世界の名ボクサー:マイケル・ドークス①「ショート連打のヘビー級」

WBA世界ヘビー級王者。速いパンチが武器。世界王者になる前の試合。ジミー・ヤング戦、オジー・オカシオ戦(初戦・再戦)、ランドール・コッブ戦(初戦)を紹介します。

マイケル・ドークス(アメリカ)
身長190cm:オーソドックス(右構え)

①マイケル・ドークス 10R 判定 ジミー・ヤング
(ヘビー級戦、1979年)
(感想:オハイオ州出身のドークス。アマチュアで活躍し、147勝7敗。プロでは戦わなかったが、後にWBA王者になるジョン・テート、グレグ・ペイジらを破ったことがある。ただ、1976年のモントリオール・オリンピックにはテートに敗れて出場ならず(テートはヘビー級で銅メダル)。プロ入り後はこれまで全勝。ただ、判定勝利が目立ち、「パワーの方は少し物足りない」というボクシング関係者の評価も。プロ15戦目の相手は経験豊富なベテラン。ヤングはフィラデルフィア出身のアウトボクサー。アーニー・シェイバースには敗れたが、強打者ロン・ライルに判定勝ち。モハメド・アリの世界ヘビー級王座に挑戦したときは判定負け(1976年)。世界戦を控えたジョージ・フォアマンからダウンを奪って番狂わせの判定勝ち(1977年)。ただ、ケン・ノートンとのWBC世界ヘビー級王座挑戦者決定戦に敗れ、オジー・オカシオに二連敗して脱落した状態。ラスベガス「シーザース・パレス」での一戦(ドン・キングの興行)。1R、左のガードを下げてジャブを飛ばすドークス。ヤングはガードを高くしてブロックしながらジャブを出すが、左フックがローブローになるハプニング。その後、ドークスが器用さを見せる。左フックをボディからアゴへ。速いが、ややパンチが軽い印象。しかし、右フックからの左フックにはパワーが感じられる。どうやら強弱を付けるテクニックをモノにしている様子。一方、ヤングは残念。ワンツーや左フックに良いものがあるにもかかわらず、動きが緩慢でブロック&ジャブの魅力に欠ける試合ぶり。ただ、そのブロックを崩せないドークスももどかしい。7R終わりに珍シーン。ヤングの尻をなでるドークス。ヤングもなで返し、ドークスがズッコケそうに(何やってんだか、と言いたくなるコントのようなシーンだった)。8R、ヤングが力強い連打(序盤から出せばいいのに)。9R開始、マウスピースを入れ忘れたドークスのセコンドがリングイン(開始のゴングが鳴っているのにセコンドがリングに入ってマウスピースを入れるのは珍しい)。右ストレートを食ったドークス。連打してクリンチ(なかなかクレバー。打ち返してから休むとは)。そして、このラウンド終了後にもヤングにタッチ。10R、ドークスがモハメド・アリばりの「ジャブ&フットワーク」。判定は3-0。ドークスが手数で勝利。この試合に勝ったことでドークスは大いに株を上げたが(当時)、個人的には相手のブロックを崩せなかったのが気になった。残念なヤング。良いパンチを持っているが、それを効果的に使うことができない。その後もヤングは多くの試合をしたが、ゲーリー・クーニー、グレグ・ペイジ、トニー・タッブス、トニー・タッカーといった若い世代の選手に敗北。世界戦はアリ戦のみに終わった。)

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