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「オロロ畑でつかまえて」を友だちに紹介するなら

1 本の情報

著者は荻原浩さん(1956年生まれ)。私が読んだ文庫本の第1刷が2001年10月25日とありますが単行本は1998年1月に刊行されているようです。また、第十回小説すばる新人賞受賞作品です。

2 読んだきっかけ

先日読んだ「神様からひと言」が面白かったので、荻原さんの他の作品も読むことにしました。私はちょっと良いなと思うと、食傷気味になるまで同じ著者の本を読みます。有川浩さんを読みまくったときは、有川さんにとって、「スーパー等の肉のパックを2つ買ったときにラップ側であわせて袋に入れる」のがデキル女の定義なんだなぁ、と思ったもんです。だってこの表現がめちゃくちゃ出てきたんですよ!

3 あらすじ

舞台は奥羽山脈にへばりつくようにひっそりと存在する人口300人の牛穴村。最寄りの鉄道の駅からバスで2時間かかるど田舎です。あの書きぶりだと、消防署や警察署はもちろんのこと、駐在所すらないんじゃないかなと思われる。

そこのたった8人の牛穴村青年会が村おこししよう!ってことでいきなり広告代理店に依頼しに行きます。ところが、東京など約20年ぶりという青年会会長の慎一は、アポもとらず大学時代の友人(と慎一は思っている)に突撃してやんわり玉砕します。その後も、タウンページからひたすら依頼するも門前払いされます。ネットも今ほど広まっていなかった時代、下調べなど出来なかったのでしょうねえ。諦めかけたその時、一つの広告代理店の看板が目に入り、ダメ元で訪問してみたところ、潰れる寸前だったその会社が仕事に飛びつき二人三脚で村おこしを始める…といった物語の始まりです。
村おこしと言えば、住民が当たり前だと思っていたものが、実は希少価値があるとか都心では人気が出るとかで村が大賑わい!という流れが王道ですが、そういった要素は少し出てくるものの、大部分はあまり正しくない方向に進みます。でも紆余曲折あって、最終的には正しい方向の村おこしが出来て、割とみんな幸せになり、かつ世紀の大発見の可能性をチラつかせて終わった感じです。

4 感想

面白かったです!

んで、登場する誰も彼もがどこかズレていて、誰か軌道修正してあげて…と思いながら読みました。
また、宮坂の失礼さに慎一は気づいていないのか?なんで慎一は宮坂を友人だと思っていたんだろう。他に友達いなかったのかなぁ、などと思っていたのですが、牛穴村には人を騙すとか出し抜くとかそういう分かりづらい悪意を持つ人がいないから免疫がないのかもな、と思いました。

で、そういう浮世離れした牛穴村の人々の人間性だからこそ、物語が面白くなっていると思うので、突っ込みながら読むのが楽しいと思います。

あと、本筋には全く関係ないのですが、正太郎さん絶対離婚するじゃないかなあ。悟は大丈夫な気がするけど。だって正太郎は観光で来た女子大生と結婚したけど、観光で来るのと住むのじゃあ全然違うし、友達とは離れ離れだし娯楽はないし今ほどSNSもないし(ミクシィくらい?)絶対飽きるって!と思いました。

でも面白いからぜひ読んでみてね。

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