4.息を潜めた確執。


私達親子は、私が5歳の時から
ふたりだけで生きてきました。

20歳で私を産んだ母は
自由を失って右も左もわからずに
終わりのない孤独感を抱えながら
子育てに必死だった。


日々を生きることで余裕がなくて
私との時間はなく、私の記憶に残るのは
母が常にイライラしている姿と誰もいない家。

互いに、会話する時間もなかったと思う。
今の時代なら虐待になっていた環境だと思う。

でも、ヒステリックな母の奥底には
少しの愛情はあるように見えた。

そんな私たち。

私は大人になって、母は中年になって。
お互い大人だからといっても
気難しい母という根本は変わらない。

今一緒に生活して、みんなで頑張っても
余命と病気を言い渡された母の心が
グラグラ揺れて荒んでしまうことも沢山あった。

その度に、未来を考えずに
今日だけを見つめる言葉を探した。

『今日最善を尽くした人にしか、
最善な未来はこないよ』

『だから泣き言いってる時間ないよ!』

思いつく限りの今しか見えない
綺麗事を沢山並べた。

苦しくて吐きそうになることもあった。

母の荒んだ心と向き合うことに
すりへって病んでいたと思う。

でも、どんな結果になっても

『全てが終わった後に文句を言う。
文句と愚痴は後でもできる。』

そう言い聞かせた。

家にいれば不安定な母。
母を残して長時間の外出はできない。
旦那さんに話しても、誰に話しても
変わることはない現状。

人に自分の気持ちを咀嚼して話す事さえ
苦痛に思うくらい疲れ果てていた。

わたしのストレスは限界だった。

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