世界の名ボクサー:マイク・ウィーバー②「”ヘラクレス”と呼ばれた筋肉のヘビー級」

WBA世界ヘビー級王者。世界王座防衛戦&新たな挑戦。ジェームス・ティリス戦、マイケル・ドークス戦(初戦・再戦)、ピンクロン・トーマス戦ほかを紹介します。

マイク・ウィーバー(アメリカ)
身長185cm:オーソドックス(右構え)

①マイク・ウィーバー 15R 判定 ジェームス・ティリス
(WBA世界ヘビー級タイトル戦、1981年)
(感想:ウィーバーがタイトル防衛。二度目の防衛戦。しかし、WBAとちょっとしたモメ事。白人ホープのゲーリー・クーニーと対戦するつもりだったウィーバーだが、WBAからティリス戦の指令。これを無視すると王座を剥奪されるという(もしクーニーが挑戦していたらどうなっていただろう? クーニーの人生は大きく変わっていただろうか?)。挑戦者ティリスはオクラホマ出身の黒人。これまで全勝。ニックネームは「クイック」。デビュー当初に早い回でのKO勝ちが多かったことからそう呼ばれるようになったという。どんな試合を見せるか? イリノイ州ローズモントでの一戦。ウィーバーが前に出て、ティリスはモハメド・アリばりのフットワーク&ジャブ。アリっぽい動きをするティリス。それは構わないが、打ち合うタイプではないため、かみ合わない内容に。ウィーバーが左フック、ティリスが右ストレート(12R)を決める場面もあったが、決め手に欠ける状態で試合が進み15R終了。判定は3-0。会場で観戦のモハメド・アリ(この頃はまだ体調が良さそうな感じだった)、ラリー・ホームズ、テレビ解説のシュガー・レイ・レナード。ボクシング界のスーパースターと「世界ヘビー級タイトル戦」に期待して集まった観客たち。この試合を観てどう思っただろうか? ウィーバーは「ヘラクレス」と呼ばれるほど鍛えられた体でパワーもあるが、試合運びがイマイチ。ティリスはフットワークばかり。きっとティリスは「アリのモノマネ」をしたかっただけなのだと思う(実際、相手を倒しに行くようなパンチはほとんど打っていなかった)。ティリスのニックネームは「クイック」。オリンピック銀メダリストのバージル・ヒルは「クイック・シルバー」。「クイック」と呼ばれるボクサーはパンチが無い選手であることが多いような気がする(気のせい?)。その後もティリスはリングに上がり続け、アーニー・シェイバース、ピンクロン・トーマス、グレグ・ペイジ、ティム・ウィザスプーン、マイク・タイソンら実力者と対戦。敗北が多く、世界戦はウィーバー戦のみに終わった。)

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