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【ホロライブ小説】『七彩大戦』:第1章 運命の出会い

「悟(さとる)」はしがない大学生。
明日までの課題を終え深夜の公園へランニングに来ていた。
悟はランニングを終え、ベンチに座って夜空を眺めていた。
悟は周りが濃い霧に包まれていることに気が付いた。
「なんだこれ?」
悟が戸惑っていると霧の中に人がいるのに気が付いた。
目を凝らすと、7人の美女が取り囲んでいるようだ。

悟は驚いて立ち上がり、目を大きく見開いた。
「どうやらキミが『七彩大戦(なないろたいせん)』の『観測者(オブザーバー)』みたいね」と「宝鐘マリン」に声を掛けられた。

「なないろたいせん?オブザーバー?何を言ってるんだ?」

混乱している悟には7人から『七彩大戦』について知らされた。
「100年に1度、密かに『七彩大戦』が『気まぐれな神』の主催のもと、行われているにぇ」と巫女姿の「さくらみこ」が教えてくれる。
「その『七彩大戦』ってなんなんだ?」
悟は声を震わせながら聞き返す。
「『七彩大戦』は『プレイヤー』と呼ばれる異能者を7人集めて、最後の一人になるまで戦う儀式でござる」
悟を刀を腰に差している少女「風真いろは」が教えてくれる。
「『オブザーバー』は現代の人間の中から戦いを見届ける人をランダムに選んでるんだよ」と魔女っ子姿の「紫咲シオン」が補足する。その笑顔は混乱している悟をどこかあざ笑うように感じた。
「あなたはその『オブザーバー』に選ばれた」とオレンジ髪のギャルである「小鳥遊キアラ」が肩を組みながら教える。
「もちろん、辞退することもできるよ!でも、『オブザーバー』になるのもメリットがあるの」と心配そうに鎧を纏う「白銀ノエル」が補足する。
「最後の一人になった『プレイヤー』と『オブザーバー』は『気まぐれな神』によって願いを一つ叶えてくれるんだよ」と得意気に角の生えた少女「百鬼あやめ」が教えてくれた。

一通り説明を終えると「どう?分かりましたか?」とノエルは混乱している悟の顔を覗き込むように尋ねた。
悟は未だに状況がつかめず、返事をすることができなかった。
「あぁ、どうやら混乱しているようだね」とキアラは頭をかきあげながら困ったような表情をした。
「戦闘が解禁されるまでは1ヶ月あるんだから誰かつきっきりで教えてあげたら?」とみこが提案した。
「じゃあ、みこちゃんが教えてあげなよー」とシオンが煽った。
「みこちじゃ教えられないでしょ!」と悪気なくあやめが毒づいた。
「風真いろは」は輪から少し離れたところで腰に差している刀の柄をいじっていた。

「オッケー、船長が教えるわ」
みんなが腕組みをして悩んでいるところにマリンが名乗り出た。
「おー!マリンありがとう!」
ノエルが胸の前で手をパチパチしながら感謝を示した。
「じゃあ、みんな1ヶ月後ね~」と言ってマリンと悟を置いて解散していった。

「おなかすいた。なんか買って帰ろう」とマリンはパーカーのポケットに手を入れ、悟の一人暮らしをしているアパートへ歩いて行った。

次の朝、悟は自分のアパートのソファで目を覚ました。
「昨日はすごい夢を見ていたような」と独り言を言っていると、キッチンの方からいい匂いがした。

キッチンへ向かうとポニーテールにエプロンを付けた赤髪のお姉さんが朝ご飯を作っていた。
お姉さんは悟に気が付くと「おはよう、寝れた?」と笑顔で尋ねてきた。
悟はその笑顔にドキッとして黙っていると「まだ、混乱してる?」と心配そうな顔で駆け寄って来た。
悟の前まで来ると「昨日、公園であった宝鐘マリンだよ?覚えてる?」と言ってポニーテールを解き、昨日のツインテールを自分の手で髪を握って見せた。

悟は昨日のことを思い出した。
あの後、マリンの希望でポテトを買って帰ってきたが気疲れしてしまい眠気が悟を襲った。
悟はマリンにベッドを譲ってソファで寝たのであった。

マリンに用意してもらった朝ご飯を食べながら改めて『七彩大戦』について教えてもらった。
気まぐれな神によって主催されている『七彩大戦』はホロライブというVtuberグループのメンバーがプレイヤーとなるようだ。
それは気まぐれな神が当時のホロライブファンだったからだそう。
ただ、顕現するホロライブメンバーは気まぐれな神による概念の顕現であり、当時の人物とは厳密には違うものらしい。
どうやら、人々や神による主観(願望、理想)が含まれているようだ。
また、一般人の中から「観測者(オブザーバー)」を用意するのは必要があるらしい。
『オブザーバー』がいることで量子力学的に観測が行われ、『出来事』として事象になるようだ。
ここは話を聞いてもよく分からなかった。

「まぁ、そんな感じだからしばらくよろしくね」と言ってニッと笑ったマリンに心を奪われている悟は断るという選択肢が無くなっていた。

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