世界の名ボクサー:マイケル・ドークス④「ショート連打のヘビー級」

WBA世界ヘビー級王者。ブランク後、地域王座を懸けて実力者と勝負。マノエル・デ・アルメイダ戦、イベンダー・ホリフィールド戦、ドノバン・ラドック戦ほかを紹介します。

マイケル・ドークス(アメリカ)
身長190cm:オーソドックス(右構え)

①マイケル・ドークス 5R TKO マノエル・デ・アルメイダ
(ヘビー級戦、1988年)
(感想:カムバックロード中のドークス(これまで34勝(21KO)1敗2分)。ヘビー級はドークスが世界王者だった頃と一変。「ヘビー級王座統一トーナメント」に出場したマイク・タイソンが史上最年少でWBC世界ヘビー級王者に。WBA、IBF王座も吸収。1988年6月27日にはマイケル・スピンクスを僅か1Rで仕留めて「ヘビー級最強」を証明。ドークスは1985年に行われたランディ・コッブとの再戦後、ブランクがちに。88年になってコンスタントにリングに上がるようになり、決定戦でジェームス・プリチャードを破ってWBC米大陸ヘビー級王座奪回。アルメイダ戦はタイソンがスピンクスを軽くぶっ飛ばした後の7月28日に行われたもの。アルメイダはTVテロップによると「17勝(4KO)6敗2分」となっているが、「BOXREC」の記録によるとロクに勝ち星がないブラジルの選手。直前の試合では英国の強打者ゲーリー・メイソンにTKO負けしている。ニューヨークでの一戦(リングアナはエド・デリアン、レフェリーはアーサー・マーカンテ(息子もレフェリーになった))。ドレッドヘアーのドークス。いきなり接近戦を仕掛け、左右フック、ボディ連打。パンチはやや軽めだが、動きは軽快。アルメイダはワンツーからの左フックなどを使うが、攻めるときに隙がある。パンチの正確さ&ディフェンスでドークス優勢。3R、ドークスがワンツーからの左フック、左ボディ。4Rには左ボディからの左フック。このラウンド終了後、アルメイダが棄権。ドークスが快勝。4Rで終わったため、「スタミナが保つのかどうか」の課題は残したが、コンディションは良さそう。ただ、タイソンに挑戦できるレベルだったとは思えない。アルメイダはパンチのキレ、動きの機敏さに欠けていた。後、ピエール・コーツァー、ジョージ・フォアマン、レナルド・スナイプス、アディルソン・ロドリゲスらを相手に多くの敗北。「勝ちたい選手」にとってアルメイダは便利な「かませ犬」だったろうが、選手のダメージを考慮しないマッチメイクには嫌悪感を覚える。)

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