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【狂気山脈編】体験・没入型のゲーム「マーダーミステリー」を見て楽しむ、とは。

▼はじめに

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▼見て楽しむマーダーミステリー?

さて今回はの記事は、前回の『【前編】体験・没入型のゲーム「マーダーミステリー」を見て楽しむ、とは。』の続きになります。
もしまだ前回の記事を読んでいないという方がいらっしゃいましたら、是非こちらを先にお読みください。

改めてになりますが、物語体験型・ユーザー参加型の推理ゲーム「マーダーミステリー」の楽しさ・面白さの本質は、ユーザーとしてとあるキャラクターになって、探索・会話・推理・投票などの行動を通じて、その時一度限りの物語を“主観的”に体験することにあります。

その一方で、誰かがマーダーミステリーを体験をしているところを、動画配信や舞台上での役者による即興演劇などを通じて、鑑賞するという楽しみ方についてご紹介したい、というのがこの記事の趣旨になります。

▼狂気山脈 陰謀の分水嶺

2020年4月、「見て楽しむマーダーミステリー」としてはもちろん、全てのマーダーミステリー作品としても最重要作品の一つである『狂気山脈 陰謀の分水嶺』が発表・発売されました。
まず、「見て楽しむマーダーミステリー」として最重要作品だと考える理由は、「(配信で)見て楽しんでもらうこと」そして「配信を通じて作品知ってもらい、興味・関心を持ってもらい、シナリオを購入してもらい、そして作品のファンになってもらうこと」を意図的に考えながら作られた初めての作品であり、最も成功した作品、だからです。

2020年4月7日、東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県に緊急事態宣言が出され、4月16日に対象が全国に拡大されました。そんな時期のことを思い出してみてください。

2020年4月17日、マーダーミステリー『狂気山脈 陰謀の分水嶺』は、作者の一人まだら牛さんがゲームマスターを担当し、ペレ夫さん夢咲刻夜さんミーゴさんテラゾーさんぱぱびっぷさんの5名がプレイヤーとして参加して、初回のお広め配信が行われました。まだら牛さんのYouTubeチャンネルと同時に、プレイヤーそれぞれのYouTubeチャンネルでも視点配信が行われ、それらを全て合計すると約20万回再生されています。

また細かな部分ですが、お披露目の放送ということで、ゲームマスター視点での配信を見ても、最終的なネタバレなし・全ての個別の視点を見なければいわゆる「神の視点」での視聴は出来ないという特徴があります。誰か一人のプレイヤーの視点配信のみ視聴し、一緒に推理をすることを推奨するなど、単に動画を「見て楽しむ」以上のことが考えられていることが分かります。

そして、上記のお披露目配信終了と同時に、BOOTHにてオンライン・パッケージとしてシナリオが発売されました。現在、オンラインで発表されているマーダーミステリーのほとんどはBOOTHにて販売されています。無料で公開され、シナリオやガイドがダウンロード可能な作品も多いですが、(正確な数字は分かりませんが)恐らく有料作品としては最もダウンロードされている作品になっているのではないでしょうか。配信を見たり、配信をきっかけに知ってプイヤーとして体験後に、このオンライン・パッケージを購入した人がゲームマスターを担当して......というのが真っ当な購入のされ方だと思うのですが、恐らくそれ以上に「作品のファンになってもらうこと」が実現した結果として、体験したプレイヤーの多くがファンアイテム的に購入したケースが多かったのではないかと推測しています。つまり、「作品のファンになってもらうこと」に成功している結果と言えると思います。

まだら牛さんはマーダーミステリーだけではなく、先だってTRPG版「狂気山脈~邪神の山嶺~」を発表し、それも複数の動画として配信して、人気を博していました。こちらは僕がまだシナリオを未体験のため動画も見れていないのですが、プレイ動画の配信という点では、TRPGがマーダーミステリーに先行して人気を得ていました。いかにして見てもらえる動画になるのか、という点に関してはまだら牛さんには、TRPGの動画配信の経験や知見があったと思いますが、動画配信のノウハウといったものだけではなく、動画配信に適したマーダーミステリーとはどういうものなのか、ということを考えていました
その辺を含めた面白いエピソードは、『マーダーミステリーゲーム 狂気山脈 陰謀の分水嶺 THE COMPLETE GUIDE』という書籍に、様々な設定資料やアートワークなどと共に綴られているので、マーダーミステリーの狂気山脈シリーズを全て体験された方は、是非ご一読ください。特に、共同制作者であるダバさんが書いた制作手記など、非常に面白いです。マーダーミステリー『狂気山脈』シリーズは、この本だけでなく、オンライン・オフラインのパッケージ含めて、デザインもとても素晴らしく、文字組・字詰めへのこだわりも含めて、制作者としての意識の高さが伝わってきます。

ここでマーダーミステリー『狂気山脈』シリーズが、配信のことを意識してどのような工夫をしているのかご紹介したいところなのですが、マーダーミステリーというゲームの特性上、体験前の人のことを考慮するとネタバレが出来ないため、具体的に書くことが出来ない......というジレンマがあります。
が、何も書けない!というわけにもいかないので、いくつかポイントを挙げてみます。

①主なプレイヤーである配信者や実況主、VTuberなどが、彼らの持ち味であるプレイングやプレイングが出来るためのゲーム設計

②新しいプレイヤーによる配信が行われるたびに新鮮に見れる・見たくなるようなゲームシステム

③配信の画面映えするココフォリアによる盤面デザイン

ざっとこんなところでしょうか。
いまとなっては、先だってご紹介した『マーダーミステリー・ザ・ライブ』シリーズも同様なことを意識していると思うのですが、間違いなく動画配信=見て楽しむことと、そこで取り上げるマーダーミステリー作品自体の制作とを有機的に、戦略的に考えられたものは、『狂気山脈 陰謀の分水嶺』が初であり、そして最大の成功を収めたものであることは疑いないでしょう。

その後、『狂気山脈 陰謀の分水嶺』として、まだら牛さんのチャンネルでは計5回配信が行われていますが、その後「追加公演01」として「視聴者参加型」という企画を行っています。未体験の方のために詳細は省きますが、動画配信においてのマーダーミステリーを「見て楽しむ」ために、一工夫されたものだと思います。
そして『狂気山脈』シリーズは、これだけでは終わらないのです。

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