ママセラピストが考える発達過程と臨床の繋がりPart2
Peekaboo!
本日も「臨床BATON」にお越しいただきありがとうございます✨1周回ってきました〜😆24日目担当のママセラピスト堀井結賀です♫
はじめに
前回の記事はヘッドコントロールについてでした(*^^*)皆さん、臨床で実際に見てみてどうでしたか?
前回の記事はこちらから🔽【ヘッドコントロールについて】
https://note.com/nougeblog/n/n1aeae514e6ad
頸定後は、どんな動作するのかなあ〜って国家試験で勉強した知識を絞り出してみると「ゴロン(5・6ヶ月)と寝返り」だったから寝返りするのかな?と思いながら娘の成長をみていると首が据わってから座位が獲得されるまでの間は、腹臥位になってよくこのポーズをとっていました。
「わあー!すごい!顔が挙がった😆よく見えるね〜💓可愛いよ〜(^o^)」なんて親バカなことを言って見ていました。笑
後々よく考えてみると、すごく重要な発達過程なんじゃないかなって気づきました。私達は重力に抗して抗重力伸展活動を行っています。そのため肩甲骨は内転位にあり、脊柱はS字カーブとなっています。なぜS字カーブなのか?それは3つの部分で荷重を分散させるためです。圧迫骨折の好発部位が胸腰椎移行部なのも説明がつきますよね☺!
しかし子供はどうでしょう?
胎内にいる頃からほとんど小さく丸まって脊柱をCカーブさせ、上下肢ともに屈曲していた新生児時期。頸定後、はじめて脊柱を伸展方向へ動かすことを無意識に発達過程として行っているのです💁‼
これは今後獲得していく座位・立位において重要になってくる抗重力伸展位活動の前段階なのかな?
ん?赤ちゃんの脊柱ってCカーブなの?頭と両手が浮いてるけど、肩甲骨ってどうなってるのかな?って思いませんか?
臨床の場面では、年齢を重ねて行くに連れ座位や立位でも脊柱S字カーブを作れない方が沢山いませんか?胸郭が前側に出ているので、筋力低下・筋緊張コントロールが困難になると重みで体幹が前傾して円背になっていくことも臨床では考えられますよね。(※高齢者の方にも多いですが、今回は脳卒中の方に対してのお話をしていきますね♪)
体幹伸展のポイントは歩行セミナー講師、中上博之先生が詳しく説明してくださっているので是非セミナーへ足を運んでみてくださいね❤
HPはこちら🔽
https://nougerinsyou.com/category/gait/
どんどんCカーブの状態になっていってて、そうなると寝たきりの新生児や胎児のようで・・・なんだか子供返りしているみたいだなと思うようになりました。
これってなんで?
発達過程を学んでいくと紐解けるかも・・・👶?一緒に学んでいきましょう✏
人類の進化と肩甲骨について
発達よりも前に人類の進化についてお伝えさせていただきます🐒🌿
進化の過程において重要な要素はなんだと思いますか?
なぜチンパンジーは四足で、人は直立二足なのでしょうか。
比較してみましょう〜😄!
❒胸郭
❒肩甲骨
❒腰椎の前彎
❒骨盤
これらの位置や形、機能が異なります。
これが四足から直立二足化へのキーポイントになってくると考えています。
重心の位置も変わってきますよね。
直立二足進化への道には、上記の4つが必要不可欠項目です。
本日はその中でも肩甲骨にピックアップして記事をまとめていこうと思いますっ(*^^*)!是非、最後までお付き合いいただけると嬉しいです✨
上記の通り、人類の進化においても直立二足化になるためには肩甲骨の位置(内転)が非常に重要になってくるのではないでしょうか。
発達過程と肩甲骨について
話を子供の発達に戻しますね🚼
皆さんは、Cカーブ肢位をとっている赤ちゃんの肩甲骨はどうなっていると思いますか?
答えは少し外転位にあります。(チンパンジーも外転位にありますね!)
生まれて間もない頃Cカーブを描いていた脊柱は、4ヶ月辺りになるとピボット・プローン・ポジション(別名:飛行機ポーズ)の姿勢をとることによって少し外転位にあった肩甲骨に内転位方向の動きが加わってくるようになるのです😄
補足ですが、そうするとさらに頭頸部がしっかりとしてくる印象がありました。教科書的にお伝えすると、発達は頭部から尾側方向に向かいます。しかし教科書通りではなく肩甲骨から上にも波及するし頭頸部が安定してくるから肩甲骨も安定してくるという一方向ではなく両方から考える視点も必要だと思うようになりました。
臨床で見るときにはヘッドコントロールに変化があった時に、肩甲骨をみることもお伝えできればと思います😄💓
また下記の写真にあるon elbowのような姿勢もよくとっていました。今考えるとon elbowから肩甲骨に対しての体性感覚入力+荷重がかかるため、無意識的にだけど抗重力伸展活動という筋緊張が高まってきてる😳‼‼やっぱり筋緊張って無意識的にコントロールされてるんだなと再確認出来ました。
肩甲骨を安定させる筋は?
では、肩甲骨を安定させるために必要な筋肉ってなんでしょうか?
引用1):
前鋸筋と僧帽筋中部線維は肩甲骨を表と裏から挟むように支えながら、拮抗するように力が働き、肩甲骨を安定させる役割を有する。具体的には前鋸筋が肩甲骨を前方へ、僧帽筋中部線維が肩甲骨を後方へ牽引し、2つの筋の合力が肩甲骨を胸郭に押さえつけて安定させる。
発達過程においても写真のようなon elbow姿勢で前鋸筋へ、その後上部体幹を反るような姿勢をとることで僧帽筋中部繊維に対して収縮が入ることによって、肩甲骨の下角がTh7くらいの高さ位置に近づきます。つまり、上記の図のように2つの筋肉の合力が肩甲骨を胸郭におさえつけるような働きをするため安定し理想的な姿勢保持が可能となるのかなと。
さらに肩甲骨に対して内転方向への動きとなるため菱形筋にも収縮が入っていくと考えています。
肩甲骨のコントロールが難しい人は?
実際の臨床において肩甲骨のコントロールが難しい方のイメージはありますか?
「他動的に動かしても硬くて動かない!」とか「随意運動を促してみても肩甲骨の動きが確認できない!」ということを臨床において経験された方が多いのではないでしょうか。
私のイメージは・・・
❒ヘッドコントロールが出来ていない
❒寝たきりの方・車椅子座位が多い方(同じ姿勢をとっている時間が長い人)
👉シーティングについては、よっしーさんの記事へ🔽
https://note.com/nougeblog/n/nd5610c7d5ed7
❒随意運動が出来ない
❒筋緊張が亢進・低下している
❒円背姿勢である
❒飲み込みに問題がある
👉飲み込みについては摂食嚥下セミナー講師の小西・柳本先生のセミナーへ🔽
https://nougerinsyou.com/category/swallowing/
他にもありますが、私は臨床においてこのようなイメージが強いです☺
寝たきりの方、筋緊張に問題のある方の肩甲骨を触診して可動性を見てみてください。おそらく殆どの方が可動性の少なさに驚くと思います。少し失礼になりますが、先程お話したチンパンジーの骨格のように円背姿勢になると肩甲骨が外転してしまいます。そうすることによって、肩関節内旋が強くなり大胸筋の短縮も多くみられると思います。
これらの結果、臨床において肩甲骨が内転方向へ動かないため抗重力伸展位をとりにくい方を目にしたことがあるのではないでしょうか?
評価は?
では、評価として何を診ていけばいいでしょうか。
●頭頸部の屈曲・回旋・側屈に左右差がないか。
●後頭下筋群・僧帽筋上中部線維・前鋸筋・菱形筋の筋緊張・筋長はどうか。
●前面の筋肉(小胸筋・大胸筋)の筋緊張・筋長はどうか。
●肩甲骨の可動性はどうか。特に側臥位で内転・外転・上方回旋はどうか。座位では内転への動きが出ているのか。(抗重力伸展方向への動きは出るのか)
脳卒中の患者様でも肩甲骨が安定したら、次に獲得したい動作はリーチ動作ではありませんか?発達過程においても同じようにピボット・プローン・ポジション肢位を取り、その後肩甲骨が安定してくると寝返りたい側へのリーチ動作が見られるようになるんですよ〜٩(๑´0`๑)۶🎶
ですから、肩甲骨の安定性を得ることでADL動作UPに繋げていけると私は考えています💓よって上記の4つの評価は必ず行っています。
治療は?
上記の内容で評価を行い、臨床において私が行っている治療をお伝えしますね。
側臥位にて肩関節水平内外転を用いて、まずは徒手的に肩甲骨の内転・外転・上方回旋方向へ動かしていきます。(その後、肘関節伸展させながら随意運動にチェンジしたりもしています)
なぜ側臥位を選択しているのかというと、背臥位に比べて肩甲骨の動きが出やすいからです。日常生活動作において肩甲骨が床面に接地している状態はまずあり得ませんからね☺(もちろん背臥位での運動が悪いわけではなく、時と場合で選択することはありますよ✨)
側臥位姿勢保持をさせて、自分の力で肩甲骨を内転方向へ随意的に動かしてもらうこともあります。(これは次回お話しようと思っているリーチ動作や上部体幹回旋にも繋がってくるので詳しくはまた来月っ💓‼)
座位姿勢をとっていただき、徒手的に肩甲骨が内転できるか。そして同時に抗重力伸展位方向へ誘発していきます。その時、ヘッドコントロールが必要になってきますよね!
私達はいわゆるいい姿勢をとろうとすると必然的に顎が下がるんですが、顎が上がってきちゃう人も多くいるんですよね〜!是非、注目してみてくださいね。
座位が保てない方には前側にテーブルを置き両上肢on elbow肢位をとっていただき(この時は手指伸展させ手掌面接地)肩甲骨に対して荷重をかける練習もしていますよっ💁(あっ!ピボット・プローン・ポジションに繋がる!笑)
この肢位をとることによって自然と抗重力伸展・ヘッドコントロールが促されるため肩甲骨を内転位方向へ動かすような筋収縮が可能となります。
本日のまとめ
①人類の進化においても直立二足化になるためには肩甲骨の位置(内転)が非常に重要になってくる
②発達は頭部から尾側にとあるが、教科書通りではなく肩甲骨から上にも波及するし頭頸部が安定してくるから肩甲骨も安定してくるという一方向ではなく両方から考える視点も必要
③肩甲骨を安定させる筋肉は、前鋸筋・僧帽筋中部繊維・菱形筋
④肩甲骨のコントロールが困難になると肩甲骨の動きが出現しなくなったり、肩甲骨が外転方向に偏位したりするようになる。結果、肩関節内旋が強くなり大胸筋の短縮も多くみられる⇒肩甲骨が内転方向へ動かないため抗重力伸展位をとりにくい
⑤評価:●頭頸部の屈曲・回旋・側屈に左右差がないか。
●後頭下筋群・僧帽筋上中部線維・前鋸筋・菱形筋の筋緊張・筋長は
どうか。
●前面の筋肉(小胸筋・大胸筋)の筋緊張・筋長はどうか。
●肩甲骨の可動性はどうか(特に側臥位や座位にて内転)
(抗重力伸展方向への動きは出るのか)・外転・上方回旋はどうか。
⑥治療:●側臥位にて肩関節水平内外転を用いて、徒手的に肩甲骨の内転・
外転・上方回旋方向へ動かす。
●側臥位姿勢保持にて、肩甲骨を内転方向へ随意的に動かしてもらう。
●座位姿勢で、徒手的に肩甲骨が内転できるか。
同時に抗重力伸展位方向へ誘発(ヘッドコントロール確認!)
●座位が保てない方には前側にテーブルを置き両上肢on elbow肢位
(この時は手指伸展させ手掌面接地)肩甲骨に対して荷重をかける。
終わりに
いかがでしたか😌?臨床において肩甲骨を発達過程から臨床に落とし込んで治療していくと、やはりヘッドコントロールは重要な要素になってくることを皆様臨床を通して感じることがあると思います。私は発達過程から考えていくと理にかなうことが多いなと臨床において感じることが多々あります。
1つの視点・思考として皆様も是非みていただけると幸いです☘
ではでは!今日はこの辺で。お読みいただきありがとうございました♥
明日は脳PRO5期生、真面目一筋🆒同期の清水啓史です。
皆さんは急性期の脳画像をみて予後予測を立てる際に、脳浮腫によって悩むことはありませんか?脳浮腫が引き起こす問題はどんなものがあるのか…。今後の活動にどう関わってくるのか!興味深いお話ですね🎶明日も是非読んでいただきあなたの臨床に少しでも活かしていただけると嬉しいです!
臨床BATONどうぞ(^O^)/
引用文献:著者 石井慎一郎
動作分析 臨床活用講座 バイオメカニクスに基づく臨床推論の実践
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