休符の美学
ある時テレビでアマチュアのピアニストの方が演奏していた。
私はその演奏がとっても気に入り、その人のライブがあるというので、弟と見に行った。
アットホームな感じのライブハウスで、その人の常連のファンの方が話しかけてくれて、ご本人とお話できたり写真を撮ってもらったりした。
バンドメンバーの中にすごくうまいクラリネット(たぶん)のおじさんがいた。ピアノはもちろんのこと、私はそのクラリネットのおじさんに釘付けになった。
おじさんは自分の出番でない時、そんなにノリノリってわけでもなく、静かに音楽を楽しんでいた。
吹いている時ももちろんかっこいいんだけど、吹いていない時はさらにかっこいい!
どういうこと??
そのとき、言葉足らずの私は「吹いてない時の方がかっこよかったです!!」と大変失礼なことをのたまってしまった。失礼な小娘を許していただきたい。
よく、うまい人は舞台に上がった瞬間にたたずまいでわかる、みたいなことを聞いたことがあるけど、センスのある人は何をしていてもかっこいいということなのかしら。
ライブハウスが閉まり、そのおじさんはチャリンコに乗って帰って行った。
どう見てもその辺のフツーの気のいいおじさんだった。能ある鷹の爪は完全に隠れていた。それがまたかっこよかった。
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