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農家が収入を増やす3つの方法

ひとくちに農家と言っても規模の大小や品目、経営形態はさまざまで、「農家はこうあるべきだ」「農業はこうならなきゃいけない」と語ることはかなり難しいなぁと感じます。僕の語り方がヘタクソなだけかもしれませんが。A農家には当てはまる話が、B農家にはまったく当てはまらない、C農家にとっての正解がD農家では愚策になる。それが当たり前の世界です。

とはいえさまざまなカタチの農家に共通する部分がまったくないわけでもなく、業(なりわい)として見たときに「稼げること」は農家共通の目標ではないかと思います。なんだかんだ言っても収入は大事ですから。「カネじゃねーんだよ!」と息巻いても霞を食べて生きてる仙人以外はたいていお金が欲しいんじゃないでしょうか。少なくとも僕は欲しいです。

こういうことを言うと「ふん、金の亡者が!」と咬みつかれそうですが、それは「儲ける」と「稼ぐ」を混同しているからだと思います。「儲ける=悪」みたいに考えてるんじゃないでしょうか。「稼ぐこと」は決して悪いことではありません。しっかりと稼げる農家が多ければ、強い産業として存続できますし国策にもよい影響があります。しっかりと稼げる農家が多ければ、就職先の一つとして農業を仕事にする若者が増えます。

それぞれの農家にはそれぞれの想いがあり、何を目的にするのかによって目標が違ってきますが、農家レベルで見ても国レベルで見ても「稼げる」ことは目指すべき未来のひとつではないだろうかと思います。

じゃあ稼げる農業とはなんでしょうか。それはちゃんと利益を出せる農業です。農業は規模も品目も、販路もちがう様々な農家がいますが、どんな形であれしっかりと利益を残せる農家は長く続けられますし魅力的に映ります。では利益とは何か。これをしっかりと考えておくと、農家はずいぶんと営農しやすくなりますし自分の成すべきことが明確になってきます。今回はこのあたり、稼ぐとは何か、利益とは何かを深掘りしていこうと思います。


商売での基本公式「売上-経費=利益」

さてここで算数の時間です。モノを売る商売ならほとんど当てはまる公式があります。

売上 - 経費 = 利益(所得)

商品を作ったり仕入れたりするためにお金を使い(経費)、できた商品を売ってお客様からお金をいただく(売上)。その差額、売上から経費を引いて手元に残った利益が自分の収入になるという式です。

これは分かりますよね。ここからさらに売上を分解すると

(単価 × 数量) - 経費 = 利益(所得)

という式ができます。モノを売る商売の場合、1つ〇円の商品を何個売ったかで売り上げが決まるので、単価×数量がほぼイコールで売上になります。

たとえば大根農家でいえば、1本100円の大根を10万本売れば売り上げは1000万円になり、それを作って売るために種代・肥料農薬代・資材費・機械代・出荷手数料など700万円の経費をかけていれば

1000万円-700万円=300万円

利益が300万円手元に残るわけです。


農家のカタチに合わせて利益を追求する

農家が稼ぐ農業をするとき、つまり今よりも利益を大きくしようと思ったときには、何に注目して利益を増やすのかを意識したほうがいいんです。自分がやっている農業のカタチに合わないところに注力してしまうと、せっかくの努力が無駄になってしまう可能性もありますから。

さきほどの公式に沿って言えば、利益を大きくするには、

①数量を多くする

②単価を上げる

③経費を抑える

この3つしかありません。

たくさん作るか、高く売るか、安く作るか、これだけです。大事なことは、自分のポジションによってどこに注目するのかを変えることです。

おおざっぱに書きますが、「①数量を多くする」が向いているのは大規模農業です。栽培面積を大きくすれば農産物は多く収穫できます。もしくは面積は同じでも反当りの収量を増やせば収穫量が大きくなります。このやり方が向いているのは規模拡大をしていきたい大規模農家です。

いやオレは大規模化したいわけじゃない、現状の栽培面積でなんとか利益を増やしていきたい。そんな農家は「②単価を上げる」に注力すべきです。収穫量を増やさずに売り上げを大きくするには、商品の付加価値を高めることで単価を上げていくしかありません。

それはたとえば、栽培技術を追求していくことで品質を高める。秀品率がアップすれば単価の高いものが多く売れることになりますし、その品質が評価されることで高値で取引されることもあるでしょう。

付加価値を高めるのは品質だけじゃありません。ギフト用として丁寧に梱包するとか、珍しい品種を採用して希少性を狙うとか、商品にまつわるストーリーを発信することで他との差別化が図れるとか、いろいろあります。

都市型農業や中山間地域農業など、規模拡大路線が難しい地域で農業をやっている農家はそもそも大規模農業とは相性が悪いですから、「②単価を上げる」ことによって売り上げを大きくしていくことになると思います。

そして「③経費を抑える」ですが、JA出荷している農家のように周辺農家との兼ね合いで規模拡大しにくいとか、共販なので付加価値を高めることがそもそもできないなど、「①数量を多くする」「②単価を上げる」によって売り上げを大きくすることが難しい農家であっても、経費を抑えることで利益を増やしていくことができます。

もしかしたら「今でもじゅうぶん経費を抑えてやっとるわい!」と言うかもしれません。ですがJAで購入している肥料や農薬をホームセンターや他の資材屋で価格を比較してみたことはありますか?JAや農機具屋の言われるままに、規模に見合わない大きな農機を買ったりしていませんか?作業手順を見直したり労働環境を改善するなど労働がコストだという意識をもって仕事をしていますか?

経費を抑えるのは地味だしケチくさく見えます。規模拡大や品質向上によって売り上げを伸ばしていくほうが効果が大きいのでおろそかにしがちです。でも無駄をなくしていくことは大切ですし、経費を抑えることで利益率が高まるのは健全経営の第一歩になります。


未来はみんなでつくるもの

このように農業での稼ぎ方にはいくつもの道があります。それぞれの置かれた環境や目指すべき方向に合わせて改善点を決めればいいと思いますので、周りの意見に振り回されないように突き進みたいものです。

これからの10年、日本の農業は大きく変わります。その変化に乗れるのか、それとも振り落とされてしまうのか、運命を決めるのは自分自身です。商売における不変の公式「(単価×数量)-経費=利益(所得)」で力強く前進してみませんか?



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