見出し画像

読書感想文「民主主義とは何か」について。

民主主義って何だろう。改めて問われるとわからない。そんな問いに真正面から答えてくれそうなタイトルに惹かれて手に取った本です。

早速ですが、著者の宇野が考える民主主義とは「参加と責任のシステム」であるということです。政治の側面で言い換えれば、国民が選挙を通じて政治に参加することができ、また政府の政策に対して説明責任を追及することができるシステムが整えられていることです。

日本はどうでしょうか。近年、若者の投票率が下がっていると言われています。日本は民主主義の国と言われていますが、若者の投票率を上げたところで、これからの日本の民主主義を保つことができるのでしょうか?民主主義とは参加と責任のシステムであることを考えると、やはり選挙の参加率を上げるだけでは、日本の政治を民主主義の側面から支えることは出来ないと思います。まして、その先にあるのは票の獲得のみ追求し、政策を顧みないような政治の腐敗が存在するかもしれない。

選挙の参加率を上げたその先にある、説明責任を追及する行為がセットになってなけらば、真の民主主義とは言えません。私自身もそうですが、昨年初めて選挙に行った時も投票しただけで自分は政治に参加できたと満足していました。そうではない。自分の選んだ政党がきちんと政策を実行しているのか、政治家が私益ではなく私たち市民のために尽くしているのかを監視することが大切であり、それこそが私たちの民主主義社会を形作るものであると実感することができました。

最後に、この本は民主主義の歴史を振り返るものです。著者の宇野自身も、この本は新たな民主主義を提案するものではなく、教科書的なものと述べています。今の民主主義に不満を感じる人がいるかもしれません。だけど、民主主義の歴史は古代ギリシアから続いています。その歴史を知らずして現代の視点から民主主義を考えるのは早計ではないかと私は思います。民主主義がたどった歴史を振り返り、改めて考察してみる。そこに、人それぞれの価値観に基づく民主主義が見えてくるはずです。

「民主主義とは何か」著 宇野重規 講談社現代新書

この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?