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[ホロライブ同人小説]:『ホロゲート』第3章

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第3章 魔界学校の狂女

 シオンは背後から視線に寒気がしてハッと振り返った。そこには負のオーラを存分に纏った少女が立っており、シオンは声にならない悲鳴を上げた。

 「あれ?シオン先輩なんでここにいるんですか?」

 その少女は可愛らしい声でシオンに話しかけた。そこに居たのはホロライブ3期生の『潤羽るしあ』であった。彼女も魔界学校の見習いネクロマンサーで、音信不通メンバーの一人であった。だが、長期休暇のため学校にはいないと思われていたため、ミオがるしあの自宅を探しに行くこととなっていた。

 シオン「るしあちゃん!音信不通だったから心配したよ!」

 話を聞くとるしあは嫌なことがあるとSNSなどの外界との連絡を絶ち、この魔界学校に隣接する墓地で死霊と話すのが日課だそうだ。るしあは死霊魔術することで死者とお話しするのができる。シオンは事情を知らないるしあに今まであった事件の全容を伝えた。

 るしあ「え!?そんなことがあったんですか!」
 シオン「そうなの。で、今はちょこ先生を探しているんだけど、どこにいるか知ってる?」

 るしあは保健室、調理実習室の他には理科実験室にいる可能性があると伝えた。シオンはるしあと共に理科実験室へ行くことにした。理科実験室の前に着き、中でかすかに音がするのを感じた。シオンが理科実験室の扉を開けた。すると、何かが物凄い勢いでシオンへ襲いかかって来た。その《何か》はシオンを倒し、覆いかぶさっている。

 るしあ「ちょこ先生!」

 シオンを襲ったのはちょこであった。るしあの呼びかけに全く反応を示さず、ちょこはそのままシオンの体を弄り始めた。

 シオン「ちょ、ちょっと!」

 シオンはいきなりの出来事に羞恥心が沸き上がる。その隙をちょこは見逃さず服の下に手を入れ、シオンの体を直接撫でるように触った。シオンは堪らず、ちょこの手を掴み行動を制止させた。目の前で繰り広げられる異様な光景にるしあは放心状態であった。シオンはちょこが錯乱状態であることに気づいた。それはシオンが制止させているちょこの腕に物凄い力が入っていたためである。

 シオン「るしあ!ちょこ先生がおかしい!ちょこ先生を止めて!」

 その声を聞いてるしあがハッとした。るしあはあたりを見渡して、何かできないか廻りを見渡す。るしあはネクロマンサーでありため、死体操作ができる。しかし、ここは校舎内であり、死体など無い。そうこうしている内にちょこの腕力が増していった。女性のそれとは思えない腕力にシオンは制止させることもできず、再びシオンの体が服の下から撫でまわされた。ちょこはシオンの体に顔を近づけ、体の表面を這うようににおいをかぎ始めた。

 「うりゃー!!」

 掛け声と共に高い金属音がした。ちょこは頭を殴られシオンの横に倒れた。近くにはるしあが立っており、その両手に盥を持っていた。

 シオン「あ、ありがとう。るしあちゃん。でも、これ…。」

 倒れたちょこは力なく、全く動かなかった。

 るしあ「え。まさか、殺人になっちゃった??やりすぎちゃった??」

 持っていた盥を投げ捨て、ちょこの横へ座り込み心配そうに様子を確認する。シオンが脈も息もしていることを確認してホッとする2人であった。とりあえず、2人はちょこを保健室へ運ぶこととした。

 保健室へ運ばれたちょこはすぐに目を覚ました。目覚めたちょこは自我を保っていた。どうやら、ホロゲート故障のタイミングでちょこは自我を失い、学校の理科実験室で彷徨っていたようだ。そこに自分の好みでもあるシオンが表れ、襲い掛かり欲望のまま行動してしまったとのことだった。また、ちょこは一連の事件をシオンから聞き、自身の見解を話し始めた。

 ちょこ「今回の件だけど、ホロゲートの影響を受けると自我を失ってしまう可能性があるわ。そして、理性もなく一時の感情や欲望に支配されてしまうんじゃないかしら。一度気を失うと元に戻るようね。」

 ちょこはホロゲートの影響を受けてから睡眠をせずに自我の無いまま行動していたのである。

 シオン「今、音信不通のメンバーは自我を失っている可能性があるってこと?」
 るしあ「でも、もうすぐ事件発生から丸1日経つんだよね?そろそろ眠くなって寝ちゃうんじゃないかな?そしたら、元に戻るんじゃない?」
 ちょこ「どうかしら、私は事件発生から起きてるのよ。」
 シオン「あのちょこ先生が寝ないだなんて…。他のメンバーも自我を失った状態でまだいるのかもしれない。」

 ホロゲートの影響を受けてしまったメンバーは自我を失うが、一度気を失うことで元に戻る。しかし、自我を失った状態だと寝ない可能性があるのだ。

 シオン「よし、じゃあ次のメンバーのところにすぐ行くよ!」
 ちょこ「待ってシオン様。もう一つ心配があるの。」

 早速に出発しようとするシオンをちょこが止める。

 ちょこ「団長達が心配だわ。」

 ちょこはココを探しに行ったノエルとフレアが心配であった。ちょこ曰くココのドラゴンの力は強力である。ノエルも人間離れした肉体の持ち主だがそれを差し引いても、危険だと危惧しているのだ。

 ちょこ「シオン様。あなたは団長達のところへ行ってほしいの。団長達を黒魔術」
 シオン「えぇ。でも、シオンの黒魔術はドラゴンには通用しないと思うよ。さっき、ちょこ先生に襲われた時だって何もできなかったし。」

 シオンは黒魔術が得意だが相手の気を失わせたり、拘束したりするような便利な魔術はなかった。悪戯程度の魔術しか使えないのである。

 ちょこ「大丈夫。私が作ったこの薬を使えば一時的に高魔術が使えるはずよ。」

 ちょこはそういうと引き出しから怪しげな薬を取り出した。ただこの薬は服用の仕方がちょっと特殊であった。

 シオン「それは誰かに試したの?」
 ちょこ「いいえ、あなたが初めてよ。」
 シオン「服用の仕方がちょっと特殊っていうのは?」
 ちょこ「うふっ。それはな・い・しょ♡」

 その後、保健室のベッドの上で“特殊な”方法で薬を服用するのであった。るしあは保健室から漏れてくる2人の声を聞きながらモンモンとするのであった。

 ノエルとフレアはドラゴンの目撃情報があった村を訪れていた。村で聞き取りしたところ、どうやら数時間前にも一度上空をドラゴンが飛び、近くの森へ降り立ったようだ。2人は当初の予定通りドラゴンを追い、森へ入ることとした。そこへ、シオンからちょことるしあの連絡が取れた知らせが入った。

 ノエル「フレア!シオン先輩がちょこ先生とるしあの安否確認ができたって!」

 ノエルはシオンから連絡の取れなかった2人の安否確認とホロゲートの影響を受けた者の戻し方のヒントを教えられていた。また、ドラゴン化しているココはかなり強力なちからがあることも告げられ、刺激しないようにちょこから警告を受けた。

 フレア「ココ会長を見つけても遠目から様子見るだけしか出来なさそうだね。」
 ノエル「街や村に被害が出ないように郊外にうまく誘導できればいいんだけど。」

 そうこうしていると、森の奥から大きな生き物が動く音が聞こえた。2人に緊張が走る。恐る恐る物音のする方へ近づくとドラゴンがいた。それはココがドラゴンとなった姿であった。2人は先ほどの忠告通りにココを刺激しないように後をつけることにした。

 時刻は夕方。ココは森の中を大きな体で数時間ほどゆっくりと歩き続けていた。フレアがココに聞こえないような囁くようにノエルに言った。

 フレア「ノエルまずい。この先は光源石の採掘地帯だ。近くには作業員が住む村もあったはずだよ。」

 ココが歩き続けていたために森を抜け、開けた草木が生えないような鉱山地帯となった。この鉱山地帯では光源石という夜になると細く光る特殊な鉱石が取れる。この光源石はアクセサリーなどで使用される宝石の類であった。ココの進行方向には光源石の採掘場があった。もうすぐ、日も暮れるため作業を終え採掘場に人がいることは考えにくかったが、さらに進んだ先には村があるため、足止めなどを試みるかの決断が迫られていた。

 ノエル「どうする?森を出ないようにここで足止めしてみる?」

 フレアは俯き考えた。

 フレア「いや、森を抜けてからにしよう。森で足止めして、ブレスをされると山火事になる可能性がある。」

 ノエルとフレアはココを見つけてから数時間経っていた。2人は常に緊張状態にあり、常人ではとっくに集中力や冷静さを欠いてしまう時間帯であった。ただ、人間離れした肉体と精神力を持つノエルと人間とは比べ物にならない程長生きなエルフであるフレアであったため彼女達は未だに緊張状態を保っていられたのである。ただ、彼女たちも消耗していることは確かであった。

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