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『総特集 佐藤史生 ― 少女マンガが夢見た未来』/『佐藤史生 傑作短編集 夢喰い』

☆mediopos3492  2024.6.9

佐藤史生という
SFファンタジーを描く漫画家がいた

主に1980年代に
『夢みる惑星』『ワン・ゼロ』などを発表していたが
2000年の『魔術師さがし』を最後に
作品が発表されなくなっていたこともあり

ぼくのなかでは
内田善美とならび
いつのまにか姿を消した
謎のような漫画家となっていたが

(同時期に活躍し作品を発表しなくなっていた
『イティハーサ』という長編漫画を発表していた
水樹和佳(子)という漫画家もいたが
現在フラワーデザイナーをされている)

2001年に乳がん摘出手術を受け
2010年には脳腫瘍亡くなっていた(享年59歳)ことを
『総特集 佐藤史生 ― 少女マンガが夢見た未来』で知った

マンガ家デビューは1977年
『別冊少女コミック』での「恋は味なもの」
その後1980年には『プチフラワー』創刊号で
「竜の谷」を発表
それが連載化され『夢みる惑星』となる

デビュー以前は
萩尾望都や竹宮恵子などのアシスタントをしていたそうだ
たしかに作画表現に近しいものを感じる

『総特集 佐藤史生』には
主な作品のイラストを筆頭に
佐藤史生への生前のインタビューやエッセイ
坂田靖子への最新インタビュー
萩尾望都による特別寄稿
(「佐藤史生さんの思い出」4コマ漫画×15)
「精霊王」など幻想SF作品の原案提供者
徳永メイへのインタビュー
短篇(短篇「雨の竜」「青猿記」)
など・・・が掲載されているほか

これまで知らずにいた
作品前リストや年譜なども掲載され
充実した一冊となっている

そのなかでもっともうれしい記事は
ぼくの大好きなマンガ家である坂田靖子への
2024年3月のインタビュー

佐藤史生に出会ったのは
坂田靖子が二十歳になる前くらいの頃でその後もずっと
「本当にただただ普通の、仲良しの友達だった」という

なお今回はこの特集と同時に
『佐藤史生 傑作短編集 夢喰い』も刊行されている

収録されているのは
「金星樹」「レギオン」「阿呆船」「夢喰い」
「バナナ・トリップに最良の日」「羅陵王」
「塵の天使」「一角獣にほほえみを」の全8編と
懐かしい作品ばかり・・・

久々代表作の連作『夢みる惑星』『ワン・ゼロ』など
本棚の奥からとりだしあらためて読み耽ってみようか

■『総特集 佐藤史生 ― 少女マンガが夢見た未来』(河出書房新社 2024/6)
■佐藤史生『佐藤史生 傑作短編集 夢喰い』(河出書房新社 2024/6)

*『総特集 佐藤史生 ― 少女マンガが夢見た未来』【内容紹介】

●カラーイラストギャラリー
代表作「夢みる惑星」「ワン・ゼロ」を中心とした美麗カラーイラストを多数掲載!
●スペシャル企画
「坂田靖子が語る佐藤史生」
出会いは10代。まだお互いに何者でもなかった頃から、数え切れないほどの夜を語り明かし、長い手紙を交換しあった佐藤史生と坂田靖子。「本当にただただ普通の、仲良しの友達だった」
そんな二人の思い出をもとに、佐藤史生の生前を偲ぶ2024年3月のインタビュー。
●初公開の手紙や写真を多数掲載
●特別寄稿
萩尾望都、木原敏江、森脇真末味
●インタビュー
「史生さんは『夢みる惑星』のイリスのような人です」
長年の友人であり、「精霊王」「タオピ」などの原案提供者として共に作品づくりをしてきた徳永メイが語る、漫画家・佐藤史生。
●貴重な本人インタビュー&エッセイ
●マンガ2本
「雨の竜」巻頭カラー4ページ含む36ページ
「青猿記」51ページ
●家族ページ
姉が語る「妹・佐藤史生の思い出」
●未発表スケッチ 大公開!
●作品リスト・年譜などのデータも充実!

○佐藤 史生(さとう・しお)プロフィール
漫画家。1950年12月6日、宮城県登米郡(現・登米市)生まれ。1977年デビュー。主にSF・ファンタジーを得意とする。1980年『プチフラワー』創刊号にて「竜の谷」を発表。後に「夢みる惑星」として連載化。1984年まで続く代表作となる。他の代表作に「金星樹」「ワン・ゼロ」など。
デビュー以前は萩尾望都や竹宮惠子らのアシスタントをしており、大泉時代に親交を深めた人物として知られる。2010年に脳腫瘍で死去。享年59歳。

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