世界の名ボクサー:ピンクロン・トーマス①「重いジャブ、ストレートのヘビー級」

WBC世界ヘビー級王者。世界王者になる前のライバル戦。ジェリー・ウィリアムス戦(三戦目)、ジェームス・ティリス戦、ゲリー・コーツィー戦ほかを紹介します。

ピンクロン・トーマス(アメリカ)
身長190cm:オーソドックス(右構え)

①ピンクロン・トーマス 6R TKO ボビー・ジョーダン
(ヘビー級、1979年)
(感想:ミシガン州出身のトーマス。子供の頃からスポーツ万能であったが、同時に薬物にもハマってしまう。結婚を機に薬物を断ち切り、仕事とトレーニング(現役時代にも薬物をやった時期があったそうだが、それは短期間のことだったという)。アマチュアではわずか三試合。プロになって連勝。しかし、ドン・キングと契約することを拒んだため大きな試合に恵まれない状態になったことも(キングが仕切る世界ヘビー級王座戦。特定のプロモーターが人気階級(ヘビー、ミドル、ウェルターなど)の世界王座を私物化したためチャンスを得られなかった選手がいる。興行であるプロボクシング界は「スポーツ」というより「芸能界」に近い性質がある)。トレーナーのアンジェロ・ダンディによるとトーマスのジャブは「ソニー・リストンのジャブに近い」とのこと。ジョーダン戦はプロ11戦目。ジョーダンはバージニアの黒人で、ニックネームは「The Hammer」。戦績は勝ったり負けたり。アトランチックシティ「コンベンション・ホール」での一戦。トーマスは(後にイメージカラーとなる)ピンクではなく黒のトランクス。ジョーダンは見た目が強そう。ゴング。トーマスが重いジャブ、右ストレート、接近してフック、ボディ連打。ジョーダンはレオン・スピンクスのようなタイプ。フットワーク、ジャブ連打、右フック。速いパンチが武器。ただ、右を打つときのバランスにやや問題アリ。トーマスも問題アリ。左のガードを下げたまま接近戦を仕掛けて右パンチをよく食らう。2Rには早くもジョーダンの右目が腫れてくる。5R、トーマスがジャブ、連打。ジョーダンは左フックで反撃するが、防戦一方になるシーンも。このラウンド終了後、ジョーダンが右目の腫れにより棄権。トーマスが重いパンチで勝利。しかしながら、ディフェンスと試合運びに課題。ジョーダンは全体的に軽かった。その後、ジョーダンはティム・ウィザスプーンらを相手に連敗してキャリア終了。)

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