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【読んだ】10月の本たち

10月に読んだ本たち。これらの本を読んで考えたことを端的にまとめている。


これは水です/David FosterWallece著, 阿部重夫編

David Foster Walleceというモダン文学作家が2005年Kenyon大学の卒業式で卒業生に向けて送ったスピーチ文章。

ひとつのメッセージを伝えているスピーチであるが、あえて具体に着目してみる。文中に、"日々の暮らしに無神論というものは存在せず、みんな何かを崇拝して生きている、我々に与えられた唯一の選択は、何を崇拝するかである"という文章がある。(がっつりメインの主張と関係あるわけではない)
何かを信じたりこれが自分の道だと決めることが苦手な自分には刺さったが、何かを崇拝したほうがスピード感を持って楽しく生きられると思った。

ちなみに著者はこのスピーチから3年後に自死している。自死したからといって、彼の発言に重みや意味がなくなるわけではないと思っている。

読書の価値/ 森博嗣

物心ついたときから文章を読むのが好きだったが、読書自体の価値を意識したことがなかったので、森さんが考える価値が気になって購入した。
森さんはとんでもないスピードで文を書く作家として有名だそうだが、読むのは遅いほうらしい。ただ、読んだ文章は頭の中で展開させるため、一度読んだことは忘れないそうである。
これを読んで、自分も自分の中に残るような読み方がしたいと思い、ゆっくり噛み砕いて思考を展開するように意識している。個人的にはそちらのほうが楽しく読めると感じた。

完全独習    統計学入門/ 小島寛之


数字を正しく解釈したり処理できるようになりたいと思って統計の勉強(?)を始めた。もともと数学がとても苦手かつ嫌いだったが(分からないから嫌いなのだろう。なんと浅はか)、この本は式の意味をとても詳しく説明してくれているので、初めて少し「わかるかも」という気持ちになった。世の中にあるいろいろなデータの解釈が広がるといいなと思う。

風は青海を渡るのか?/ 森博嗣

"人間"と"単独歩行者(ウォーカロン)"と呼ばれる人口細胞で作られた生命体が共存した世界の話。
3作目を読んで、自分が人間として自身に求めるものは何だろうと考えた。何百年も長生きしたいと思わないし、自分の脳みそや意識を残すために身体を乗り換えたいとも思わない。人間の限界は身体性にあると思っていて、身体から自由になればどこまでも拡張できるが、そこまで拡張機能は求めてないかもと思った。命も終わりがあると思うと毎日楽しく生きられる。

もしぼくが本だったら/ ジョゼ・ジョルジェ・レトリア

この絵本は"もしぼくが本だったら"読み手にとってどのような存在でありたいかを描いている。自分の性格や考え方は本から大きな影響を受けていて、本は幼少期に一緒に通学する相手だったり、思考に潜らせてくれる場所だったり、自分の考えていることに適切な名前や概念を教えてくれる存在だったりしていた。好きだったページを置いておく。

もしぼくが本だったら    ぼくをえらんだ読者を    飼いならすことなく自由にしたい

もしぼくが本だったら    思わぬ意味を言葉にあたえる    壮大な詩になりたい

もしぼくが本だったら    だれかをしあわせにできるなら    どこへでもゆこう

人間たちの話/ 柞刈湯葉

最近ハマっているSF作家の作品で、noteのメンバーシップも契約して毎週更新されるエッセイも読んでいて、小説も読みたくなり購入した。
この方の好きなところは、自分がよく考えることと近しいことを自分とは違う表現で書いてくれるところである。
どの短編も面白くて発見もあるのでおすすめ。
ユーモラスでとても好き。
↓こんな感じの日本語です。

人間の行動の結果であり、すなわち、なんらかの人間の感情の跡

人間たちの話

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