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【特撮家族】世界最速レビュー?ネタバレ注意?早速読み終えた桜井さん、小説は混乱しちゃう坂崎さんに説明する

昨日に引き続き、撮影スタジオ。桜井さんは、手に何か持っていました。

勘のいい幸ちゃんは、それが何なのか直ぐ気付いて、桜井さんに尋ねます。
「えー桜井、高見沢の新しい小説、もう読んだの?まだまだ本屋開いてないじゃん」

桜井さんはちょっと自慢気に「近所のコンビニに前もって問い合わせたら、朝の6時には買えるってことだったから、早速行ってきたよ。もう読んじゃった。」

「早えっ。でも俺、小説とか映画は混乱しちゃうからダメ」神童の幸ちゃんにも出来ない事があるのです。

「大丈夫だよ。説明してやるからさあ」
頼まれていないのに、桜井さんはTakamiyの小説が載った分厚い雑誌をもったまま両手を大きく広げて、話したくてたまらない様子です。
まだ時間があるので、幸ちゃんは付き合ってあげることにしました。

「まずね、登場人物。主人公は銀行務めの朝倉義景好きの歴女。それから、彼女が好意を寄せるIT企業の男性。父は大学教授で特撮フィギュアコレクションが趣味。母親はフィギュア嫌い、テレビ局勤務の兄は特撮映画好き、美容師の妹はウルトラマンシリーズ」

「で、その家族が何なの?」

「埼京線の戸田公園駅近くに住んでいるの。そう書いてないけど、多分そう」

「何じゃ、それだけ?それで面白いの?」

あまり説明になってないことに気づいた桜井さんは、少し考えてから「特撮家族の面白いところは三つ。一つ目は、場面や心理描写が、戦国時代の人物、状況、用語で描かれていること。二つ目は、父の特撮フィギュアコレクションを軸に登場人物が関わりあって話が展開していくこと。三つ目は、歴史トリビアというか、戦国武将や出来事が詳しく説明されていて、歴史が苦手な人でもきっと楽しめるんじゃないの。高見沢は随分下調べして書いたと思うよ。そういうところは偉いよ、アイツ。」

幸ちゃんは、内容が気に入ったらしい桜井さんの話を聴きながら、その文芸雑誌を見つめています。興味はあるけど、読めないから申し訳ないと思っているのです。

桜井さんは、幸ちゃんの気持ちを察しているのか「ちょっとネタバレだけど」と続けます。

「銀行務めの歴女が、合コンで推しの戦国武将の朝倉義景にイメージが似た男性に出会う。大学教授の父が急死。それをきっかけに、今まで嫌いだった父の特撮フィギュアコレクションを通して、家族との関係を見つめ直し始める。そして、死んだはずの父親が…。」

「桜井すっげー。ちゃんと読んでる。終わらない夢の映画音楽のコーナーみたいな解説。」

二人の会話がちょうど一段落したころ、小説の文章が改行して新しい段落が始まるように、Takamiyが、 ーいや、今日は髙見澤俊彦先生と呼びたいー が入ってきました。

桜井さんも幸ちゃんも、誇らしい仲間に著者インタビューしたい気持ちで胸踊らせていました。

「高見沢、お前の新しい小説よんだよ」「俺は読めないけど、桜井からどんな話か聞いたよ」


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