世界の名ボクサー:マイク・ウィーバー①「”ヘラクレス”と呼ばれた筋肉のヘビー級」

WBA世界ヘビー級王者。WBC王座戦ラリー・ホームズ戦、ハリー・テレル戦、スコット・ルドー戦、WBA王座戦ジョン・テート戦、ゲリー・コーツィー戦を紹介します。

マイク・ウィーバー(アメリカ)
身長185cm:オーソドックス(右構え)

①ラリー・ホームズ 12R TKO マイク・ウィーバー
(WBC世界ヘビー級タイトル戦、1979年)
(ダウンシーン)
11R:右アッパーでウィーバーがダウン
(感想:ホームズがタイトル防衛。テキサス州出身のウィーバー。その鍛えられた身体から「Hercules(ヘラクレス)」と呼ばれた強打者。海兵隊員としてベトナムへ。ボクシングはその頃に始めた。プロではデビューから二連敗を喫するなど勝ったり負けたりでそれほど目立つ存在ではなく、モハメド・アリやケン・ノートンのスパーリング・パートナーに過ぎなかった。ところが、徐々に目覚め、全米ヘビー級王座を獲得。それが認められたか、「WBC8位」としてホームズに挑戦するチャンスを得た。これまで20勝(14KO)8敗。30戦全勝(21KO)のホームズはケン・ノートンを死闘の末、判定で下して王者に。「アリのコピー」などと呼ばれているが、パワーのあるジャブを武器とするなど実力は確か。これが三度目の防衛戦となる。ニューヨーク「マジソン・スクエア・ガーデン」での一戦。リング上ではホームズの傍らにこの試合のプロモーターのドン・キング。ホームズがモハメド・アリ式「フットワーク&ジャブ」。ウィーバーはジャブ、右ストレートで前に出る。しかしながら、攻めが単調なウィーバー。ジャブ、ストレート、たまに左フックを放って終了。攻撃のリズムがとぎれがち。ホームズがジャブで先手を取り、ワンツーからの左フックといったコンビネーション。互いにディフェンス。4R、ホームズがワンツーを激しく連打。ウィーバーは左フックで対抗。10R終了直前にハプニング。ウィーバーのワンツーでホームズがグラつく。11R、打撃戦。このラウンド終了直前、絶妙な右アッパーでウィーバーがダウン。12R、これまで距離を取るシーンが多かったホームズが仕留めにかかる。ロープ際でウィーバーを乱打。右ストレートが入ったところでレフェリーは試合を止めた。ホームズがピンチになりながらも最後は力強くフィニッシュ。ただ、「なぜホームズは人気が無かったのか?」という疑問に対する答えを示していたような試合ぶり。パワフルなパンチを持ち、タフなのは間違いないが、距離を取る冷静な試合運び。後のマイク・タイソンはひたすら攻める攻撃的ボクシングでボクシングファンではない者も魅了したが、ホームズはそうではない。観客からすると「盛り上がりにくい試合」をする選手だった。その後もホームズは王座を守り続け、「事実上のナンバーワン」としてヘビー級に君臨。驚くべき事に両者は2000年に再戦する。)

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