日記とか5「シン・エヴァ感想」【ネタバレ注意】

現在公開中の「シン・エヴァンゲリオン劇場版:|❙」の感想です。ネタバレを含みますので、まだご覧になってない方は注意してください。また必ずしも好意的に書くとは限らないので、鑑賞後の余韻に浸っている方も気をつけてください。

あらかじめ言っておくと、批評や考察ではなくあくまで僕個人の感想なので悪しからず。というのも別に批判への予防線を張ってるわけではなくて、そのコンテンツをどのようなものとして見ているかでストーリーの受け取り方も変わってくると思うので。

何にせよちゃんと新劇場版の続きとして描かれているので、もし本編を見ずにこの先を読む人がいるとしても、とにかく一回見ることを強くおすすめします。

では文字数稼ぎはこの辺にして、以下感想↓↓↓























ケンスケ、何してくれとんねんボケ。

さすがにケンアスは予想してなかった。というか誰が望んだだろうか。こんなのってないよ……!

冗談はさておき、どんなカップリングになろうと別にいい。14年経って周りはみんな大人になり、人間関係も変わり、そういった自分の知らないところで起きた変化に、時間の経過と自分ひとりが取り残されていることを思い知ったのは、多分シンジ君も視聴者も同じだと思う。そしてそういったことは我々の日常にも往々にしてあるわけで。同じ悩めるチルドレンだったアスカは、シンジへの想いが通じる前に、シンジの目覚めを待ち切る前に(或いはバルディエル戦の時点でその想いは諦めていた?)ケンスケという拠り所を見つけた。それはいい。


ただ不可解なのは、なぜそこにあてがわれたのがケンスケだったのか、その立ち位置にいるのがケンスケであることに何の意味があるのか、というメタレベルでの意図。わからない。

それでやはり同じように不可解なのが、マリの立ち位置。なぜ今作に至るまで名前も知らなかったような彼女がシンジのパートナー的な存在に落とし込まれたのか。こちらに関しては何かしら秘密がありそうな感じはする。


作品世界上で不可解なことも多々あったけど、これはまあいつものことだし、考察厨に仕事させるために敢えてそうしてる面もあるだろうからいいでしょう。TV版・旧劇世界との関連がまた示唆されてたけど、結局どういうことだったんだ?カヲルとシンジが「何度も会ってる」のは作品世界内部のループなのか、あるいはメタ視点の話なのか。マリはひぐらしで言う羽入みたいな存在だったのかな?違うか。


しかし一番違和感があったのは、いつの間にかシンジ君が我々から乖離していたこと。新世紀エヴァンゲリオンはシンジの物語で、物語はシンジとともに進行し、その主軸はシンジの心の成長にあった(少なくとも自分はそのように見てた)。新劇の方だって、シンジの心理描写は控えめになりつつも、やはり物語の主人公は碇シンジで、視聴者は自然とシンジに自己移入していた。だから前作のQで、何も知らされていないのに邪険に扱われたり大人たちに振り回されたりしたことを理不尽に感じたはずだし、今作で変わってしまった世界や人間関係に寂しさを覚えたのは僕だけではないだろう。余談だがアスカが散々シンジのことをガキ呼ばわりしてたのは、庵野監督が自らの作った娯楽に依存するオタクたちに向けた言葉でもあるように思う。

そして今作。綾波レイ(仮)がLCL化した後からのこと。シンジはエヴァに乗る決意をする。なんかあっさりしてるなとは思ったし、個人的には内面世界をもっと具体的に見せてほしかったけど(TV版みたいに)、まあそれはいい。しかし最後の補完シーン。自らの弱さを乗り越えたシンジ君が、他のキャラクターたちの心の隙間を埋めていく。ここでこちら側の置いてけぼり感が加速する。シンジと共に歩む我々の物語だったはずが、急に突き放され、群像劇を外から眺めているような感覚に陥る。それもそのはず、この部分が本作品のクライマックスであると思われるのだが、これを「シンジの物語」として見た場合、そのクライマックスはここにはない。極端に言えば、シンジが己が弱さを乗り越えた時点で、「シンジの物語」はもう終わっている。この作品としてのクライマックスと「シンジの物語」としてのクライマックスの齟齬が、僕の感じた違和感の正体ではないかと思う。それから個人的にもう一つ文句をつけさせてもらいたい。レイとはそれでいいのかよ、と。


ここまでだらだらとクレームばかりつけてきたけど、良かったところももちろんある。戦闘シーンは、僕としては大満足。特に南極での戦闘の迫力は花まる。機体の動きや爆発はもちろんだけど、パイロットの表情がいいよね。3DCGの特撮っぽい戦闘シーンも新鮮だった。庵野監督のやりたいことだったんだろうな。
 
TV版・旧劇のオマージュも、旧作ファンとしては嬉しかった。作品内部での関連性は謎なんだけど、「ああこのカットは!このBGMは!」って見つける度に興奮してたね。


とは言ったものの、個人的な総合評価としては凡作でした。ちなみに旧劇は傑作だと思っています。「さらば、全てのエヴァンゲリオン。」 というキャッチフレーズの通り、オタクのためのエヴァンゲリオンからの卒業式みたいな作品でした。何にせよ完結してよかった。また違った発見があるかもしれないから、時間があったらもう一回観に行こうかな。

おわり


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