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残業して美人と遭遇

残業をたっぷりした日は、そばが食べたくなる。

とはいえ最近気になっている私のお腹を応援するわけにはいかない。

健康に気を使っていると、堂々と言いたいのである。

確かに、私は店の前で足を止めた。

ただそれは、一時の迷いである。

いつもの駅に向かう。

向かいのエスカレーターに美人が4人いた。

改札までに美人が3人いた。

そして、ホームに降りると5人の美人とすれ違った。

今日は美の日なのだろうか。

思い当たることといえば、おじの危篤の連絡があった。

以前、胃ガンで手術したけれど、転移で身体を悪くした。

命は助かるかもしれないが、余命がどれぐらいか、という話だ。

その連絡を受けたのはそば屋と決別した直後だった。

地獄に堕ちて、その後は美人の楽園。

世界が自分を元気づけようとしてくれたのだろうか。

と、くだらないことでも考えなければ、寂しさで落ち潰されそうなのである。

なにせ私は、ずっとおじさんに助けられてきたし、尊敬していたし、大好きだった。

若者にも負けない元気な80のおじいちゃんの、エネルギーに溢れる姿をもう見れないらしい。

亡くなるわけではないのだけど、ついこの間まで見せてくれていた力強さや満面の笑みというのは、難しい。

寂しい。

ただ、寂しいのだ。

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