世界の名ボクサー:ジェームス・スミス③「骨を砕く強打の持ち主」

WBA世界ヘビー級王者。初防衛戦&再起戦。マイク・タイソン戦、アディルソン・ロドリゲス戦、ドノバン・ラドック戦、マイク・ウィーバー戦(再戦)を紹介します。

ジェームス・スミス(アメリカ)
身長193cm:オーソドックス(右構え)

①マイク・タイソン 12R 判定 ジェームス・スミス
(WBA・WBC世界ヘビー級王座統一戦、1987年)
(感想:タイソンがタイトル統一。「真の世界ヘビー級王者はただ一人」というコンセプトで行われてきた「ヘビー級王座統一トーナメント」。ティム・ウィザスプーンを1RでKOしたWBA王者スミスの次の試合は注目の統一戦。WBC王者タイソンは説明不要。当時、全勝。トレバー・バービックを仕留めて王者になったばかり。共に「統一戦」であり、「初防衛戦」でもある。ネバダ州「ラスベガス・ヒルトン」での一戦。腕力が売りであるが、正統派のスミス。ジャブ、ワンツー、左フック。タイソンはいつものようにジャブにスピードとパワー。パワフルなフックを振るうスミスだが、ダッキング、ヘッドスリップでかわされて当たらない。勢いが止まらないタイソン。スミスとしては自分のパンチが当たらないうえに強打を浴びる状況を何とかせねばならない。ホールドでタイソンの両手をガッチリ封じる作戦。2Rにはホールドで減点を取られたが、その後もスミスはホールド。タイソンは相手のガードを隙を狙って斜め下からフックを入れるが、ホールドされて連打できず。12Rに大きなハプニング。舌を出してスミスをコケにするタイソン。ラウンド終了少し前、スミスが強烈な右カウンターを決め、タイソンがピンチ。12R終了。判定は文句無しの3-0。クリンチ連発の試合をやってしまったスミス。しかしながら、「自分のパンチをかわされて逆に打たれる」パターンが続けばそうなってしまうのも仕方がない。タイソンがスパーリングをする時はパートナーはプロテクターを装着し、その下にタオルを入れてタイソンの強打に耐えるという。もちろん試合ではプロテクターもタオルもナシ。ホールドを連発したからといって、「スミスは臆病だ」などと言うべきではない。タイソンは勝ったが、1R終了後にニラみ合ってジャブを出したり(反則)、右フックを空振りして転倒したりといったあまりよろしくないシーンも見られた。その後のタイソン。IBF王座も獲得。しかし、「慢心」により敗北。刑務所にも行った。復帰後はしなやかな動きが消え、腕力に頼るファイターになってしまった。)

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