世界の名ボクサー:ティム・ウィザスプーン③「恐怖の強打」

WBA・WBC世界ヘビー級王者。再び世界を目指す戦い。ジェームス・ブロード戦、ジェームス・スミス戦(初戦)、トニー・タッブス戦、フランク・ブルーノ戦ほかを紹介します。

ティム・ウィザスプーン(アメリカ)
身長192cm:オーソドックス(右構え)

①ティム・ウィザスプーン 2R KO ジェームス・ブロード
(北米ヘビー級タイトル戦、1985年)
(ダウンシーン)
2R:フック連打でブロードがダウン
(感想:ウィザスプーンがタイトル奪回。ピンクロン・トーマスにWBC王座を奪われたウィザスプーン(18勝(12KO)2敗)。かつて保持していた北米王座の奪回に挑む。王者ブロードはノースカロライナ出身で、ゴツいタイプの黒人。アマチュアではマービス・フレージャー(ジョー・フレージャーの息子)を破る活躍。プロではこれまで17勝(10KO)1敗。後にWBA王者になるジェームス・スミスのデビュー戦の相手を務め、KO勝ち。唯一の敗北はフレージャーにプロで雪辱されたときのもの。ウィザスプーン戦は決定戦で得た王座の初防衛戦となる。ニューヨーク・バッファローでの一戦。共にジャブ、フック。しかしながら、パンチの質に違いが。ジャブ、ワンツーに伸びとパワーがあるウィザスプーン。腕がしなうような打ち方でフック、左ボディ打ち。ブロードはフックがやや手打ち気味。2R、右パンチが効いたブロード。ロープ際でフックを乱打されてダウン、KO。ウィザスプーンが快勝。チャンスに一気に畳み掛けるウィザスプーンらしい勝利だった。ブロードは悪い選手ではないが動きの機敏さに欠け、打ち方がちょっと細かかった。大きい身体の割に妙に打ち方が細かい選手がいるが(巨人マイク・ホワイト、ニコライ・ワルーエフなど)、巨体を生かせないのはもったいないことである。その後のブロード。再起戦でロドニー・フレージャー(ジョー・フレージャーの甥)に勝利したが、トニー・タッカー、グレグ・ペイジ、ドノバン・ラドックといった実力者に敗北。マイク・タイソンのスパーリング・パートナーを務めていたということだが、ホームレスに。2001年に43歳で死去。脳のダメージが原因だったという。)

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