メタバースで注目!XRテクノロジーカンファレンスAWE2021の受賞スタートアップ
2021年10月にFacebookが社名を「Meta(メタ)」に変更しメタバースへの注目が集まる中、米国時間2021年11月9日から11日にかけてXR(Cross Reality)テクノロジーをテーマとするカンファレンスAWE(Augmented World Expo)が開催されました。そこで今回はAWEでアワードに輝いたスタートアップのほか、弊社が注目するメタバース関連のスタートアップをお届けしたいと思います。
Tvori
AWE2021のBest of Collaboration Tool分野でアワードに輝いたのはTvoriです。同社はVR(Virtual Reality)上で、チームメンバーと一緒に様々なデザインやプロトタイプを作れる仮想空間を提供します。新規プロダクト開発などでプロトタイプを作成したい時など、事前に仮想空間上で作成することで関係者のイメージを合わせることが可能となります。
現在対応しているデバイスはOculus Questのみです。ただしTroviの仮想空間上で作成したものはPNGやJPG形式などでエクスポート可能で、Oculus Questを持っていないユーザーにも共有することができます。
Tvoriの活用イメージ(Tvori公式ウェブサイトより引用)
Spatial
Spatialが提供するのはXRを活用したバーチャルオフィスです。参加者の3Dアバターを作成してアバター同士、あるいは人とアバター間のコミュニケーションができるバーチャルオフィスを提供します。
コロナ禍の影響で、バーチャルオフィスはVR・AR(Augmented Reality)技術を活用した事例でよくある活用シーンの1つです。中でもSpatialが特徴的なのは、クロスデバイス(異なるデバイス間)に対応している点です。MetaのOculus QuestやMicrosoftのHololensなど、人によって保有しているデバイスが異なるケースに対応できるだけでなく、そもそもVRやARのデバイスを持っていない人でもPCからSpatialが提供するバーチャルオフィスに参加することができます。
2022年2月にオンラインホワイトボードのMiroが日本市場に本格参入ということで注目を集めましたが、Spatialを使えばMiroが提供するようなオンライン上でのポストイットなどを使ったコミュニケーションも仮想空間で実施することができます。
クロスデバイスに対応している説明(Spatial公式ウェブサイトより引用)
ポストイットを使ったミーティングのイメージ(Spatial公式ウェブサイトより引用)
Within(2021年10月にMetaに買収)
Withinが提供するのは様々なVRのコンテンツですが、代表的なのはフィットネスゲーム「Supernatural」です。対応デバイスはOculus Questで、その特徴は数十分のエクササイズをゲーム感覚で楽しくできるように設計されている点です。そのプログラムはコントローラーを持って音楽のリズムに合わせて飛んでくるターゲットをたたき落としたり、しゃがんでかわしたりするなど全身を使うものが用意されています。コロナ禍で在宅でのフィットネスが浸透し始めているのを背景に、Metaが買収したことで今後より注目されていくでしょう。
エクササイズのイメージ(Supernatural公式ウェブページより引用)
3DLook
3DLookはユーザーのアバターを作成し、そのアバターでバーチャル試着を行うことでサイズやフィット感を確認できるアプリを提供しますす。アバターの作成は簡単で、3DLookが開発したモバイル3Dスキャニング技術でスマホのカメラからユーザー正面と横からの写真を撮るだけで完了です。オンライン市場が成長していく中、3DLookによるバーチャル試着で返品率の低下につながることが期待されています。
echo3D
echo3Dは開発者が高速で3Dゲームやアプリを作れることを目指して、3D・AR・VRコンテンツの保存と配信機能を持つプラットフォームを提供しています。開発者がecno3Dプラットフォームを活用すれば、管理しているコンテンツをスマートフォンやブラウザなど様々なプラットフォームに素早く配信することが可能です。ゲームエンジンUnityの認定ソリューションパートナーに登録されているほか、2021年10月にソースコード管理サービスのGitHubやMetaから出資を受けたことから、メタバース関連や開発関連の企業から注目を集めていることが窺えます。
注目ポイント
私がメタバース関連で注目するのは、echo3Dのようなメタバースをバックエンドで支えるインフラストラクチャ関連のスタートアップです。以前の記事で紹介したクラウド企業ランキングでは、決済インフラ機能をAPIで提供するStripeや銀行との接続するためのAPIを提供するPlaidなど、バックエンドでインフラを支えるスタートアップが多く取り上げられていましたが、今後仮想空間上での新たな決済機能などが必要になった際、仮想空間版のStripeやPlaidなどが必要になると考えられます。つまり、メタバース市場の成長はそうしたインフラを支えるサービスの充実に懸かっていると言えるでしょう。今後もメタバース関連を支えるスタートアップには目を離せません。
最後までお読みいただきありがとうございました!