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天下分け目の大決戦 セキガハラ

原作 脚本 中村宙史

慶長3年8月18日未明……

豊臣秀吉『佐吉……佐吉はおるか…お…い』

遠くから走る足音が聞こえだんだん近づいてくる

前田利家『殿下!石田三成が参りましたぞ』

石田三成『殿下!佐吉が参りましたぞ!』

豊臣秀吉『佐吉…儂はもう、逝く…悔しいのぅ…まだ、徳川がおるで』

石田三成『大事ござりませぬ』

豊臣秀吉『…何が大事ないと…お主が狸狩りしてくれるきゃあ…』

咳をはらい咽せる秀吉、佐吉の襟元掴み

豊臣秀吉『佐吉!儂はおみやぁの糞真面目なところ嫌いでなかったでぇ…じゃから、家康を討て!』
佐吉の襟元を掴んだ手が力を失いダラリと佐吉に秀吉がもたれかかる。

石田三成『…は!しかと!承りましてござりまする!』

慶長5年9月13日
美濃 大垣城
嶋左近清興『殿…徳川家康がこの大垣に入るとの知らせが入りましてござりまする』

石田三成『な!なんじゃと、この近場ではないか!して何処に狸めはくるのじゃ?!』

嶋左近清興『…恐らくはココ、美濃国赤坂の安楽寺に拠点を置くのではと思います』

石田三成『赤坂か……』

嶋左近清興『殿、されば、東軍の兵と士気を割くため某に一計がありますれば兵を貸していただきとう御座りまする』

石田三成『ほぅ、お主が儂に頼むとは珍しい事もあったもんじゃ…はっはっはっ(笑)、わかった任そう』

嶋左近清興『は!有難うござりまする』

慶長5年9月14日
徳川家康が嶋左近清興の読み通り美濃国大垣の赤坂にある安楽寺に入った。

嶋左近清興『読み通りとはな……杭瀬川の茂みを使う伏兵を潜ませよ!』

嶋左近清興『対岸の敵はだれじゃ!』

嶋兵『物見によらば、中村一栄隊かと!』

嶋左近清興『ふむ…一栄殿か…父、一氏殿なら出来ぬが…流れはこちらにあるの…』

嶋左近清興『対岸に兵を全て渡らせ残った部隊で中村隊の前で堂々と苅田せい!』

宇喜田秀家『嶋殿!挑発するのじゃな?』

嶋左近清興『左様!』

宇喜田秀家『さすれば、明石を貸してやろう!』

明石全登『嶋殿、おまかせくだされ!』

嶋左近清興『おお!心強き事、いたみいりまする。』

嶋兵『中村一栄隊、所定の位置に着きましたぞ!』

農民姿の明石兵が鎌を持って草を刈り始める

中村一栄『な!?なんじゃ貴様らは!ここをどことわかっていての狼藉か!!』

農民に化けた明石兵
『へぇ、、ここは儂らの土地でしてなぁ…苅田しとるんですわ』

中村家の家老、野一色助義が農民に掴みかかろうとする
野一色助義『殿は左様な事を聞いておるのでは……カッ、はっ!?』

兵にバッサリと腕を切られ一刀の元、杭瀬川の藻屑と消える野一色助義。

嶋左近清興『今じゃ!中村隊を叩け!』

嶋兵、明石兵『おお!ーー』

杭瀬川に怒号が響くと近くにいた有馬豊氏隊が乱戦に乱入し戦が激化していく……

嶋左近清興『有馬殿!御覚悟!』

有馬豊氏『し、しもうたこれは、罠じゃ!』

有馬豊氏隊、中村一栄隊に横槍を入れ杭瀬川の戦場で輝いて敵を切り伏せる嶋左近

嶋左近清興『中々やるのぅ…一時撤退じゃあ!』

有馬豊氏『くっ!こけにしよって!追撃せい』

中村一栄『有馬殿!深入りして良いものだろうか?!』

有馬豊氏『中村殿はまだまだ戦、経験が浅き故、そこで指加えてみておれ!』

中村一栄『な!儂は親の七光ではない!やってやるわ!』

嶋左近清興『着いてきて、おるか…良い塩梅よ…先に対岸に兵を渡らせておいた甲斐があったわ! 今ぞ有馬、中村隊両隊を川に沈めよ!』

嶋兵対岸部隊『おお!ーー』

有馬豊氏『く!罠か!二重も嶋左近、必ず打ち滅ぼしてくれるわ』

中村一栄『有馬殿!有馬殿!』

有馬豊氏『なんじゃ!若造!』

中村一栄『若造でも構わん儂ら死ぬわけにはいかんココは儂らの負けじゃ、兵を引こう!有馬殿!』

有馬豊氏『……く!…』

遠くの嶋左近清興を睨みつけ有馬隊、中村隊が撤退する

嶋左近清興『儂らの勝利ぞ!勝鬨をあげよ!』

エイ!エイ!オー✖️3

9月15日 
関ヶ原本戦…終了間近…

島津義弘『戦はしまいじゃ…薩摩に帰る!』

島津義弘『徳川に島津の脅威を見せつけてから、薩摩に帰りもんそ…』

島津豊久『おい らはこれより徳川家康本陣に敵中突破をかける邪魔をする諸将は全て叩き潰せ!   おいは、今後の薩摩には叔父貴が必要じゃと考えとる! おい らが捨てがまりをして叔父貴を活かして薩摩に帰すぞ』

島津義弘『豊久……若い命を散らす儂を許せ!!………チェすといけ!!』
島津兵『チェすといけ!チェすといけ!オおー』

関ヶ原の徳川本陣周辺の地面が揺れている。


徳川家康『な、なんじゃこの地鳴りは!』

井伊直政『殿!沈黙していた島津の軍勢が囲みを突破してこちらに向かってくる模様!』

徳川家康『……な!……正信、、馬印を伏せよ…』

本多正信『は?』

徳川家康『馬印を伏せよ!!』

本多正信『は!?はは!』

馬印を隠すが時、既に遅く、

井伊直政『殿、ココは私が食い止めまする!』

徳川家康『な、直政?い、行くでない!』

島津豊久『邪魔じゃ!赤いの!』

島津兵の火縄の鉛玉が直政にあたる
パァーン 
落馬する直政。

井伊直政『ぐっ!豊久!行かせぬ!てぇー!』

井伊鉄砲隊の火縄から発した無数の鉛玉が豊久の身体を撃ち抜く……
倒れゆく、豊久の遠い目線には島津義弘が徳川本隊を切り裂いて抜けていくのが見える。

島津豊久『お、、おじ、叔父貴…』

石田三成本陣

石田三成『…まさか、一日で勝敗が決するとは…左近…すまぬ!儂は死神じゃあ…戦がココまで下手とは…あい…すまぬ…』

嶋左近清興『何を言われるか!しっかりなさいませ!殿はしっかり戦なされましたぞ!本来、戦に上手も下手も無いのです。ただ、利欲を貪る者たちや心弱き者達が多かった故に我らは負けたのでござりまする!』

石田三成『……左近!すまぬ…』

嶋左近清興『もう、大丈夫ですから…』

石田三成『儂は戦場を離れる……左近、其方はいかがする…』

嶋左近清興『これが私の最期の戦、、ゆえ、存分に死に華を咲かせて世に武威を示しまする』

石田三成『…そうか……さらばじゃ…』

嶋左近清興『先に地獄で待っておりまする』

石田三成『…ふっ…またのぅ…』

戦場から逃げる三成…


筒井定次『左近……儂は死なせぬでの…』

関ヶ原本戦終結…
嶋左近の遺体も首も関ヶ原からは見つからなかったという…

慶長5年10月1日
六条川原……

石田三成『すまぬ、水が飲みたい』

徳川兵『水は無い、柿ならあるぞ、柿で良いか?』

石田三成『柿は身体が冷えるので遠慮する』

徳川兵2『こやつ、今日死ぬのに身体の心配なんぞしとるわ!はっはっは』

徳川兵『よさぬか!石田殿は最期まで武人でありたいのよ』

石田三成『……心遣い、いたみいる…』

石田三成『筑摩江や 芦間に灯す かがり火と ともに消えゆく 我が身なりけり…!?
そうか……無事であったか、はっはっは』


石田三成が六条川原に建てられた柵の向こうの人だかりの奥に筒井定次と傷だらけの従者が立っている…
そう、その者は関ヶ原で石田三成が今生の別れを告げた人物であった。

石田三成『最早、思い残すことはない…』

    石田三成 41歳 六条川原で斬首

嶋左近清興らしき者『…殿…』

この後、筒井定次は徳川家康の策謀により筒井家は改易、豊臣家と密談を交わしたという有り得ない容疑をかけられ嫡男と自害させられた。

伊賀上野城内  
  藤堂高虎『高清その者は…』

 藤堂高清『死に際に筒井殿に頼まれましてござりまする。もう、こやつも年、故に大事ござりますまい』

藤堂高虎『用心はするのじゃぞ…』

藤堂高清『は!では、早速、清興殿 今日は何の昔話を聞かせてくれるのかの?』

嶋左近清興『杭瀬川で西軍が勝った話をばしまする。』


                           完

コレはお店で制作する映画の台本です。
主役の嶋左近のセリフが多く感じられますが
セリフを覚えてくる必要はありませんし長くセリフを言う必要もないです。
その場で短いセリフを教えて少しずつ切ってカット撮影したものを編集して繋げますのでご安心ください。

そんな映画制作ができるお店はココしかありません。
作品は全て当店のオリジナルです。


                       アクセス                     
三重県伊賀市上野丸之内28 ラフォーレビル2階
伊賀の鎧屋NOTORIOUS 
℡090-7824-9617
担当 中村 宙史



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