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解剖 #1-4 延髄

 脳幹は大脳と脊髄を連結し、大脳に近い部分から、中脳、橋、延髄の3つに区分されます。脳幹は小脳の前に位置し、小脳と連絡を取り合い、間脳(視床、視床下部)とも機能的な連携をします。脳幹には第3脳神経から第12脳神経の神経核が存在します。


中脳

 中脳は脳幹の最上部にある組織で、上方の脳幹と下方の橋、後方の小脳に囲まれて位置します。

 中脳の側腹面は大脳脚とそれに挟まれた脚間窩で構成され、上方には乳頭体と下垂体、視索が位置し、脚間窩からは動眼神経が出ます。腹側面には上丘と下丘があり、下丘の直下から滑車神経が出ます。

 中脳の内部は、大脳脚、中脳被蓋、中脳蓋、および中心灰白質に区分されます。大脳脚は、錐体路などの通路です。錐体路には、皮質延髄路、皮質脊髄路、皮質橋路などの投射線維があります。障害されると顔面麻痺を含む運動麻痺が起こります。錐体路は延髄の錐体交叉で交叉するため、対側の随意筋を支配するため、麻痺症状は障害とは反対側に出現します。中脳被蓋は、黒質、赤核、網様体、動眼神経核、滑車神経核からなる領域です。黒質は、随意運動における筋緊張の調節に働き、障害により筋緊張亢進や振戦などの障害を引き起こします。赤核は、小脳と脊髄を中継し、運動の調整に関わります。中脳被蓋の障害では、動眼神経の麻痺を伴うことがあります。滑車神経核が障害されると、滑車神経麻痺を起こします。滑車神経は中脳の背側にまわって交叉したのちに中脳を出るため、対側の滑車神経麻痺を起こします。 中脳蓋は上丘と下丘で構成されます、上丘は視覚刺激に対する頭や眼の位置変換に関わります。下丘は聴覚伝導路の中継核です。突然音がするとそちらを向く反射は、下丘が関与して起こります。

中脳 水平断

 橋は延髄と中脳に挟まれて位置する膨隆部です。橋の腹側には多数の横走線維があり、左右で中小脳脚を経て小脳に連なります。

 橋に核がある脳神経は、三叉神経外転神経顔面神経内耳神経です。三叉神経は橋と中小脳脚の移行部から、外転神経は橋と延髄との間から、顔面神経は橋の下縁から、内耳神経は顔面神経の外側から出ます。

橋 側面

延髄

 延髄は脳幹の最下部に位置し、呼吸・循環、嚥下運動の中枢があり、生命維持に不可欠さ部位です。延髄の下は脊髄が続き、延髄と脊髄の境は錐体交叉付近で、大後頭孔と一致します。

 延髄に核がある脳神経は、舌咽神経、迷走神経、副神経、舌下神経です。舌咽神経、迷走神経、副神経は延髄の後外側溝から、舌下神経は前外側溝から出ます。

 延髄の内部は、オリーブ核、錐体、神経路、神経核に区分されます。オリーブ核は、錐体外路系に属し、小脳による運動調節、とくに直立歩行における平衡に関わります。錐体は、錐体路の通り道です。神経線維の3/4は錐体交叉で交叉して、外側皮質脊髄路として脊髄側索を下降します。残り1/4は交叉せず、同側の脊髄前索を前皮質脊髄路として下降します。延髄内の神経路は錐体路以外にも、下半身の深部感覚を支配する前脊髄小脳路や後脊髄視床路、痛覚と温度覚を支配する外側脊髄視床路があります。延髄にある脳神経核は、舌咽神経と迷走神経の核である孤束核疑核です。

延髄 水平断

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