伊藤潤一郎「投壜通信」(新連載)
(『群像 2022年2月号 講談社 所収)
☆mediopos2620 2022.1.18
ほかならぬ「私」に宛てられた言葉を
岸辺で手紙の入った壜を拾い上げるように受けとる
壜の中に入っている手紙は
「誰でもよい誰か」という不特定の人へではなく
「誰でもよいあなた」という
不定性の二人称へと宛てられ投ぜられたものだ
「誰でもよい」といっても
その手紙の言葉は
ほかならない「あなた」へと宛てられている
「誰にでも同じ意味をもつ言葉というイデオロギー」を
象徴する「論理国語」の言葉ではなく
「あなた」だけに届けら