪えると思っていた。しかし、ドラゴンの耐久力はすさまじく、予期しない攻撃を防御なしで受けてしまったのである。その時だった、ココがゆっくりと起き上がった。麻酔矢の効果は強力で命中すればドラゴンと言えど、丸1日は気を失うものであった。
フレア「なんで!?ココ会長がまだ動けるの!?」
ドラゴンの皮膚の大半が鱗で覆われているが鱗の無い部分でも皮膚が厚く、矢が深くまで刺さらないのである。ノエルの正拳突きで気を失わなかったのも、この皮膚の厚さからであった。
ノエル「うぅ。」
ノエルが意識を取り戻した。それと同時にココもノエルとフレアに気がついた。
フレア「ノエル、動ける?」
ノエルは頭を強く打っているためか一度立ち上がろうとするが、膝から崩れてしまった。
ノエル「フレア、逃げて…。」
ココはフレアとノエルに向かってブレスを撃つ体勢になる。
フレア「大丈夫。私が付いてるよ。」
ノエル「ダメ…。」
ココはノエルとフレアに向かってブレスを放った。フレアは動けないノエルをに覆いかぶさるような体制をとり、逃げることはしなかった。
ブレスが2人に到達する直前に光り輝く何かがノエルとフレアのところに着地した。
シオン「《黒魔術防御結界》(ダークネス・バリアー)‼」
光り輝く何かは光速で駆け付けたシオンであった。シオンが呪言を唱えると三人の周囲に結界が展開された。その結界が三人をブレスから守った。
シオン「シオン参上!」
シオンは片手を腰に当て、もう片方でピースサインを目元に置いて決めポーズをした。
フレア「シオンありがとう。」
シオンは状況を把握してハッと真剣な顔になった。ノエルの様子を見て肩掛けポーチから小瓶を取り出した。そして、小瓶を開け中身をノエルに飲ませた。小瓶の中の液体を飲んだノエルは回復していき、体が動くようになった。
シオン「今のは、ちょこ先生からもらった回復ポーション。どう?」
ノエル「うん。さっきより、体が軽い。」
ノエルの全回復を確認して三人は作戦を立て始める。ドラゴンの鱗は硬くほとんどの場所に矢が刺さらない。皮膚が柔らかい正面側も皮膚自体が分厚いため効果が薄い。また、ドラゴンの攻撃は強力で防御なしで食らってしまうとたとえノエルでも致命傷となる。
フレア「麻酔矢が効かないなら、ココの足止めもできないし、みんなタダでは済まないよ。」
シオン「皮膚が薄い、口や鼻の中を狙うのは?」
フレア「確かに、それなら効果あるかも。でも、角度的に地上からは口や鼻は狙えない。」
ノエル「団長が何とかしてみる。ココ会長をさっきみたいに仰向けやうつ伏せに倒せば地面からでも口や鼻が狙えるはず。」
フレア「ノエル、あまり無理はしないで!さっきだって…。」
フレアは心配でたまらなかった。
ノエル「ごめん、さっきは防御できなかっただけ。次はうまくできる。」
シオン「シオンも全力でサポートするよ。」
シオンがポーチから小瓶を出した。それは耐久値向上のポーションであった。ただ、使用後の副作用が強いため、“どうしてもの時”に使うように言われていたものであった。
シオン「実はちょこ先生から耐久値アップのポーションを―」
ノエルはシオンの話を最後まで聞かず、ポーションを飲み干した。慌ててシオンが効果や副作用の説明をした。
ノエル「大丈夫。よし!これで勝てるね!」
フレア「この脳筋女騎士!」
フレアが呆れたように言った。三人は顔を見合わせた後、ココへ同時に突撃した。シオンは高速で空中を飛び回り、ココの注意を引いた。その隙にフレアとノエルが距離を詰める。フレアがココの尻尾攻撃の射程圏内に入り弓を引いた。ココはフレアに気づき尻尾攻撃をする。透かさず、ノエルが尻尾とフレアの間に入り攻撃を受け止めた。ノエルはそのまま、尻尾を掴みココの動きを止める。フレアが引いていた弓をココの顔を目掛けて射った。その矢は煙幕であり、ココの顔の周りを覆った。ココは翼を羽ばたかせて煙幕を含む周りのものを吹き飛ばした。ノエルはココの上空にいた。シオンの黒魔術によって高く飛び上がったのであった。そのまま、ココの脳天へ自由落下しながらココへ正拳突きをかました。正拳突きによってココの顎が地面に強く叩きつけられ、あたりは砂埃が大量に舞った。
ノエル「フレア!」
ノエルのその掛け声に合わせて砂埃から弓を引いているフレアが勢いよく飛び出し、地面に付けているココの顔目掛けてほぼ0距離で矢を射った。その矢は皮膚の薄い、鼻の粘膜に命中した。ココは動き出そうとしていたが数秒で眠りに就いた。ノエルとフレアはその場にへたり込んだ。シオンは上空から降りてきて、2人に回復ポーションを渡した。
フレア「それで、眠っているココ会長はどうやって運ぶ?」
ノエル「…どうしよう。」
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