世界の名ボクサー:トニー・タッカー②「長身のアウトボクサー」

IBF世界ヘビー級王者。初黒星&その後。マイク・タイソン戦、マイク・ラウス戦、キムエル・オドム戦、オリバー・マッコール戦、レノックス・ルイス戦を紹介します。

トニー・タッカー(アメリカ)
身長196cm:オーソドックス(右構え)

①マイク・タイソン 12R 判定 トニー・タッカー
(WBA・WBC・IBF世界ヘビー級王座統一戦、1987年)
(感想:タイソンがタイトル統一。新IBF王者となったタッカー。ダグラス戦の次は「ヘビー級王座統一トーナメント」の決勝。相手はWBA・WBC王者タイソン。史上最年少で世界ヘビー級王者になった男。モハメド・アリ以降、人気が落ち続けていたヘビー級に現れたボクシング界の救世主でもある。しかしながら、これまで「マジメな好青年」というのが関係者による評価であったが、勝つに連れて自我も大きく。この試合の前、素人を素手で殴ってケガをさせて訴えられてしまった(その後の挫折を暗示させる出来事)。そういった出来事が試合に影響があるかどうか? ネバダ州「ラスベガス・ヒルトン」での一戦。1R、フットワーク&ジャブのタッカー。ワンツーからの左アッパーを決めてタイソンをたじろがせる。しかしながら、接近戦は避けたいようで距離を取ったり、クリンチしたり。タイソンはいつものようにジャブで前進し、ダッキングしながら左ボディ打ち。左フックに良いものがあるタッカーだが、右パンチの威力はもう一つ。タイソンもジェームス・スミス戦と同じようなパターン。攻めるがクリンチされて連打できない。6R、タイソンの右ストレートがヒット。タッカーは「効いていない」といった感じでアピール。7R、タッカーが右腕を回したり、「かかってこい」のゼスチャー。11Rには「アリ・シャッフル」を披露。しかし、タイソンが押し気味のまま12R終了。判定は3-0。タイソンが強打&攻めの姿勢で勝利。あまりインパクトのない勝ち方だった。タッカーは虚しい敗北。腕を回したりといったアピールは勝っているときは格好良いかもしれないが、パッとしない試合をしているときにやると興ざめなもの。試合後、試合前から右手を痛めていたことを発表。初防衛戦が全盛期のタイソンだったり、ケガ状態だったり。それ以外にもトラブル。どこまでもツキのない選手だ。その後のタイソン。圧倒的な強さを見せたが、伏兵ジェームス・ダグラスにKO負け。その後もリングで強さを見せたが、刑務所に入ったり、キャリアの晩年には薬物問題があったり。ボクシングファン以外からも尊敬されたモハメド・アリとは「格が違う」人生となった。)

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