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3割の出来を、5割UPのスピードでやる

1.サラリーマン時代のこと

仕事をチームでしていた頃のお話。仕事の手際の良し悪しの個人差に衝撃を受けたチームだった。学生気分の抜けない若い世代を動かす言葉として、「テストの答案のように、もらったプリントにはまず名前を書く。」という表現でアドバイスしていたことを思い出した。

メールで一斉に仕事のやりとりをすることが多くなると、レスポンスに個人差が出てくる。メールを開くだけ、読んでも添付を確認しない、そもそも読まない、大きく分けるとそんなところか。

畏まった文章のメールに慣れていない若者には、まずメールを開いたら添付のデータを出力して目を通すこと。わからなければ、メールの本文に目を通すこと、それでもわからなければ質問に印をつけることを教えたいのだが、なかなかそれが耳に入らないのも現実。

そんな人への対応をまとめていきたい。

まず出力(プリントアウト)する。これが資源の無駄だという意見もあることは承知の上。でも、スマホに慣れた若者にとってPCの画面上だけで、業務案件を理解することは、相当な文章力がない限りほぼ不可能である。

2.伝える側の責任

10人に一斉に送信したメール、7人が理解できて返信があったとする。

残り3人に対してどう声をかけるのか。

一般論では、7人ができていることの比較の話にフォーカスし、あとは3割のやる気スイッチにお願いする、そんな方法が大方の対応だと思う。

そこで、スキルとは人それぞれであることを承知で、理解力云々ではなくメールをどう解釈したのかを一度聞いてみてほしい。もし、メールを開いただけで自身が対象ではないと認識すればレスポンスがあるはずもない。

そう、スキルの有無に関わらず反応があったかどうかは、実は発信した側の責任による部分が大きいのである。日本人とは集合教育に慣れているせいか、7割の理解者を重んじて残りの3割を見ない傾向にある。もしくは、3割のために7割の時間を犠牲にして、同列に並ぶことに最大の時間をかける。

今回は急ぎの案件でもなく、後者の方法について考察してみようと思う。

3.理解度の本質とは

その3割の理解度に時間を割いたとして、次の機会に7割の中に転じる人が3割の中にどれだけいるかを考えてみる。おそらく皆無じゃないかと著者は思っている。メールの処理の方法が同じなら、3割から脱することなく手も足も出ないというのが現実。

だから、アドバイスとして出力することを推進する。次の機会には、出力したかどうかをヒアリングする。もし、それができていればレスポンスはできるし、次に来る質問を想定する理解度だけは身につけている。

「でも、その次がわからない」

おそらく、質問があるとすればこのレベル。そう、何をどうすればいいのかわかっていない人に7割と同じレベルのレスポンスを説いていたのである。これが相手にとってどれだけの無理難題だったかを知ることも「伝える側の責任」ということになる。

4.「答案用紙に名前を書く」とは

仕事のレスポンスの遅い人の絶対の共通点として、「明日でいいと思ったたら、絶対に今日はやらない」と言える。明日やるくらいなら、今日やってしまおうという意識のある人が7割に入る資格のある人。

そういう人には、明日やる仕事の準備として出力して名前を書く(メモする)ことを指導していた。どこでもいい、明日スタートする場所に何か落書きしておくのである。

すると、明日のスタート地点が圧倒的に変わる。メールを開いて、追っかけの連絡に振り回される前に、昨日からの仕事に手を付けることができる。完成しないとしても、どこがわからないのかを整理することが容易になる。

5.それでもやらない(できない)人がいる

3割にあたる人はそれでもやらないと思っていい。でも、仕向けていかないといけないのがリーダーであり、管理職である以上はそのレベルに合わせたヒアリングをしてみる。

すると、その方が天才的な言い訳の名手だったりもする。できないやらない理由付けをすることの天才なのである。でなければ、謝って済むのが当たり前だと思いながら世の中を渡ってきた人かもしれない。

そういう人には一斉メールをする前に、個別にメールをするといい。本文は「この添付資料を今すぐ出力するだけでいい」これだけ。時間差で一斉のメールをする前に、同じ添付資料を送って対応する。

すると、どんな心理が起こるか。言い訳の天才に理解者ができたと思うのが、こういう人たちの心理。言い訳の天才は、承認欲求の高さから言い訳をするという生き物。そこを利用するのである。

6.「言い訳の天才」の立ち位置が変わる

言い訳の天才、それはどこか別の才能を持ち合わせてもいる。業務的に同じことをするのが苦手なだけで、自分の個性を生かす場所を必ず持ち合わせているものである。

そういう人には、「完成しなくていい、できることだけをやれ」と指示をする。その代わり、一番にレスポンスすることをはっきりと指示をするのである。

これが「3割の出来を、5割UPのスピードでやる」ことへの布石

内容を問うことをせず、レスポンスのスピードだけにこだわる。そして一斉に送信するメールは「〇〇と○○さんから提出されています。期限を忘れずに」という、リマインドのメールをする。

7.それが成功体験に変わる

子供のころ「何でもいいから一番になれ」と言われた経験がある。一番を取れれば誰でも嬉しいもの。テストで一番、それが点数でなくても一番早く終わったとか、それでも一番は一番だということ。

意味があるかどうかと言えば、ない。成功体験だけが意識の中に刷り込まれる。すると、次から一番であろうと思うのが人間の心理。「明日でいいや」の悪循環の仕事から脱却できる。

人を掌握することは遠回りすることだと思っている。「自分がやった方が早い」と思う人は、リーダーに向いていないのかもしれない。でも、出来なかったことが出来るようになる過程は楽しいことでもある。

7割しかレスの揃わなかったチームが、時間をかけることで10割が参加するチームになる。罵声や人との比較でできることはないと断言できる。人の成長とは、人から認められた成功体験の数によるものなんじゃないだろうか。

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