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オーバードーズはやめてくれ!!!!!!!って話。

良い曲ですよね。いろんな人がカバーしてたりして・・・
でもやめてくれ・・・ひろまらないでお願い・・・ウウ・・・となる記事です。
歌詞はキャッチーでチルくて、エモいから人気が出るのも本当に心の底から分かります・・・。でも・・・。


でも「オーバードーズ」はやめてくれ!って話を一つ・・・。
もちろん、勿論「過量服薬(=オーバードーズ)」を自ら望んでする人は少ないと思ってはおりますが・・・今回は「そんなオーバードーズ」について一つ書きました。


〇オーバードーズ

過量服薬です。くくりが広すぎるのもあります。
基本的に「薬剤」を何らかの意図で(キマりたい、あるいは自殺企図等さまざま)通常想定されている量ではなく、圧倒的に多い量を服薬することを言います。薬の指定が無いのが、「キツイ」んですよね。まあ大体オーバードーズされる薬剤てのは大体基本絞られることが「多い」(勿論例外はある)んですけど・・・。多いのは精神科のお薬だったり、市販の風邪薬系ですかね・・・。

当たり前だけど、「副作用」が怖いわけですよ。例えば・・・風邪薬とかのオーバードーズだったとしたら、まあ多分成分にアセトアミノフェン(=カロナール)が含まれてて、この成分って肝臓に負荷をかけるので、過量服薬ともなればアセトアミノフェン中毒、ひどい場合には劇症肝炎のリスクにもなります。
抗うつ薬とかのSSRIであれば・・・QT延長と言って「心電図」においての波形に異常が出る可能性もあったりします
ベンゾとかであれば・・・意識カクーンだったりドロージーになったり
それが気持ちいいのかもしれませんけど・・・、我々医者からしてみると、これだけ「防げたよナア」って思うものはなくって。困るんですよ、対応も含めて・・・。

〇いつ多い?体感的に。

研修医時代の救急ローテの時、オーベン(指導医)が教えてくださった内容としては・・・「季節の変わり目」に多いと。確かにそれはあるなーって体感はあります。
夏休み明けとか、そういったイベントの終わり際てのも「増える」ってちょっと聞いたことがない気がしなくもないのですが、あんまりそれは体感したことないですね。

個人的には、「金曜の夜」がなぜか多い気がします。体感です。あくまで体感・・・。

季節の変わり目(特に寒くなっていく夏→秋、秋→冬)の金曜の夜ってのがなんか個人的には良く遭遇するかなあって感じがします。バイアスかかってるだけかもしれませんが・・・。

〇オーバードーズの対応

死ぬんですよ。場合によっちゃですけど、普通に致死的になるからこそ「困ってる」んです。そして・・・「死なない様」できるだけガッツリ対応が必要になる。んでオーバードーズって大体「夜間」なんですよね。医療が手薄になるタイミングで運ばれてくるわけで・・・

例:午後11時頃部屋に入っていった。寝たものかと家族は思っていたが午前0時過ぎにベッドからドタン!と大きな音がしたので心配になって見に行ってみたらベッドに大量のPTPシート(薬のシート)が散在してて、全部空になってて。ベッドサイドでぶっ倒れている患者を家族が発見、救急要請。

これがPTPシート。これ全部空っぽの奴が何枚も落ちてたり。
空き瓶が転がってたりしてますね。空き瓶はホント成分の同定がむずいから嫌い。

救急隊到着して搬送開始が1時過ぎだったとしましょう。ここらへんで一報来るわけですよ。夜中当直室で「寝れてるなあ~」て思いながらガーガー寝てたらいきなり外線ピッチが鳴るわけですよ・・・。ほんでとって「オーバードーズです」と。「バイタルは?」→「安定してます」→「何を飲んだかわかります~?」「一応空のPTPは持ってます」→いろいろ聞いて、応需か・・・つって応需するわけで・・・。電話で1時過ぎごろ起こされて、まあ到着が2時過ぎだったとして・・・そっからまあ諸々ご家族へのお話だったり、大体ケアユニット(ICU、HCU)に入室の運びとなるのでその話も含めてしたりして・・・。
大したODじゃなければ、なんと搬送されてきたときには「シャッキリ」目が覚めてる患者も多いんですよね。「何ともないから家に帰せ」って言う人も多くて・・・・・・・・・。暴れる方もいらします。家に帰る帰るって。
ただ薬剤の成分が完全に身体から抜けきるまではどんな症状出るか分からないし、容体も今は良いかもしれないけど変わるかもしれない。
基本モニター全部ON(心電図モニター、サチュモニとかも)
でケアユニットで一晩~2日位観察して、問題無ければ自宅退院。って感じで。解毒薬(アセトアミノフェンならN-アセチルシステイン、タイヤの味がするクソマズイ味のやつ)があれば解毒薬を飲み切ってもらうわけで。嫌がろうが何しようが嫌がるんだったら鼻から胃管ぶちこんでそっから投与します。カセタン(活性炭)が使えるなら使うし・・・。大変なんですよ・・・。胃洗浄は自分はしない派です(する、しないでまだ結構派閥がありますよね)。

そんな対応を午前1時から大体午前5時ぐらいまで追われるわけです。
勿論何の薬飲んだかにもよりますが・・・。時間も変動しますし・・・。総じて「患者が思ってるよりも」オーバードーズは「ヤバい状況になるかもしれない」ってことが多い。ここの認識において乖離があると思うのです。

やめてね

〇何が嫌なの、オーバードーズ 医療者からして

医療者というか、医者から見て・・・。医者って当直ていうシステムがあるんですよ。いずれまた詳しく書くんですが・・・。

朝勤務に来て(科によってばらける 朝7時位?)、勤務し17時の定時のタイミングから自身の仕事片付けながら当直業務(病棟の急変対応とか救急車の応需も担当)が入ってきます。研修医の子にご飯奢って・・・。何かあったらCallするよう伝えて。まあ救急車の応需とかは当直医が受けて。そのまんま忙しくて夜ずーっと患者の対応してて朝まで起きてたとしましょう。

その次の日ってそのまま勤務開始なんですよね。また朝7時から通常勤務があって・・・その日の21時位には帰れてるかなあ、問題無ければ。
30時間以上連続勤務なわけですよ。週に1-2回当直はあります。
こういう日がぼちぼち「稀によくある」くらいの頻度であるわけです。まあ一晩じゅう一度も呼ばれずに寝れるってのはまあないもんで・・・。翌朝のパフォーマンスは明らかに落ちますよね。
自分は結構睡眠取りたい体質でもあるので、キツイキツイ。

そんな生活してるので、「頑張れば防げたよね?」って案件には憤慨しがちなのです。いくら普段温厚な人だって、全く眠れない日が続いたらそりゃイライラもします・・・。
お酒飲み過ぎてふらついてドーンって倒れて外傷性SAHだったり・・・単純に飲み過ぎて意識失って救急搬送だったり・・・、オーバードーズだったり・・・。
防ごうと思えば「防げるのでは?」って案件で運ばれてくるほど正直、正直な話「腹が立つ」事はないんですよ・・・。
そういうことが無ければ、多少翌日のパフォーマンスは落ちたとしてもちょいちょい睡眠はとれたはず・・・って思うと、ウー・・・と怪獣のように唸ってしまうのです。

〇オーバードーズで助かっても、対応した医者の命は削れてる

結局これに行きつくのだと思います。よくTwitterとかでもベッドサイドのシーンで写真とってSNSに上げてたりしますよね。ODの人・・・。死ぬかもしれないっていう認識に乖離があるかも?て所以で必死にこっちは治療というか経過観察したり・・・睡眠時間削って診てるわけです。医者の命を削って・・・るんです。それを認識してほしいと思うのです

直明け、きつかった時はふらふらするし動悸がヤバイ そんな中次の日も勤務します

もちろん、「胸痛」だったり、ガチでAMIだったりAADとかそういう「ヤバイ」疾患を疑うような案件は受けて当然だとは思うのです。前兆というか、防げませんし・・・。でもお酒とかODは防げちゃうよね?って思ってしまう。

今割と元気でこの記事を書いているときは「確かにお酒の若気の至りはあるし・・・、ODについてはそれをするだけの理由があったんだろうな」って思うのです。
でも・・・夜間でピリついてるときに来られるとすごい深いため息が出ます。
勘弁してマジで・・・って。

だから、だからゼロにはできなくとも、減らしてほしいなって思うのです。

今結構、そういった面で薬剤購入制限が厳しくなったり、処方も30日分まで、といった感じで縛りがつく薬剤がちらほらあります。社会も何とか対策はし頑張ってくれてはいるものの・・・まだまだ何とも言えない感じ。

〇オーバードーズって名前やめて「お薬沢山飲んじゃいました病」にしましょう

名前もあると思うんですよ。オーバードーズなんてかっこいい響きの名前して。曲も作られるしカバーいっぱいされるくらいなわけだし。
お薬沢山飲んじゃいました病って名前に変えませんか?ものすごくダサい名前に。実際その通りなんだし・・・。

そうすれば少し減るんじゃないでしょうか・・・。余りまとまりのない記事になってしまったのですが、あまり深掘りするとものすごくなってしまうので、ここらへんで・・・。またブラッシュアップして記事書こうと思います・・・。

ホントやめてほしいなあ、できれば・・・出来れば・・・。




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