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Shady NastyとInjury Reserve、ジャンルの境目ポスト・ジャンル


Shady Nasty、最初に知ったのはSo Youngのプレイリストだったんだけど、ヒップホップの感性でdeathcrashをやってるみたいでこのバンド最高だった。

ここをこんな風に混ぜて来るのか?マジか?最近のロックに寄ったYves Tumorもそうだけど違うジャンルのものを違う感じでアプローチしていって混ぜて、それでそこから取り出すっていうのは何か可能性を感じる。もちろんそれは常套手段ではあるけれどリスナー側もプレイヤー側もジャンルの幅を狭めていっている現代(それはサブスクリプションの時代)においてのそれはことさら新鮮に映るというか、混ざったものを参考にしてそこからまた混ぜてみたいな感じになっていてそこがめちゃくちゃ面白い。

この感じはどこから来てるんだろう?そもそもShady Nastyってどこの誰?って気になって探してみたらこのFBi Radioのインタビュー付きのスタジオライブのビデオ(2019年)を見つけた。Shady Nasty、オーストラリアのバンドだったのか。

シドニーの3人組のバンドShady Nasty、嬉しそうにフランク・オーシャンの話をして、今一番好きなインディペンデント・アーティストとして地元オーストラリアのLow Life(インディ・ギターバンド)、Behind You(インダストリアル・パンク・ヒップホップ)、Slim Set(ラッパー)の名前を挙げてJulia Jacklinに賛辞を送る。もうこれだけでひとつのジャンルにこだわっていないことがわかる。全部が普通に隣にあってそれは別に特別なことでもない、こういうのがきっと今の時代の感覚。

そうしてこのインタビューの中で話していたGET BUFFのビデオを見てShady NastyのKevinと同じように中国にルーツのあるCrack CloudのボーカルZach Choyのことを思い出した(Zachは母親がウェールズ人、父親が中国人のミックスでカナダで移民の子として育ったとインタビューで言っていた)。ルーツと環境、感覚、時代、単純じゃないから難しいしだからこそそこから何かが生まれるのかもしれない。そんなことを無責任に思ってしまうけど、バンドを検索した後に出てくる関連バンドのアー写を眺めていると意識が変わって意識しない時代に少しずつ向かっているんじゃないかってそんな気もしてくる(それはみなが変えようとして来た結果なのかもしれない)。


Injury Reserve ー By The Time I Get To Phoenix

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そしてInjury Reserve。新しいアルバムは暗く混沌としていて断片的で、頭の中の記憶のページを読むこともなくパラパラと何度もめくっているみたいな感じがしてかなり良かった。

Injury Reserveは2018年の初期の段階でJockstrapのことを好きだと言っていてツアーの前座に抜擢したりコラボをしていたりしたけれど、今回のアルバムでもBlack Country, New Roadの Athens, France やblack midiの Sweater をサンプリングしてたりして、こういうのを見るとやっぱり境目ってやつが段々となくなっているんじゃないかって思えてくる。過去のバンドからではなく現在進行形のバンドの曲の中から持ってくるという感覚もここ数年でより顕著になっているような気もする(国やジャンルを問わない同時代性のアティチュードみたいなそういうやつ)。

こうじゃなきゃいけないってそういう感覚がなくなっていっているのかもなってそんな気がしてくる今日この頃、少しずつ何かが変わっていっているのかもしれないし少しずつ何かが動いているのかもしれない。



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