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屋外移動の範囲拡大に必要な機能とは??
本日も「臨床BATON」にお越しいただきありがとうございます!
383日目を担当します、ミッキーです。
寒い日が続いていますがいかがお過ごしでしょうか。
体調を崩さないように、よく食べ、よく寝て、免疫力が低下しないようにしましょう!
ちなみに目標設定はまだできておりません…
「毎年、自分の1年の目標設定は大事だなーと思いながら毎年全く立てていません。今年こそは立てようと思います💦」(1か月前のブログより)
☆はじめに
僕は生活期の病院に勤めており、外来患者様やデイケア利用者様のリハビリをする機会が多くあります。
リハビリしていると「外に出かけることはほとんどない」「病院へ行かない日は家にいることが多い」という話を聞くことがあります。
そうした話を聞いていて屋外移動の範囲拡大にはどのような機能が必要なのだろうと感じたので調べたことを共有させていただきます。
☆移動とは
「移動」という言葉には以下の意味があります。
ある場所から他の場所へ移ること
2023年2月4日,https://dictionary.goo.ne.jp/word/%E7%A7%BB%E5%8B%95/
移動には車椅子移動・歩行・階段といった様々な種類があり、屋内移動だけでなく、屋外への移動も含まれています。
また、ADLや社会参加にもつながってくる要素の一つです。
脳外臨床研究会会長の山本先生が行っているセミナーでは次のようにお伝えしています。
![](https://assets.st-note.com/img/1675631149792-s6F9PWHgFp.png?width=1200)
基本動作ができることで移乗・移動につながる、移乗・移動ができることでセルフケアにつながる、セルフケアができることで認知機能の維持・向上につながるといった関係性があります。
☆屋外移動の範囲が狭くなることで患者様にどんな影響が出るのか
脳卒中者において地域における移動能力の制限は生活活動の量やその自立度,自己効力感,生活の質の低下を招くとされる
と述べている文献があります。
つまり、屋外移動が難しくなると、患者様が普段行っていた趣味の活動・社会的活動などへの参加が難しくなります。
そうなると自立度、自己効力感、生活の質の低下につながっていきます。
そのため患者様の屋外移動の範囲を拡大することはとても重要です。
☆屋外移動の範囲拡大にはどのような機能が必要か
ここからは少し長くなるので結論だけ読みたい方は目次から「まとめ」をクリック・タッチしてくださいね!
〇歩行速度と耐久性
田代・井所・星(2014)は「地域在住の慢性期脳卒中者において地域における移動能力は歩行機能や身体活動と相関関係を認め歩行速度や耐久性は地域内における移動能力のレベルを決定づける要因となる」(P136)としています。
そのため歩行速度や耐久性が屋外移動の範囲拡大に必要な機能の一つとして考えられます。
歩行速度については
10m歩行における快適歩行速度(Comfortable Walking Speed:以下CWS、「いつも通り歩くようにしてください」と指示))、最大歩行速度(Maximal Walking Speed:以下MWS、「できるだけ速く歩いてください」と指示)から考え、
耐久性については6分間歩行距離(6 Minute Walking Distance:以下6MWD)から考えています。
同文献によると
それぞれのカットオフ値は以下のようになっています。
![](https://assets.st-note.com/img/1675632125356-tjqS26KCfz.png?width=1200)
ただ同論文では
研究で示した歩行機能評価指標のカットオフ値の陽性的中率は比較的低い値を示す傾向にあり,これによりカットオフ値以上の歩行機能であったとしても地域内歩行者となるには不十分であると考えられる。
つまりカットオフ値を上回っていても地域内歩行者となるとは限らないことになります。
その一方で,陰性的中率はきわめて高く,カットオフ値を下回るもので地域内歩行者はごくわずかであったことから,移動能力が地域内へ拡大するうえで具備すべき歩行機能の要素と考えられカットオフ値はその基準値となりうる。
としています。
まとめると
10m歩行における速度についてはCWS(快適歩行速度)で0.61m/s、MWS(最大歩行速度)で0.71m/s、
6分間歩行距離については213m以下になると近隣歩行群、屋内歩行群になる可能性が非常に高い=移動範囲が狭くなり、生活活動の低下、自立度、自己効力感、生活の質の低下につながりやすくなるということです。
*ちなみに
同論文では地域内における移動能力のレベルを
![](https://assets.st-note.com/img/1675632398663-ISNRtLwGem.png?width=1200)
以上のように分類しています。
〇歩数
とはいっても10m歩行の速度や6分間歩行で耐久性を測定することが難しい職場の皆さんもいるかもしれません。
その点、歩数は歩数計を使用するので手に入りやすく、着けて歩くだけなので簡単に測定できます。
脳卒中患者の歩数は1,389~7,379歩/日であること,年齢が同等な健常高齢者では6,294~14,730歩 /日であることを報告している。
また,11論文(315例)の身体活動量に関する研究をメタ解析した報告によると,脳卒中患者の歩数は,4,355.2 歩/日であることが明らかになっている。このことから,脳卒中患者の多くは,目標値に達しておらず,身体不活動であるといえる
この2つの論文からわかるだけでも脳卒中患者様の歩数(最大4355歩)は少なく、年齢が同等な健常高齢者(最低6294歩)と比べると大きな差があります。
このことから考えると脳卒中患者様は少なくとも歩数を約2000歩増やしていく必要があります。
少なくとも、なので患者様のやる気や歩行能力によってはより歩数を増やしていくといいですね!
☆まとめ
屋外移動の範囲拡大には
・歩行速度と耐久性が重要です
10m歩行における速度についてはCWS(快適歩行速度)で0.61m/s、MWS(最大歩行速度)で0.71m/s、
6分間歩行距離については213m以下にならないことです。
移動範囲が狭くなると生活活動の低下、自立度、自己効力感、生活の質の低下につながりやすくなります。
・歩数
脳卒中患者様の歩数(4355歩)は少なく、年齢が同等な健常高齢者(6294歩)と比べると大きな差があります。
脳卒中患者様は少なくとも歩数を約2000歩増やしていく必要があります。
以上で今回のブログを終わります。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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次回は2月10日(金)の更新、yuccoさんによる「介護食・えんげ食料理教室レポート」です。
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