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2022年9月の本棚

9月に読んだマンガをまとめました。


兄だったモノ 2 / マツダミノル(コミックスマート)

”兄の恋人”と”兄だったモノ”と”私”。歪でおぞましい三角関係を進展させる鍵を握るのは”兄のもう一人の元恋人”というサイサコマサヨシという男。相変わらず不穏だけど面白い。それにしても他人の人生を狂わす魔性の男が多すぎる。


株式会社マジルミエ 4 / 岩田雪花・青木裕(集英社)

魔法少女(魔法使い)作品に欠かせない箒の強化イベント。ホーキ技師の天才少女・銀次さんに調整してもらった新ホーキに跨って他社の魔法少女に向けた研修の教育係を任されるカナ。

EXPOでの一件以来、マジルミエの仕事ぶりが注目され始め、その技術とノウハウを広く提供していくという社長のねらいの元、カナとマジルミエの新たな挑戦が始まる。


酒と鬼は二合まで 4 / 羽柴実里・zinbei(スクウェア・エニックス)

鬼アイドル・アジュのライブサポートバーテンダーを務めることになったナオリ。ライブシーンは他のアイドルマンガにも負けない熱く滾るステージだった。

そして明かされるひなたの実家、鬼一族のお家事情とひなたに課せられた使命。お酒で繋がる鬼と人間のライト百合。やっぱり好きです。


SANDA 5 / 板垣巴留(秋田書店)

「未成人式」の祭囃子の中、三田を襲う生天目の銃声が轟く。大人になりたくない子ども、大人なりたい子ども、大人になってしまった子ども。この世界では「成長」があまりにも残酷すぎる。そして、そっと張られた「トナカイ登場」の伏線。サンタといえばトナカイか。


ややこしい蜜柑たち 1 / 雁須磨子(祥伝社)

美人だけどどこか暗くて陰気な主人公・清見は明るく朗らかな親友のモテ女子・初夏にできた新しいイケメン年下彼氏の白柳と不可抗力的に男女の関係を持ってしまう。

親友との関係は?寝取ってしまった男との今後は?こんな人生で大丈夫?と想像の遥か斜め上を行く登場人物たちの言動に困惑しながら読んでました。どうなんだこれは。


はぐちさん 9 / くらっぺ(祥伝社)

安定感抜群の大好きな癒しマンガももう9巻目。前回の芙蓉ちゃんメインの回多めからまた通常運転に戻ったようで一安心。毎日色々大変だけどみんな頑張ってるよ。


君は放課後インソムニア 10 /オジロマコト(小学館)

体調が回復してくれたイサキはガンタやみんな楽しい年末年始を過ごす。今まで貯めたお年玉貯金をはたいて買ったカメラを持って、また天体観測へと出かける。

冬の澄んだ空気ってやっぱり大好きだ。それがページから伝わってくるこの作品も大好き。アニメも楽しみです。


黄泉のツガイ 2 / 荒川弘(スクウェア・エニックス)

荒川弘先生が放つ異界と現代が交わるバトルファンタジー第2巻。アサの一味・影森家と接触し、彼らの屋敷にやってきたユル。そこでもツガイバトル勃発。様々なツガイが登場し、これがまたデザインや設定が様々で物語の面白さに拍車をかけていた。やっぱり「能力バトルモノ」はそれだけでもう楽しい。

明かされるアサの秘密と二人の両親が抱える謎。まだまだもっと面白くなる。
アサがヒロインというよりマスコット的可愛さなのが好き。


破談から宜しくお願い致します 2 完結 / 水島ライカ(スクウェア・エニックス)

筋肉バカと財閥令嬢の「破談」から始まる年の差ラブコメ完結巻。最後までプラトニックでした。瑠璃ちゃんが可愛かったからOKです。今月の「個人的ベスト・オブ・表紙」入選作品。


ポッケの旅支度 / イシデ電(KADOKAWA)

猫漫画家として有名なイシデ電さんが、飼い猫のポッケの最期を看取るまでの日々を綴ったエッセイ。過去にちゃんとお別れできなかった愛猫との記憶を胸にポッケの永遠の旅に向けた旅支度を進める作者の日々が描かれている。
大切なペットとのお別れをどういう形にするか。どれだけ準備をしても悲しみは軽くならないと思うと、難しいなと思います。でも大事なことなのは確か。

作品のテーマとは関係ないけど、漫画家の、辛いことがあった時に「漫画に描いてやる」という気持ち、大事な精神であることは理解した上でかなり気持ち悪いと感じる。「晒し上げてやる」みたいな現代社会風な意地汚さが垣間見えるので。


ゆびさきと恋々 7 / 森下suu(講談社)

「一緒に住まない?」と持ちかけてくる逸臣さんがズルすぎる。それは禁止カードでしょ。雪ちゃんと一生一緒にいてくれや…


月曜日が待ち遠しくて 2 / 旗谷澄生(講談社)

地味にめちゃくちゃ好きな恋愛短編集。今回は特に「伝書鳩」のやつがよかったです。イケメンの親友のイケメンに片想いするやつ。こういう少女漫画の栄養素は短編集から摂取するのが一番効率が良いなと思う今日この頃。3巻も出てくれますように。


推しが武道館いってくれたら死ぬ 9 / 平尾アウリ(徳間書店)

地下アイドル「ChamJam」の舞菜を推すことに”全て”を捧げるオタク・えりぴよ。推しの生誕祭を祝いながらも、グループのリーダーであり、精神的支柱でもあるれおの引退が発表される。推し続ける人がいて、推され続ける人がいる。横から見ても分からない真正面から向き合う人たちの気持ち。


病める惑星より愛をこめて 2 / 本田(秋田書店)

異星人から処方される究極のもふもふ癒し生命体を抱くことで辛うじて己が生を保つ人類。オムニバス形式の作品ですが1巻よりちょっと分かりにくい話が中心だったかもしれない。※自分の読解力がないだけかもですが。


あかねさす柘榴の都 2 / 福浪優子(KADOKAWA)

スペイン・グラナダの歴史や文化に触れ、その土地の住民に「なっていく」14歳の少年・夏樹。この作品を読んでいると、自分の住む場所について知ろうとすることの大切さを改めて思い知る。その土地に深く根を下ろすように、そういう風に生きていきたい。


猫のまにまに 1 / 宇島葉(KADOKAWA)

売れない小説家・真田尾(またび)さんが拾った猫は千年以上生きる猫又だった。名を金子(かねこ)というその猫又をなし崩し的に飼うことになった真田尾の悩ましいほど幸せな共同生活が始まる。

金子さんのデザインがとにかく好み。『物語シリーズ』の忍野忍みたいな、ああいうちょっと傍若無人な美少女にこき使われたいと思うのは人間のサガですよね。


嘘つきユリコの栄光 3 / 田中現兎(講談社)

家康と巡の二人を従え、両手に華(?)なユリコ。家康の排除を目論む家康の義兄相手にも物怖じせず正面から嘘をつくが、家康の実父という最大にして最悪の黒幕が登場し、波乱の展開に。どう嘘をつけば今の状況を打破できるのか、想像もつかない。


よふかしのうた 13 / コトヤマ(小学館)

半吸血鬼化の力が覚醒するコウとマヒルの家族へ接近する魔性の吸血鬼・星見キク。キクを止めるべく現れた吸血鬼たち。そしてコウの母。どうやってカタをつけるのか。ススキのキャラデザ好きです。


葬送のフリーレン 9 / 山田鐘人・アベツカサ(小学館)

遂にアニメ化決定。


はじめラブコメ オガベベ 5 完結 / おきらくボーイ(小学館)

ハジメ族の旅の終わりを目前に執り行われることとなった精霊祭の準備中に、オガとベベの「土器」の関係が一族にバレてしまう。一族の掟を破ることになったとしても二人一緒にいたいと願うオガとベベ。そんな二人の強い意志を前に皆が理解した「土器」という感情の正体。それは、ハジメ族が先祖代々受け継いできた精霊に対する「請い」し合う気持ち。相手が精霊でないだけで、ずっと持ち続けてきたその大切な感情が「土器」であり「請い」であり「恋」だったということ。

原始的純情ラブコメ、これにて終劇。あまりにも綺麗に終わって、ひどく感心してしまった。なるほど「請い」か。なんか本当に「恋」の起源ってこうなんじゃないかと思えるほどだった。素晴らしい作品をありがとう。


怪獣くん〈新装版〉 / るぅ1mm(双葉社)

いじめられていた親友のために加害者に手をあげてしまった少年・しんたろう。「怪獣くん」と呼ばれ孤立していた彼のクラスにある日、怪獣と人間のハーフの少女・このみが転校してくる。「たくさんの人と仲良くなりたい」「父親の代わりに怪獣は怖くないということを証明したい」と願うこのみは、初めはクラスに馴染むも、次第に怪獣であるが故にクラスで浮いていってしまうーー。

思春期という意味不明な時期に、教室という摩訶不思議な空間で育まれていく異様な人間関係。誰もが体験したあの時間の中に「正しい在り方」なんてない。みんなと仲良くならなくたっていい。誰か一人でいい。そんなメッセージが込められた、優しくて暖かくて切ない一冊でした。これを美大の卒業制作で完成させたという事実にただただ凄みを感じる。


妖精のおきゃくさま 1~2 / 脇田茜(双葉社)

服飾デザイナーの人間の元へやってきた妖精のお客様。住む世界は違っていても同じものを慈しむことはできる。種族の壁を越えて、好きなものへの拘りを貫いていくストーリーが素敵でした。人間のキョウコが誰に対しても言葉遣いが丁寧なのがよかった。妖精のヒメ(マリー)もティンカーベルみたいで可愛い。

2巻では小学生の男女に妖精の存在がバレて〜…という展開。お約束ながらも1巻とまた少し違った毛色の内容で楽しめました。おすすめです。


月出づる街の人々 1 / 酢豚ゆうき(双葉社)

透明人間、メデューサ、フランケンシュタイン、狼男、ドラキュラ、ナーガ。モンスターたちが生きる世界でも少年少女はそれぞれ少しの悩みや葛藤を抱え、お互いに想い合いながら生きている

月明かりに照らされるような優しいオムニバスストーリーを収録。温かくて心地よい一冊でした。


シャドークロス 4~5 完結 / スガワラエスコ(集英社)

4巻5巻同時刊行で完結。最後まで読めたのは素直に嬉しいけど、打ち切りエンドだったのは正直悲しい。最後結婚してしまった。いやまぁそれも一つのルートとしては全然ありだけど、もう少し過程が欲しかったと思わずにはいられません。

スガワラエスコ先生は連載作がいまいち軌道に乗り切れない印象。これからも応援してます。


少年のアビス 10 / 峰山りょう(集英社)

東京で再会した小説家・似非森は末期癌で痩せこけていた。死を目前した男はアビスについて語り出す。ただ”いる”だけで関わる人は堕ちていく。どうしようもない「深淵」についての過去の記憶。やっぱり母親が一番強い。

ドラマは怖くて見れてないです。割と出来は良いらしい。


たぬきときつねと里暮らし 3 完結 / くみちょう(集英社)

リタイアOLの田舎エスケープストーリー完結。泰葉が東京に帰っちゃったり、ももといちが森の神として何か強大な力を発揮したりすることはなく、のんびりおだやかもふもふしておしまい。これでいい。癒されました。


花は咲く、修羅の如く 3 / 武田綾乃・むっしゅ(集英社)

Nコンに向けて各部員が作品作りを進めていく放送部。クールメガネ男子・松雪の家庭事情が垣間見えたり、憧れであり因縁の相手でもある修羅の舞台を観に行って奮い立たされたり。青春してるな〜。


生徒会にも穴はある! 1 / むちまろ(講談社)

『生徒会役員共』の遺志を受け継ぐマガジンの下ネタ生徒会四コマ。役員共よりかはマイルドな感じだったけど、それでも酷かった(褒め言葉)。今のところ、乳首担当のたん(♂)が痛い目に遭うのを期待しながら読むのが一番いいかもしれません。一番可愛いのは会長(表紙の娘)。


金色のガッシュ!! 2 1 / 雷句誠(クラーケンコミックス)

魔界の王を決める戦いから時が経ち「王様」も死んでしまった魔界から物語は始まる。
謎の魔物・ワイグから命からがら逃げる魔物の少年・ゼリィは散っていった友の遺言「キヨマロというヒトを探せ」という言葉を胸に、人間界・エジプトへと転移する。スラム街を彷徨うゼリィの前に再び現れるワイグ。絶体絶命のその時、ゼリィを庇うように一人の人間が現れる。その人間こそ、かつて王様のパートナーとして魔界を救った人間、若き教授となった高嶺清麿だったーー。

ぼくらのガッシュが帰ってきた!!そのことが何より嬉しいのです。


SCRIBBLES 3 / 森薫(KADOKAWA)

森薫先生のラクガキ本3冊目。今まで描き溜めていたものを一旦出し切ったそうでこれで一応完結みたいです。完結も何も画集みたいなものですが。
大乙嫁語り展も開催中なので近々行きたい。


天狗の台所 1 / 田中相(講談社)

ニューヨーク育ちの14歳・オンはある日突然、自分が天狗の末裔だということを告げられる。天狗界のしきたりに従って1年間を世俗から離れ隠遁生活を送ることになったオンは、東京に住む兄・基と同居生活を送ることに。そんな天狗パワーに胸膨らます少年を待っていたのは、自然の恵みを享受する豊かなスローライフだった。

元気なオンと淡々とした基(と喋る犬むぎ)。天狗設定はひとまず置いておいて、お腹も心もいっぱいになるような、素敵な作品でした。生きることは食べること。


誰も知らんがな 1 / サライネス(講談社)

両親が遺した資産価値ゼロの旅館に姉弟たちが集結し、なんやかんやで旅館「晴天荘」を再オープンさせてみた、というホームコメディ。大阪弁の飛び交うユルい空気感が心地よく、個人的にはバシッとハマりました。

タイトルはサライネス先生の過去作『誰も寝てはならぬ』を意識してとのことです(内容的には繋がりとかはないです多分)が、これがまたかなり好きです。「知らんがな」の精神で生きていたい。


わたしたちは無痛恋愛がしたい ~鍵垢女子と星屑男子とフェミおじさん~ 2 / 瀧波ユカリ(講談社)

自分の人生を生きられない悲しい鍵垢女子とただのゴミクズ男子と影の薄い卑怯な大人のフェミおじさん。良くも悪くも「フェミニスト」を扱ったマンガもここ数年で増えた(自分が読むようになっただけかも)けど、読んでいてあまり気持ちの良いものではないなとつくづく感じるところではある。

作中で10年の月日が流れたから終わるのかと思ったけどそんなことはなく3巻も出るらしい。


その着せ替え人形は恋をする 10 / 福田晋一(スクウェア・エニックス)

TVアニメ続編制作決定めでたい。コスプレの「合わせ」をする為に準備を進める喜多川さんと五条くん。大変申し訳ないけど「合わせ」なんかしてる場合じゃないくらいラブコメが加速していて良い。「合わせ」が終わった後に告白すると息巻く喜多川さんと全くそんな気はない五条くん、二人の関係は進展するのか。してほしい。


ひかる・イン・ザ・ライト! 4 完結 / 松田舞(双葉社)

アイドルオーディションマンガ完結巻。終わってしまったのは寂しいけど内容としては必要十分な感じで満足です。

一人の少女がアイドルとして世界に見つかるまでの物語。いやこんなトントン拍子で進むわけあるかい!とかそんな野暮なことは言ってはいけない。フィクションとしてのアイドルをフィクションとしてマンガで描き切ってくれてありがとうという気持ちです。女の子が全員可愛かったし次回作にも期待大。

……あーあ
寂しいなぁ
荻野ひかるが見つかっちゃった…

西川蘭/『ひかるイン・ザ・ライト!』4巻 p.155-156


ブランクスペース 3 完結 / 熊倉献(小学館)

スイが生み出してしまった「透明な犬」は次第に暴走し、町に影響を及ぼしていく。「空白」の存在たちが集結し、物語はクライマックスへ。


東京ヒゴロ 2 / 松本大洋(小学館)

出版社を退社して自分の納得のいく漫画雑誌を作ろうとする元編集者・塩澤。漫画を生む喜びや苦しみ、葛藤。漫画が世の中に出てくるまでに、多くの人が携わって、その人たちの想いを乗せて我々読者の元に届けられているんだよな、という至極当然のことを改めて感じました。


模型の町 / panpanya(白泉社)

意外と早く出たpanpanya先生の新刊。『ここはどこでしょうの旅シリーズ』『登校の達人』『ブロック塀の境地』『情け無漁』が好き。『模型の町』は『ミッケ』を見ているみたいな懐かしい気持ちになりました。


ひらやすみ 4 / 真造圭伍(小学館)

気になる人の前で鼓動が大きくなるところ、よもぎさんの靴下が左右違うところ、店先で木枯らしが舞っているところ、お風呂のイスを捨てちゃうところ、クリスマスパーティーにチキンと一緒にちくわが出てくるところ、苦手な奴の自分と似ているところ、予定もないのにイブの誘いを断ってしまうところ、ヒロトの足をクロスさせがちなところ、好きな人の寝顔をこっそり撮ってしまうところ、実家はありがたいところ、親の偉大なところ、忖度せずちゃんと伝えるところ、婆ちゃんの友達思いなところ、ダッシュしてスッキリするところ、ブッ飛んだご飯が扉にへばりつくところ、友達の好きなお菓子を覚えているところ、あかりちゃんのサムネが寿司なところ、自分の好きなものに向き合おうとするところ、透かしブロック塀を連作の題材にするところ、冬が終わり、春がやってくるところ、そういうところが好きです。


センチメンタル無反応 真造圭伍短編集 / 真造圭伍(小学館)

2016年の『休日ジャンクション』以来6年ぶりの短編集。初めて真造先生の短編集を紙で購入しましたが、とても美しい装丁でした。こういうのがあるからやっぱり紙で手に取るべきなんですよね。

青春、ラブコメ、戦争(?)、家族、孤独といったテーマや松本大洋本への寄稿や『トーキョーエイリアンブラザーズ』の後日談、『ひらやすみ』誕生に繋がる闘病エッセイ、とどれも味わい深くてよかった。真造先生の短編集特有のどこか殺伐とした雰囲気も含めて好きです。これからもより一層応援してます。


台風の日 真造圭伍短編集 / 真造圭伍(小学館)

最新の短編集を読む前に最初の短編集も読まねば、ということで読了。ビール怪獣の話は『ひらやすみ』内でなっちゃんが賞を貰う作品の原型的なやつでした。ビールを飲んで巨大化していく生物兵器の話(?)。基本どれもぶっとんでいて、投げやりで、もはや清々しかった。


森山中教習所 / 真造圭伍(小学館)

読んだ気になっていたけど最後までは読んでいなかった真造先生の代表作の一つ。プー太郎の青年・清高がかつてのクラスメートで現在はヤクザの下っ端だという轟木と再会し、ひょんなことから非公認の自動車教習所に通う、特に何も起こらない一夏の物語。

真造先生の過去作は基本ユルい雰囲気なんだけど、ちょっとノスタルジックな人間関係が描かれたりするので好きです。もう戻れない、戻りたいとも思わないあの頃、的な。


天幕のジャードゥーガル 1 / トマトスープ(秋田書店)

13世紀、イラン東部の都市トゥース。奴隷として売られたこの街で少女シタラは「知識」という武器に出会う。モンゴル帝国の侵略により主人を失い捕虜となったシタラは、運命に翻弄されながらも生き抜くことを誓う。広大な大陸を翻弄した一人の”魔女”の物語、開幕ーー。

壮大な歴史譚で、ストーリー的に重苦しくなりそうなところを可愛らしい絵柄で上手くバランスが取られていて読みやすかった。それでいて締めるシーンはグッと締めていて緩急も良い。中央アジアの情景も美しく、感情的にも視覚的にも揺さぶられる素晴らしい作品でした。



雑記

9月は『はじめラブコメ オガベベ』『ひかるイン・ザ・ライト!』の完結2作品が特に印象的でした。『月出づる街の人々』『天狗の台所』『誰も知らんがな』『猫のまにまに』などの素敵な新刊も出たりして、いつも以上に別れあり、出会いありの月だったように感じます。

掲載順を考えるのが面倒だったので、結局また発売順にしました。また気が向いたら弄っていくかもしれません。

というわけど今年も残り三ヶ月(!?)。ゆるりと頑張っていきましょう。

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