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2021年9月の本棚

すっかり夏が終わってしまい少し寂しいけど、これから一番好きな季節がやってくることが嬉しくもある、そんな9月に読んだ漫画の記録です。


ウィッチウォッチ 2巻 / 篠原健太(集英社)

ニコに降りかかる災いの正体は未だはっきりとは分からないけど、今回も沢山笑わせてもらった。お腹の弱いクラスメイトの相談に乗る回と隣町の魔女・宮尾音夢ちゃん登場回が特にお気に入り。このノリのまま進んで行ってほしいなあ。


怪獣8号 4巻 / 松本直也(集英社)

大怪獣vs保科副隊長。応援が来るまで少数で持ち堪える展開って熱くて好きだ。カフカは仲間たちを守る為に自身の正体を明かし、身柄を拘束されてしまったけど、どういう流れで部隊に帰ってくるのか気になるところ。


ハイパーインフレーション 2巻 / 住吉九(集英社)

グレシャムから逃げる展開が一転して、最終的にグレシャムと手を組む展開に。一見一番ヤバいグレシャムが一番合理的で信頼できる人間だから協力する流れは面白い。まぁ当然一筋縄では行かないだろうけど。このままルークの贋札製造能力を使った世界を巻き込む贋札戦争が始まる、のか!?

俺が目指すのはWINじゃねえ!! WIN-WINだ!! 二倍勝つ!!


SAKAMOTO DAYS 3巻 / 鈴木祐斗(集英社)

シンと間違われて連れ去られたルーを救出すべくシンの育ったラボへと向かう坂本さんたち。シンの過去が重いやつかと思ったら全然そんなことなくてめちゃくちゃふわっとしていたし、他人の心を読める能力もたまたま手に入れたものでちょっと拍子抜け。相変わらずギャグ漫画以上バトル漫画未満みたいなノリだった(褒めてる)。


ルックバック / 藤本タツキ(集英社)

ジャンプラ掲載時にも大反響だったタツキ先生の読み切りが単体でコミックス化。漫画を描くことで繋がり、漫画を描くことで支え合った二人の少女の物語。扉絵もなく、作者のコメントやあとがきも一切なく、ただ150ページの読み切りが1冊にまとめられているだけ。でも、それが堪らなく良い。
アプリ掲載時にトヤカク言われていたシーンも一番落ち着く感じに修正されていた。作品に対して読者は感想を言う権利はあっても、意見する権利なんかこれっぽっちもないと思うのは自分だけですか。ましてや無料公開されている作品には。


弱虫ペダル 74巻 / 渡辺航(秋田書店)

先行する新開悠人を坂道のアシストでゴール手前残り1kmで捕まえた段竹。実戦経験の浅い段竹が己の殻を破る展開は素直に震えた。坂道の姿勢と気迫のギャップもとても好き。段竹の走りは段竹自身だけでなく、坂道の自信にも繋がったと思う。一方、京都伏見サイドでも新キャプテン誕生!まさかの御堂筋以外かと思ったらやっぱり御堂筋で一安心。御堂筋も大好きなキャラの一人だし、ちょこっとだけど府道50号線についても説明されていて地味に嬉しかった。あそこは良い道だ。

オーダーだ 山頂を獲れ!! 段竹竜包!!


ネオ・キャット / 青化(祥伝社)

猫の社会進出が進み、日常の至るところに猫がいる世界を描いた短編集。「シャパリュ」と「ねこのがっこう」が特に好き。犬も猫もどっちも好きだしどっちが優れているとか言うわけではないけど、やっぱり猫の方が生物としての造形の美しさとか含めて「完成」されているな〜と感じる。現実世界でも猫の社会進出もっと進んでくれないですかね。人類は増えすぎた。


東京ヒゴロ 1巻 / 松本大洋(小学館)

立ち上げた雑誌の失敗に責任を感じ、出版社を早期退職した漫画編集者・塩澤。一度は漫画から離れようとした彼だったが、どうしても諦め切ることが出来ずに、再び漫画と、漫画家たちと、そして自分と向き合う決心をする。どこか寂しい東京の街並や行き交う人々の情景と共に描かれる松本大洋先生の漫画論とも言える新作。「人は漫画を生きるのか。」

はい、宝物です。これまで私の人生を支えてくれていました。


からかい上手の高木さん 16巻 / 山本崇一郎(小学館)

今回は西片が高木さんに対して一矢報いるシーンが多かった。でも西片本人はそれに全く気がついていないというお決まりのオチ。やっぱり高木さんが西片に完全にデレていることで成立しているこの絶妙な距離感が最高なのです。アニメ3期も映画もとても楽しみ。


今日のさんぽんた 1巻 / 田岡りき(小学館)

飼い主のりえ子と飼い犬のポン太のおさんぽ掛け合いコメディ。アホな人間のボケに内心ツッコむ犬の一人と一匹のシュールで小気味良いノリが楽しい。りえ子の関西弁も馴染みやすくて好き。各話のサブタイトルにぽん太の歳と月が入っていて(『6歳7月 ボール』みたいな)、これどこでめちゃくちゃ泣ける回が来そうだなと想像して、ちょっと泣いた。


マーブルビターチョコレート / 幌山あき(KADOKAWA)

各誌の賞で名前を見る最近推している漫画家・幌山あき先生がpixivの掲載した作品がコミックス化。パパ活を繰り返す女性りこの前に現れた新たなパパは東という女性。全てが真反対な二人の距離は会う度に縮まっていくが、東には週刊誌に掲載する「パパ活ルポルタージュ」を執筆するという裏の目的があった。
「消費」というテーマで「百合になる二人」を描いた作品。一読の価値ありです。


おとなになっても 5巻 / 志村貴子(講談社)

漫画のタイトルって大事だけど、この『おとなになっても』は本当に作品の内容にピッタリだと5巻を読んで改めて思った。主人公は小学校の先生で児童(女の子)同士の喧嘩の相談に乗ったりするシーンもあって、良い教師として振る舞うんだけど、不倫相手を前にするとたちまちクズになる(※褒めてる)。夫もクズ(※褒め)だし、親も姑も登場人物もれなく全員クズ(※)。大人になっても、人間そんなに変わらない。

私たちには私たちの きれいな落としどころなんてないのだろうけど


ゆびさきと恋々 5巻 / 森下suu(講談社)

今回も雪ちゃんは可愛かったし、逸臣さんはスーパーハイパーイケメン超人だった。幼馴染の桜志には悪いけどキミに勝ち目はないのでさっさと身を引いてくれていいぞ。でも手話を習得しようとしたキッカケは素直に良かった。基本的に登場人物が全員優しいので聴覚障害者に対する闇の部分はそこまで大きく描かれない。それでいい。

手話をすれば している間は あいつが こっちを見るんだ


微熱空間 4巻 / 蒼樹うめ(白泉社)

うめてんてープレゼンツの超タイトル詐欺ラブコメ漫画。微熱なんてぬるいもんじゃない高熱空間。ワクチンの副作用でもここまで上がらなかった。ヒロインの亜麻音がね、可愛すぎるんですよ… これはあかんですよ… 直也の理性も流石に持たなかったみたいですよ…


二匹目の金魚 / panpanya(白泉社)

巨大な池で錦鯉のように大きく育った金魚を実際に見たことがあるので、panpanya先生の考察は当たっている。夏祭りの屋台も海の家ももう何年も行ってないなあ…


生き残った6人によると 1巻 / 山本和音(KADOKAWA)

成田空港から持ち込まれたウイルスによってゾンビが大量発生した千葉県。県境は封鎖され、ショッピングモールには6人の男女が立て籠った。そして6人はなんとか生き延びながら、互いに恋愛関係を築こうとする(!?)。死ぬ寸前に子孫を残そうと勃起するとか聞くし、本能的に恋愛をしようとしているのかこいつら。女子高生、YouTuber、登山家、経営者、フリーター、ベジタリアン。6人の今後の関係や如何に!?


ダンジョン飯 11巻 / 九井諒子(KADOKAWA)

迷宮の主シスル操るドラゴンたちとの激闘の末、何とか生き延びたライオス。ダンジョン飯は主人公であるライオスのキャラクターに一貫性があって、ここまでの長旅を通しても全くブレていないのが面白さの一つだと思っている。結構思惑入り乱れる複雑な展開だけど、どういうクライマックスになるんだろう。頑張れマルシル。


ブランクスペース 1〜2巻 / 熊倉献(小学館)

想像したものを目に見えない「空白」として生み出せる同級生・スイとひょんなことから友達になったごく普通の能天気女子高生・ショーコ。クラスでいじめられるスイは自分の能力で目に見えない凶器を作り始めるが、ショーコの何気ない提案から「彼氏」を作り出すことに没頭する。
1月に1巻が発売されて話題になっていたけど2巻発売を機に半年以上遅れてやっと読めた。これはめちゃくちゃ面白い。自分のすぐ隣で日常に異変が起こっているゾワゾワ感。「空白」の謎も不気味だし、続きが気になりすぎる作品。


少年のアビス 6巻 / 峰山りょう(集英社)

黒瀬くんの母・夕子と似非森先生(野添)の過去エピソードから始まった6巻。この頃のまま毒親を持つ物同士幸せになってくれればよかったものを…どうしてこんなことになってしまったのか。個人的には柴ちゃん先生が後手後手に回っていたのがめっちゃ面白かった(面白くない)。ナギも出てきそうだし、もうそろそろ終わるのかな?全員死亡エンドでお願いします。

あんたが 大嫌いだ 


スタジオカバナ 1巻 / 馬あぐり(KADOKAWA)

真面目な女子高生・牧ゆかりはクラスの非行少年・日下優助に手を焼く毎日を送っていた。そんなある日、遊助が音楽スタジオに入って行くところを目撃し、彼がバンド活動をしていることを知る。言ってしまえば、「優等生がバンドマンに恋する物語」。展開はベタかもだけど、絵も綺麗でサクッと読める。いやマジで絵綺麗。
最近の中高生もバンド活動したりしているんだろうか。ゲーム実況とか動画投稿とかする人の方が多そう。知らんけど。


スポットライト 3巻 / 三浦風(講談社)

特に何も起こらず完結してしまっていた。斉藤くんの好きな人へのアプローチの仕方が最後まで気持ち悪くて、理解不能で、この主人公を「陰キャ」にカテゴライズするのは陰キャに失礼だ、とちょっと思ったりした。個人的にやっぱりミスコン題材なのがどうしてもダメだったのかもしれない。スミマセン…

陽キャに他人の痛みがわかるやつなんていないんだから


ブルーピリオド 11巻 / 山口つばさ(講談社)

春休み中に恩師・佐伯先生の絵画教室でバイトをする八虎、と橋田。教室の生徒たち皆んなキャラが濃くて、翔也くんの感情には共感する面も多かったけど一番闇が深かったのは小枝ちゃんだった…。タガが外れるシーンの見開きは読んでいて辛かった。橋田の最後の背中もやり切れなさが滲み出ていて悲しかった。けど、抱え切れなくなったら一度全部手放してみてもいいよね、って思いました。
そしてやっとマキちゃんが再登場して始まる2年生編!待ってた。

泣きながら筆 動かせる人を
僕は尊敬してるんやで
みじめでも 自分を褒める根拠がなくても
飛び込める君は 本当にすごい


ガールクラッシュ 1〜2巻 / タヤマ碧(新潮社)

容姿・学力・人望すべてが完璧な高校一年生・百瀬天花(ももせ てんか)と地味だけどK-POPアイドルになる夢にまっすぐな同級生・佐藤恵梨杏(さとう えりあん)がガールクラッシュ(女性が憧れる女性)になるべく厳しい世界に身を投じる物語。恋がきっかけの天花と憧れがきっかけの恵梨杏。正反対の二人が夢を追いかけるストーリーがまず熱いし、何より絵柄が神がかっているってくらい美しい。キレッキレのダンスの「動き」が表現されていてただただ眺めていたくなる。

欲があるなら 弱さを武器にしないで
そういうつまんない女に 大切なものを取られたくない


サクラ、サク。 2巻 / 咲坂伊緒(集英社)

陽希と順調に良い感じになる咲。咲の親友・琴乃のクソ彼氏と一悶着もあって陽希・咲・琴乃の三角関係になりそうな展開。穏便にいってほしいところだけど男キャラも追加されそうだし多分大丈夫そう。


渡り鳥とカタツムリ 3巻 / 高津マコト(ワニブックス)

能登半島でぶらぶらする回。最近、各方面から「能登半島行きたい欲」を刺激されてヤバい。能登行きたい。雲平はまだ自分が何をやりたいのかを見出せずにいる様子。ここで一旦休載?されるみたいなので続きは気長に待とう。
どうでもいい持論だけど「旅(旅行)」は単なる非日常体験でしかないと思っていて、どこまで行っても日常ありきの非日常。普段の生活とのバランスが大事。つぐみさんみたいな常に非日常を摂取し続ける生活もかなり体力がいるよな〜〜とこの漫画を読んでいて思う。絵描きという特殊な職業なのもあるけど。


NEW GAME! 10〜13巻 / 得能正太郎(芳文社)

未読巻から完結巻まで一気読み。作中で推しキャラのほたる(主人公・青葉の幼馴染)がフランスのゲーム会社の一員になっていて、ラスボスみたいなポジションだったのは驚いたし、最後の「登場キャラのその後」みたいなページでコウさんとりんさんがしれっと結婚していて笑った。登場キャラが全員女の子なのはお約束として、終始「クリエイターの直向きな仕事っぷり」が描かれていて楽しく、熱く、読ませてもらいました。きららの長寿作品も次々完結していて寂しくなるなあ。連載お疲れ様でした。


ウマ娘 プリティーダービー アンソロジーコミック STAR 2巻 / Cygames(講談社)

ウマ娘公式アンソロ第2弾。表紙はなんとまさかのCLAMP大先生。いやどんな接点!?すごい。今回もマックイーン・ゴルシのコンビが多く登場していた印象。あとはアグネスタキオンも。薬持ってくるキャラは話の起点としても使いやすそうだしね。キングとウララの回は普通に目頭熱くなった。あの二頭は史実的にも泣ける。


サメガール 1巻 / 雪本愁二(講談社)

国家公安対巨大海洋生物治安総局所属「サメガール」。それが転校生・深田一花の正体。彼女は今日も街に現れる巨大魚の脅威から住民たちを守っている。パワーパフガールズっぽい感じだった。可愛い。


チ。-地球の運動について- 第5集 / 魚豊(小学館)

迫り来る異端審問官たちと対峙するオクジー。捕らえられるバデーニ。今回はちょっと久しぶりに拷問描写もキツめだったかもしれない。物語の構造上仕方ないけど、魅力的なキャラクターたちが次々と逝ってしまうのは読んでいてしんどい部分があるな…。改めて各巻を読んでると、第1集からここまで、重要人物は皆んな死ぬ時に空を見上げていて、なんか良いなぁ、と思った。自由と真実を求める意志は次なる時代へと受け継がれていく。

私の…… 私の… 番なのか?


今夜すきやきだよ / 谷口菜津子(新潮社)

あいこ(デザイナーとして働くキャリアウーマン・家事能力皆無・結婚願望強め)とともこ(売れない絵本作家・家事大好き・結婚願望どころか恋愛についてもいまいちピンと来ていない)の正反対の二人のアラサー女子の二人暮らしを軸に「普通の結婚」ってなんだろう、ということを描いた作品。
この作品の結末が正解だとは思わないけど、そもそも正解なんてないし、お互いがよく話し合って築いた関係ならそれはとても素敵だなって。個人的にはお互いいてもいなくてもあまり変わらないような関係がグッドだと思う。


彼女と彼氏の明るい未来 1〜2 / 谷口菜津子(KADOKAWA)

『今夜すきやきだよ』がとてもティンと来たので、谷口菜津子先生の過去作品をいくつか読んだ。これはその1。
少し先の未来。冴えない男・一郎にできた奇跡のような彼女・雪歌。幸せの絶頂かと思われた一郎はある日偶々、彼女が「ヤリマン」だったと知ってしまう。今自分の目の前にいる彼女を信じるべきだとは分かっていても、どうしても真相を確かめたい一郎は友人が作った「VRタイムマシーン」を使って彼女の「最初の相手」になろうと禁断の行動に出る。
「自分の好きな人の自分の知らない一面」はどうしても気になるものだし、一郎が過去の経験からめちゃくちゃネガティブな方向に想像力豊かなのも入り込みやすくて面白かった。2巻完結・読後感もとても気持ち良いのでおすすめです。


彼女は宇宙一 / 谷口菜津子(KADOKAWA)

その2は短編集。基本的に「恋愛」「女子」がテーマの話でどれも面白かったけど、最後にまぁまぁヘビーなのが来てちょっとビクッとした。キラッキラなインスタ投稿に勤しむ歪な母親って実在するのかな… するなら、ちょっとお目にかかりたいかも。


教室の片隅で青春がはじまる / 谷口菜津子(KADOKAWA)

その3は1冊完結のオムニバス短編。宇宙規模にグローバルな社会。有名になりたくてあれこれ挑戦するけど、空回りしているイタい奴、彼氏が欲しい宇宙人な奴、自分がオタクだということを周囲に隠してる美人な奴、SNSで理想の自分を演じる奴、自分が特別な存在だと信じたいけど、それに違和感も感じている宇宙人な奴、空っぽな自分をハイスペックな男とヤることで埋めようとする奴。教室の片隅の真ん中には物語の主人公が存在する。


ひらやすみ 1巻 / 真造圭伍(小学館)

生田ヒロト、29歳、フリーター、好物:たこ焼き。人柄の良さだけが取り柄の青年はある日、仲良くなった近所のおばあちゃんから一戸建ての平屋を譲り受けた。そこに田舎から上京してきた美大生のいとこ・なつみも加わり始まった二人の平屋暮らし。笑って泣ける「平屋モラトリアム」漫画。キャラの微妙な表情やコマの隅の細かい描き込みまで何もかもが愛おしくて、別に大したことなんて何も起きていないのに完全に心奪われた。こういう作品が大好きなんだ。
なんとなく、大好きな映画『横道世之介』みを感じたからってのもあるかもしれない。

くよくよ考えたってしょうがないじゃん。
あ、でも夕飯はめっちゃ考えるよ、くよくよしないから。


ぼくらのフンカ祭 / 真造圭伍(小学館)

『ひらやすみ』が琴線に触れすぎて、作者・真造圭伍先生の過去作を何か読もうと思い、おすすめしていただいたこの1冊をチョイス。作者の名前を気にせず過去にいくつか読んでいて、出会うべくして『ひらやすみ』に出会ったんだ、と少し運命を感じた。
火山のふもとの高校に通う富山と桜島の二人の男子高校生。火山の噴火でさびれた街は突如として活気ある温泉観光地へと変わってしまった。自分の好きだった風景が変わっていくことに微かな苛立ちを感じていた富山とそんなことを横目にとにかくモテたい桜島。二人の友情は噴火に便乗した街の祭「フンカ祭」が近づくにつれ、少しずつ変わっていく。
自分の好きな場所や仲の良い友達との距離が変わっていく時って、寂しさとか焦りとか色々押し寄せてきて「うわーーーーー!!!」ってなる。でも変わらないものをあったりするから人生わからない。
余談だけど、真造圭伍先生と谷口菜津子先生がご夫婦だと知って、驚いたと同時に一読者として何か同じ価値観で生きている姿を作品から感じ取れた気もして、嬉しかった。


3月のライオン 16巻 / 羽海野チカ(白泉社)

待ちわびていた新刊。『3月のライオン』は冬(これから寒さが厳しくなる季節)のイメージが強くて、冬以外の季節に読むと早く冬になってくれと思ってしまう。今回は年末年始の桐山くんや川本家が描かれていて余計にそう思った。桐山くんとひなちゃんの恋人と呼ぶにはあまりにも未熟で、家族と呼ぶのも少し背伸びしているような、お互いに相手を慮る関係が素敵すぎて涙が出そうになりながら読んだ(毎回だいたいそんな感じ)。
あと「便利炒め」のネーミングにはやられた。ズルい。島田研だらけの獅子王戦トーナメントの行方も気になるし、次の17巻が今から楽しみで仕方がない。


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