世界の名ボクサー:ジェームス・スミス④ラスト「骨を砕く強打の持ち主」

WBA世界ヘビー級王者。キャリア後半の試合。マーシャル・ティルマン戦、マイケル・モーラー戦、ブライアン・ニールセン戦、ラリー・ホームズ戦(再戦)ほかを紹介します。

ジェームス・スミス(アメリカ)
身長193cm:オーソドックス(右構え)

①ジェームス・スミス 10R TKO マーシャル・ティルマン
(ヘビー級戦、1991年)
(感想:リングに上がり続けるスミス(38歳)。これまで29勝(23KO)8敗1分、WBC19位。全盛は過ぎたが、腕力は健在。パンチ自体にまだまだ勢いがある。ティルマン(29歳)はルイジアナ州の黒人。10勝(9KO)4敗1分。ルー・サバリース、ヘンリー・アキンワンデに敗れている中堅どころ。ルイジアナ州メテリーでの一戦。右ストレート、フックで先制攻撃のスミス。ティルマンは足で距離を取りながらジャブなどで応戦。そんなティルマンをジャブで追うスミス。動きの機敏さに欠け、スタミナも不足しているが、パンチの勢いは凄いものがある(特に右ストレート、左フック)。のらりくらりのティルマン。アピールをしながら右を狙うが、試合の流れを自ら作れるような動きではない。次第に疲れを見せるスミス。元々スピードが無いうえにさらに動きが落ち、ミスショットが目立つようになっていく。6R、クリンチするティルマンを相撲のように投げ飛ばす。10R、それまでと同じような流れの中、スミスが一気に攻撃。右フックを「これでもか」といった感じで乱打して左フックがヒットしたところでレフェリーストップ。スミスがパワーで勝利。最後のシーンの感じからするともっと早い回にKOできたのではないかと思うが、途中でスタミナ切れになることを懸念したのではないかと思われる。ティルマンは残念。勝てるような攻め方ではなかった。その後、ティルマンはカール・ウィリアムス、アレックス・スチュワート、トミー・モリソンらにTKO負け。スミスとは「ヘビー級ワンナイトトーナメント」で再戦し、3Rで判定負けだった。)

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