世界の名ボクサー:ピンクロン・トーマス③ラスト「重いジャブ、ストレートのヘビー級」

WBC世界ヘビー級王者。番狂わせ&再挑戦。トレバー・バービック戦、マイク・タイソン戦、イベンダー・ホリフィールド戦、リディック・ボウ戦ほかを紹介します。

ピンクロン・トーマス(アメリカ)
身長190cm:オーソドックス(右構え)

①トレバー・バービック 12R 判定 ピンクロン・トーマス
(WBC世界ヘビー級タイトル戦、1986年)
(感想:バービックがタイトル獲得。トーマスの二度目の防衛戦は何かと話題の一戦。「ヘビー級の世界王者は唯一人」というコンセプトで行われることとなった「ヘビー級王座統一企画」(ドン・キングとブッチ・ルイスがブチ上げた企画)。その一戦目がこの試合。試合の賭け率は「トーマス有利」(「トーマスの防衛は揺るがない」といった雰囲気)。しかし、トーマスはトレーナーのアンジェロ・ダンディと決別。挑戦者バービック(ジャマイカ生まれでカナダ国籍の黒人。ラリー・ホームズのWBC王座に挑戦して判定負け。モハメド・アリの最後の試合の相手を務め、判定勝ち)のセコンドにはエディ・ファッチ&かつての名選手キッド・ギャビランが付くことに。ラスベガスでの一戦。トーマスは重いジャブを正確に当てていくスタイルをボクシング関係者から高く評価されている男。しかしながら、何となくイマイチな試合。ジャブを打つが、カラダが重そうな感じ。しかもいつものように左腕をダラリと下げて打つ「フリッカージャブ」(フリッカーはスピードとキレがある選手が使うもので、しんどそうに試合をする選手が使うものではない)。一方のバービックも前に出るが、子供のケンカみたいなバタバタした左右フックを打ってはクリンチする作戦。トーマスは流れを変えようとフットワークを使うが、ほとんど無意味。11Rには(珍しく)バービックの左フックが連続ヒット。最終ラウンド終了時、「オレが勝った!」といった感じで両手を上げてアピールするバービック。判定は3-0。バービックが勝った、というより、トーマスがバービックにベルトを譲った、といった感じの内容・結末。トーマスはマイク・ウィーバーをKOしたときとは別人のような試合ぶりだった。新王者になった「番狂わせ屋」バービック。初防衛戦の相手はマイク・タイソン。)

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