見出し画像

オーキド博士の「過剰な自虐」に隠されている真意


久しぶりに初代ポケモン(『ポケットモンスター 赤』)をプレイしました。初代ポケモンは初めてクリアしたRPGなので、とくに思い入れが強いです。どれぐらい強いかといえば、ミュウツーぐらい強いです。ポケモンをプレイしたことがある人ならわかると思いますが、初代のミュウツーはとんでもなく強いのです。まぁミュウツーに限らず、初代のエスパータイプは押しなべて強いのですがね。

今と違って初代のエスパータイプの弱点は虫タイプしかいません。そして、悲惨なことに、虫タイプの技全般が弱いのです。そのため、初代ポケモンの世界では、エスパータイプは肩で風を切って歩いているのです。この超能力野郎めが。「エスパータイプのポケモンに遭遇したら無視しなさい」というのは、初代のポケモントレーナーの間では常識です。この「無視しなさい」の部分を「虫(タイプのポケモンで対抗)しなさい」と曲解して、あえなく玉砕したポケモントレーナーは数知れず。行方知れず。我関せず。

閑話休題。今回書きたかったのは「初代のオーキド博士は自虐が過ぎる」ということです。ゲームの冒頭で、オーキドが主人公とライバルにポケモン図鑑を渡す場面があるのですが、そこでのオーキドの自虐が凄まじいのです。「老いぼれた今は~」「ワシももうジジイ~」というネガティブなワードを矢継ぎ早に繰り出してくるので気が滅入ります。これらの老いワードは「どくどく」のように主人公の精神を蝕んでいくので要注意です。

「オーキドってそんなに年寄りなのか?」と思って調べてみたら、初代の時点では55歳らしいですね。私はずっとオーキドのことを60代だと思い込んでいたので、本当の年齢を知ったときには心底驚きました。なぜオーキドは50代という「年寄りとは言えない年代」にもかかわらず自虐をするのでしょうか。答えは簡単です。それは「自分では年寄りだと思っていないから」です。

例えば、アラサー(30歳前後)の人が「俺はもうオジサンだから」「私はもうオバサンだから」と自虐するのと同じです。自虐という先制パンチ(ポケモンでいうなら「マッハパンチ」)を繰り出すことによって、相手の言葉を規定するのです。オーキドが主人公に言ってもらいたい言葉は「ポケモンマスターを目指して頑張ります!」ではなく「まだまだお若いですね!」という言葉なのです。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?