記事一覧

カツドンマンがサノスじゃなくて本当に良かった

カツドンマンは、どんぶりまんトリオの構成員です。「黒豚お肉をパン粉で包み~♪」というたわけた歌を口ずさみつつ指パッチンをしながら登場します。指パッチンといえば『…

notopi
1時間前

かまめしどんは最後の良心

かまめしどんは、どんぶりまんトリオの最後の良心です。他の2丼と同様に「かまかまどんどんかまどんどん」と歌いながら登場します。「かまかま」ときたら「かまかみりあー…

notopi
1日前

如実な気配

如実な気配は、どのような人物にも斟酌しない。心得のある人物であろうが、心根の腐った人物であろうが、皆等しくその背後にまとわりつく。ただ、まとわりつくといっても「…

notopi
2日前

弟ポジションを積極的に引き受けるクリームパンダ

クリームパンダは、最後に登場したパン工場関連のキャラクタ―です。言うなれば「末っ子」ですね。そのためか、メロンパンナやロールパンナのことを「お姉ちゃん」と呼んで…

notopi
3日前
1

石のような男

石のように微動だにしない男がそこにいた。その男は、よほど久しく長らくの間、その場所を動いていない。なぜそのことがわかるのか。それは私が根気強くその男に視線を向け…

notopi
4日前

はみがきまんは名医

はみがきまんは、アンパンマンの世界では数少ない医者(歯医者)の1人です。身体は歯磨き粉を模したチューブ状になっていて、上部と下部がピンク色になっています。歯磨き…

notopi
5日前
1

肩の膨らみ

「火中の栗を拾うのですよ」 左の肩から、唐突に声がした。半醒半睡の状態にいた私の耳に、その声は遠雷のようにじんわりと響いた。重たい瞼をこじ開けて左肩を凝視してみ…

notopi
6日前

おむすびまんは高級米

おむすびまんは、アンパンマンの世界では希少価値が高いことで知られています。とくに、ジャムおじさんの周辺では顕著です。ジャムおじさんの身辺警護の任に当たるのは、主…

notopi
7日前
5

尾行者への警戒

日暮れて家路を急ぐ男がいた。その男は、何者かに尾行されている。なぜ自分が尾行されているのか。心当たりはまるでない。だが、この際、心当たりの有無などどうでも良いこ…

notopi
8日前

トリックスターとしてのホラーマン

アンパンマンに登場するホラーマンは、骸骨のお化けです。作者のやなせたかし氏は「神出鬼没でどこからでも急に現れることができるのが面白い」と評しています。言うなれば…

notopi
8日前

猫星

あるところに、かなりの度合いで偏屈な猫がいました。その猫は、自分のことを巨岩かなにかのように思っているふしがあるようで、日中はほとんど動きません。降り注ぐ陽光に…

notopi
10日前

ブラックホール慕情

宇宙には、無数のブラックホールが存在しています。「無数だなんてそんな大げさな」という意見もあるかもしれません。ですが、現実に即した表現を用いるのであれば「無数」…

notopi
11日前
2

「弱いから強い」を体現するあかちゃんまん

アンパンマンに登場するあかちゃんまんは、文字通り赤ちゃんの姿をしたキャラクターです。ベビー服とベビー帽子をこれ見よがしに着用しているために「ベビー用品店の広告塔…

notopi
11日前
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妾の爪切り

その妾は、少しばかり珍妙な特技を持っていた。爪をぱちんぱちんと切る際に、切った爪を意のままの方向に飛ばすことができるのである。もちろん、その特技が実際に役立った…

notopi
13日前

夜空の一番

夜空の一番は、なんといっても月である。夜空に煌めく星も捨てがたいが、なにせ数が多すぎる。数が多ければ多いほど、情愛は分散してしまう。それに、星というのは時刻や季…

notopi
2週間前

生まれた瞬間から格の違いを見せつけるアンパンマン

アンパンマンが生まれた直後に「ぼくアンパンマンでちゅ」と名乗ったというエピソードはあまりにも有名です。この言葉には「他の有象無象のパンとは違い、生まれてすぐに言…

notopi
2週間前

カツドンマンがサノスじゃなくて本当に良かった

カツドンマンは、どんぶりまんトリオの構成員です。「黒豚お肉をパン粉で包み~♪」というたわけた歌を口ずさみつつ指パッチンをしながら登場します。指パッチンといえば『アベンジャーズ』のサノスを連想する人もいるでしょう。この映画では、サノスが指パッチンをすると、全宇宙の生命体の半分が消え失せるというシーンがあります。げに恐ろしや。カツドンマンがサノスじゃなくて本当に良かったですね。 その名の通り、カツドンマンの頭の中身はカツ丼です。てんどんまんと同様に、ばいきんまんにしょっちゅう中

かまめしどんは最後の良心

かまめしどんは、どんぶりまんトリオの最後の良心です。他の2丼と同様に「かまかまどんどんかまどんどん」と歌いながら登場します。「かまかま」ときたら「かまかみりあーん♪」と歌いたくなる人もいるでしょう(カルチャー・クラブの『カーマは気まぐれ』)。かまめしどんも本当は「かまかみりあーん♪」と歌いたかったはずです。しかしながら、アンパンマンの世界観にそぐわないことや著作権で各団体ともめることなどを危惧して、歌いたい衝動をぐっと堪えたのです。まことに堅固な決心ですね。金属製の本領発揮で

如実な気配

如実な気配は、どのような人物にも斟酌しない。心得のある人物であろうが、心根の腐った人物であろうが、皆等しくその背後にまとわりつく。ただ、まとわりつくといっても「ピタリ」という具合に接近するわけではない。如実な気配にしても、一定の距離を保つだけの分別は持ち合わせている。どのような事実であれ、率先して開陳する必要性は全くない。所詮、自分だけがわかっていれば良いことだ。 如実な気配が最も忌み嫌うのは「大それた事象」である。さざ波のような穏やかな日常を希求する如実な気配にとって、大

弟ポジションを積極的に引き受けるクリームパンダ

クリームパンダは、最後に登場したパン工場関連のキャラクタ―です。言うなれば「末っ子」ですね。そのためか、メロンパンナやロールパンナのことを「お姉ちゃん」と呼んでいます。メロンパンナは満更でもなさそうですが、ロールパンナは露骨に嫌そうな表情を浮かべています。自身の感情をそのまま表情に出すのは善なのか悪なのか。ライトサイドとダークサイドの狭間で揺れ動くロールパンナの姿は、アナキン・スカイウォーカーを彷彿とさせます。 クリームパンダはその名の通り、クリームパンを模した姿をしていま

石のような男

石のように微動だにしない男がそこにいた。その男は、よほど久しく長らくの間、その場所を動いていない。なぜそのことがわかるのか。それは私が根気強くその男に視線を向け続けたからに他ならない。私は、所持している時間の最大限をその男の観察に費やしてきたのだ。もちろん、私の行動それ自体に賛辞を贈る者など誰一人としていない。私は賛意も称揚も礼賛も求めていない。ただ一つ「自らの意思によって策定した視点の固定」のみを求めていた。その求めに応じることは容易ではないが、やってできないことはない。希

はみがきまんは名医

はみがきまんは、アンパンマンの世界では数少ない医者(歯医者)の1人です。身体は歯磨き粉を模したチューブ状になっていて、上部と下部がピンク色になっています。歯磨き粉というよりも絵具に似ていますが、それはまぁいいでしょう。絵具を使って歯を磨く姿を想像して下さい。それはあまりにも悲しい光景です。ポケットモンスターの世界だったら「こういうものには つかいどきが あるのじゃ!」とオーキド博士に叱られるでしょう。持つべきものは有名ジジイですね。 はみがきまんのトレードマークは「大きくて

肩の膨らみ

「火中の栗を拾うのですよ」 左の肩から、唐突に声がした。半醒半睡の状態にいた私の耳に、その声は遠雷のようにじんわりと響いた。重たい瞼をこじ開けて左肩を凝視してみると、中央の部分がうっすらと膨らんでいた。声の主は、どうやらその部分に潜んでいるらしい。私は何の迷いもなく、その部分を手元にあった短刀で切り落とした。切除するにあたっては、何の迷いもなかった。ただ私の意識が「その膨らみは災厄をもたらす」と告げたのである。私は、自らの意識の忠告に従ったまでだ。 切り落とされた膨らみは、

おむすびまんは高級米

おむすびまんは、アンパンマンの世界では希少価値が高いことで知られています。とくに、ジャムおじさんの周辺では顕著です。ジャムおじさんの身辺警護の任に当たるのは、主に小麦粉の塊(パン)達です。想像して下さい。小麦粉まみれになってしょぼくれているジャムおじさんの目の前に、突如として光り輝く米粒が舞い降りるのです。これが救世主でなくてなんなのか。メシアならぬ飯屋です。ジャムおじさんがおむすびまんの虜になることは想像に難くありません。お米は固くない方が良いですね。 物事の価値というの

尾行者への警戒

日暮れて家路を急ぐ男がいた。その男は、何者かに尾行されている。なぜ自分が尾行されているのか。心当たりはまるでない。だが、この際、心当たりの有無などどうでも良いことだ。自身の胸の内を丁寧に探ったところで、尾行されているという事実は揺るがない。男は可能な限り早足で歩いたが、尾行者との距離を広げることはできなかった。 尾行者は、付かず離れずの距離をしっかりと保っている。男は半ば感心しながら、尾行者がいるであろう方角を眺めた。はっきりとは視認できないものの、その方角に尾行者がいるとい

トリックスターとしてのホラーマン

アンパンマンに登場するホラーマンは、骸骨のお化けです。作者のやなせたかし氏は「神出鬼没でどこからでも急に現れることができるのが面白い」と評しています。言うなればトリックスターです。身体を自由自在にバラバラにすることができるので、骨の隙間さえあれば、どの場所にも入り込むことができます。「フット・イン・ザ・ドア」ならぬ「ボーン・イン・ザ・ドア」です。まぁホラーマンのような訪問販売員はドアさえ開けてもらえないと思いますけどね。U.S.A. ホラーマンのトレードマークは「骨がクロス

猫星

あるところに、かなりの度合いで偏屈な猫がいました。その猫は、自分のことを巨岩かなにかのように思っているふしがあるようで、日中はほとんど動きません。降り注ぐ陽光にその身をさらすことに専心するのみであり、他のことは一切眼中にないのです。周りの猫達は、その猫のことを視認してはいるものの、干渉はしません。まるで「視界には一応収めているが決してピントは合わせない」と示し合せているかのようです。それはごく自然のうちに構築された意識の動きであり、何者かに強制されたものではありません。時間の

ブラックホール慕情

宇宙には、無数のブラックホールが存在しています。「無数だなんてそんな大げさな」という意見もあるかもしれません。ですが、現実に即した表現を用いるのであれば「無数」という言葉が適切なのです。観測可能な宇宙には、千億個以上のブラックホールが存在するといわれています。この千億個というのは、まっとうな感覚を保持したままでは、相対することが困難な数字です。数字そのものがブラックホールを内包しているといえるほど、途方もなく大きな数字なのです。 ブラックホールというのは、言うなれば「巨大な

「弱いから強い」を体現するあかちゃんまん

アンパンマンに登場するあかちゃんまんは、文字通り赤ちゃんの姿をしたキャラクターです。ベビー服とベビー帽子をこれ見よがしに着用しているために「ベビー用品店の広告塔なのではないか」との噂が絶えません。赤ちゃんという年端も行かない子供でありながら、巨額の広告料を稼ぐその手腕は多くの大人たちの憧れでもあります。「大人が赤ちゃんに憧れるなんて情けない」という声もあるかもしれませんが、憧れる対象の年齢は関係ありません。大の大人が赤ちゃんに憧れてもいいし、少年のダイが大冒険に憧れてもいいの

妾の爪切り

その妾は、少しばかり珍妙な特技を持っていた。爪をぱちんぱちんと切る際に、切った爪を意のままの方向に飛ばすことができるのである。もちろん、その特技が実際に役立ったことはない。役立たないどころか、切った爪は四方八方に飛び散るので、片付けるのがより一層面倒になるだけだ。それでもなお、妾はその特技の実行をやめない。特技というのものは、その者の特性を外部の者にもわかりやすい形で表出するものである。そのため、特技の実行をやめるということは、取りも直さず、その者で在ることをやめるということ

夜空の一番

夜空の一番は、なんといっても月である。夜空に煌めく星も捨てがたいが、なにせ数が多すぎる。数が多ければ多いほど、情愛は分散してしまう。それに、星というのは時刻や季節によって、見える位置が大きく異なる。星は常に動いているのだ。そのため、気まぐれに「お目当ての星がある方角」を見やったとしても、毎回必ず視認できるわけではない。星には星の道理というものがあるので、人間の浅薄な希望になど斟酌しない。そのような星の「気まぐれ体質」を好ましく思う人もいるだろうが、私はそうではない。星に振り回

生まれた瞬間から格の違いを見せつけるアンパンマン

アンパンマンが生まれた直後に「ぼくアンパンマンでちゅ」と名乗ったというエピソードはあまりにも有名です。この言葉には「他の有象無象のパンとは違い、生まれてすぐに言葉を話せるぼくって凄いでしょ」という主張と「ジャムおじさんが変な名前を付けないように自ら名乗っておこう」という牽制が含まれています。ジャムおじさんは何でも起用にこなすために「万能の天才」と一部の好事家からは言われているものの、ネーミングセンスはありません。なので、アンパンマンが自ら名乗らなければ「非常食」などの無慈悲な