スマブラ世界ランキングUltRankとは
初めましてPUPAという者です。今回はUltRankとその中枢を担うTTSについて解説します、これらを日本語でまとめてある記事がない事から認知度や理解度を少しでも上げようと思ったところです。
そして基本的にはスマブラ勢に向けた記事となっているので最低限の前提知識ありきで進みます、拙い文章ですがよろしくお願いします。
またこの記事は2022/6/1時点での情報を元にしております。
UltRank 公式Twitter
現在はLumiRankという名前に変更されていますが、基本的な情報に変化はなく、改名したぐらいの認識で大丈夫です。
LumiRank 公式Twitter
1.UltRankってそもそも何?
一言で言えば世界のスマブラコミュニティにおいて最も権威のあるランキングです。PGR(Panda Global Rankings)とOR(OrionRank)の正式後継となるランキングと言えば、その規模感が伝わるでしょうか。
この企画は2022年に始まったのですが、2022版は少しイレギュラーなランキング(後述)であったので今年出るものが様々な観点から踏まえ注目度が高くなっています。
今年は中間発表と年間ランキングが今のところ予定されており、世界Top50と何かしらのおまけもリリースされる予定との事です。
(過去のORを鑑みるに地域別ランキング?)
上半期のボーダーは7/23
はじめに
解像度を上げる為にも今作のランキング史を簡潔に記載しますが、既に把握している方や興味のない方は飛ばして頂いても大丈夫です。
スマブラのランキング史においてまず第一に連想するものといえばPGRでしょう。
PGRはPanda Global GamingのPG Statsチームが作る2016年から続くスマブラ界隈におけるデファクトスタンダード的な権威を持っていたランキングです、今作のSPが発売されてからも一年目の熱気も合わさり類を見ない注目度の高さを見せていました。
Kudさんの手がける映像作品は神
しかし某ウイルスによって競技シーンは2020年に一度凍結してしまい、結果的に最終作になってしまったPGRUv3はひとまず地域別ランキング(北アメリカ,日本,欧州)として2022年7月にリリースされました。
NA版PGRUv3
このPGRUv3がかなりの曲者でした、一応競技シーンが凍結する前から決まっていたのですが今回はパネリスト制を採用していたからです。
導入に至るプロセス等が記載された記事
このパネリスト制というものは有識者による投票で決める方法であり、当時主流だったランキングがアルゴリズムベースかつその結果に違和感を覚えた人も少なくはなかった為に大きな話題を生みました。
後に行われた有識者たちによる採決で国際ランキングはアルゴリズム制に戻る事が支持された為にUltRankはパネリスト制ではありません。
これは主観ですが本場のNA圏ではSP/DX問わず活発な議論が行われていたと記憶しています、日本版は明確な数字をPGR側が伏せるという異例の処置もあり日本では比較的話題にはなりませんでした。
日本版PGRUv3
次のPGRはどうなるのかと思っていた矢先あの事件が起きてしまいます。
本筋ではないので事柄の経緯はここで触れませんが、結果的にPGRという作品は無くなり後継としてUltRank(草案はSSBURank)が生まれ、また運営の代表がORの代表者でもあるBarnard's Loop氏に引き継がれました。
ここで名前が出てきたOrionRankとはPGRと並ぶ古株のアルゴリズム制のランキングです。
PGRが実質的な世界ランクだった時代は脚光を浴びなかったもの、前述した通りPGRがカバーしていない期間(2020,2021,2022)も更新していた事や最新のPGRがパネリスト制だった事も相まって注目度も跳ね上がり、世界的に見ても権威の高いランキングになりました。
そんなORは2022年を最後に活動を停止しており制作チームはコンセプトを引き継ぎながらUltRankへの専念が発表されています。
UltRankがPGRとORの正式後継足る所以が分かったと思います
導出方法
ひとまずUltRank 2022について紹介しますがこの回限定の特殊な方法です。
OrionRank、EchoRank、ΩRankこの三つの結果を混ぜ再計算したRankRankと評されるような物になっています。
今後のUltRankはこの形式でないので覚えなくても一切問題ありません。
RankRankのイメージ
では肝心のUltRank 2023について現状分かっている事について話します。
前提として海外ランキングの大半は計算式の詳細を発表していません、これは日本と海外のランキングにおける大きな違いかもしれません。
(日本で有名なJPRやJJPR,JSRは公開、SMASH BANZUKEも後日発表)
よって具体的な事は分かってませんが傾向を予測することは出来ます、中の人曰く「アルゴリズムは新しいものを目指しているが、メンバー的にもOrionRank、EchoRank、ΩRankこれら既存のものから着想を得るかもしれない」との事なので重要になり得る要素を予想します。
ランキングが発表される日まで確定しない
※あくまで過去のランキング等から抽出した要素なので未確定です
※明文化されていた方針のみを記載していますが、話半分に見てください
何度も出てきた"どの大会"という言葉、要するにランキングシーンにおける大会の価値を1つ1つ決定しているのですが、その基準はTTSに従って計算され処理されているのです。
これは余談ですが最近よく話題にあがるEtherRankは完全ELOレーティング制。レーティング制ランキングの是非は国内外問わず議論されていますが筆者は訝しみ寄り。
2.TTSって何だよ
正式名称は 「Tournament Tiering System」
各大会の参加人数と参加者のレベル(後述)による2軸で評価しポイントが設定され、またそのポイントに基づきTierが決定
ここに情報の大半が記載
Rank 紹介
現状は P S+ S A+ A B+ B C Dの9段階
・D tier "Notable"
500点には届かないがTTSに載る最低条件を満たした層
現状TTSに記載されている世界中の大会のうち83%は D Tier (574/694)
注目に値するといった意の大会
・C Tier "Regional"
500点以上1000点未満、全体の13%(91/694)
地域の、局所的といった意の大会
・B Tier "Super Regional"
1000点以上2000点未満の大会、全体の4%(30/694)
開催国が絞られてくる、主に日本と北米
・B+ Tier "Submajor"
2000点以上3000点未満、ここから両手で数える程度しかない
読んで字の如く準Majorといった意の大会
・A / A+ Tier "Major" / "Major+"
3000点以上5000点未満、日本で言う"大型大会"に相当する意の大会
厳密に言うと大型大会=Majorではないが
(日本における"大型大会"は地域と人数で印象づいてる傾向があるので)
・S / S+ Tier "Super Major" / "Super Major+"
5000点以上9000点未満、各国を代表するクラスの大会
・P Tier "Premier" ※Platinumではない
9000点オーバー、まさに文句なしで最上級
今年のUltRankが初めて導入した概念であり
Super Majorを更に超える大会
条件を満たしてるのにも関わらずTTSに記載されていない、また逆にTTSから除外して貰いたい場合は連絡を入れる事を勧めます。
どちらとも対応された前例があります。
今季 残す注目大会
本筋とは逸れますが冒頭で述べた通り今シーズンの終わりは確定(7/23)している為、展望についても現在判明している範囲で掻い摘まんで記載します。
~国内~
・WAVE Champions#2 6/4 関東
・神威#3 6/10 北海道
・第一回イツクシマ 6/10~11 中国
・パラスマ#6 6/11 関西
・第14回グランドスラム 6/17 中部
・九龍-KOWLOON- #6 6/17 九州
・第39回スマバトSP 6/18 関西
・伊達ブラ#1 6/24 東北
・こしスマ -改 6/24 関東
・マエスマTOP#13 6/24~25 関西
・西武撃#14 7/1 関東
・tamasuma 極冠#3 7/15 北海道
・第16回ジョウスマ 7/16 関西
・第40回スマバトSP 7/16 関西
・しのスマHEROS#4 7/16 関東
・UltCore 7/22 中部
~国外~
・Crown the Third 6/3~4 ユタ
・Icarus 2023 6/3~4 イタリア
・Reset by Game On 6/10 フランス
・Wavedash 2023 6/16~18 カルフォルニア
・CEO 2023 6/23~25 フロリダ
・King Of Fields 95 #3 6/24~25 フランス
・Battle of Z x UMAD 6/30~7/2 カナダ
・Level 1 7/22 アイルランド
・Get On My Level 2023 7/21~23 カナダ
Player Value
次に前述した参加者のレベル評価に関わってくる"Player Value"について解説します。高Tierの大会においては最も重要な要素になります。
現状ポイントを所有している選手は大きく分けて4パターン
複数該当するプレイヤーは最大値のみを参照
OrionRank 2022 Top150
Hidden Boss Class 1 / HB1
Hidden Boss Class 2 / HB2
PR Value
1 OrionRank 2022 Top150
・2022年OR上位150人に付与されるポイント
2 Hidden Boss Class 1
・一定の条件にて主観で付与されるポイント
選定基準
・前作で顕著な実績を収めた選手
・今作で顕著な成績を収めたが引退や出席数によりランキング外の選手
3 Hidden Boss Class 2
・各大会の順位から直接付与されるポイント
ex. A大会Best8→50pt、S大会Best8→100pt
・唯一流動性があり高順位を取る度に更新
・対象大会は今シーズンと前期のTTS準拠 (2022/7/1~2023/7/23)
Qualification Threshold
ランキングに参加する資格が付与される基準値
Qualified players 一覧
登録トータルが多い三大地域
関東(119)、関西(74)、Tristate(52)
この表は資格持ちプレイヤー更新のお知らせ
4 PR Values
・各国各地域の上位5プレイヤーに付与されるポイント
・独自の地域ランキングがある区域はそれから引用し決定
・無ければΩRank等の外部データから決定
仮にポイントを持つ日本勢が全員参戦した大会が実現するなら、その得点だけで10000点オーバー P-Tierをゆうに記録する。
その他仕様
最後にまだ紹介していない仕組みを3つほど解説します。その他と銘打ってますが軽んじる事は出来ない項目となっています。
招待制大会
DQ
遡及性
1 招待制大会
招待制大会(Summit等)においてはOR Top30プレイヤーの価値にボーナスが付与されます。
ex.) Shuton選手の場合 350(OR5th)+200(ボーナス)で550ポイント
2 DQ
一口に言えばValue PlayerのDQ(棄権)のみ大会ポイントに影響します。
DQによって参加人数のポイントは減りませんが、点を持った選手が表裏DQした場合そのプレイヤーが所持するポイント分差し引かれます。
また誤解を生みたくないので説明しますが、この仕様によって従来のTierから下降するケースもよく発生します。
しかしTierが下がったからといって獲得できるポイントの量も一気に減少する訳ではないと思われます。
(Tierはあくまでもラベルという考え方)
SP初期に騒動となった際のPGによる声明
3 遡及性
HB2の関係上、大会前後でポイントが上昇するケースが発生します。その場合既に終了した大会の価値も遡及し更新する事となっています。
(これによりシーズン終盤における大会の価値が高騰する事も防がれる)
またこの事象により最低条件(二人以上のポイント保持者で250点を上回る方)を満たす大会があればランク外からD Tierに理論上なりますが、このパターンを発見する事は難しいとされています。
【2と3の実例】
DELTA#4のケース
大会前… 直前の増枠によりAからS (5006pt)
大会当日… 強豪のDQによりボーダーを下回りA+ (4786pt)
大会後… 主にDELTAや篝火で点を新しく獲得した選手の誕生にてS (5216pt)
実はBoBC5でも同じ事象が発生していました。
(SonixやCosmosら6人のDQによりPを下回るがArmadillo 9thにて復活)
3.おわりに
拙文でしたが一先ずこれにて解説は終了です。
大方明るみになっている情報のみで構成したので、人によっては既知な情報の塊で収穫がまるで無かったやもしれません申し訳ないです。
内容について誤りがあれば気がねなくお伝えください、公式にも許可は取りましたが検閲等は行っていないので何かあれば即修正します。
ここまでお読み頂きありがとうございました。
おまけ
~流れから挟めなかったトピック置き場~
1 Tier判別ツール
・海外統計勢でお馴染み kenniky 産のスーパーウルトラ便利サイト
・Startgg限定だが大会のURLさえあればUltRank基準のポイント&内訳可視化
・申請段階から適用できる為、TO目線何かと便利そう
・トナメが出てない段階でもこれを使えば強豪のピックアップ可能
2 P-Tier 名前ワンチャン変わるかも?
・実況、アナリスト、クリエイターとして有名なL4STが火種の話題
・リプを見る感じ中の人的には"Premier"って呼んで欲しそう
・正直近いうち本当に変わるとは思わないが、念のため紹介
3 EchoRank
・この記事にて度々出てきたランキング
・UltRank2022の中枢を担ったランキングの中で唯一現在も更新中
・オーソドックスな大会価値によるスコアリングに加え流動的に強さを調整するレーティング風の要素が特徴のランキング
・クオリティ的にも十分1つの指標になるのでもっと注目されるべき(主観)
4 上半期の世界王者レース
・BoBC5終了時での状況を主観を交えつつ整理
・所感 Sparg0 or あcola>>Tweek>#4争い
GW前時点の記事だが上記並びがしっくりこない人には推奨
・大前提として現状世界最強プレイヤーとランキング1位はまったくの別物
trade war「Sparg0が現状最強プレイヤーな事とあcolaは今季No.1に然るべきという二つの見解は矛盾せず、どちらも真実足り得る。」
Loop「Sparg0との直対で不利を取っていても圧倒的な戦績と安定感から、あcolaが1位になっても驚きはしない。アルゴリズム論争が巻き起こるかもね。」
・実際そこまで話題にならなかったが去年のORにおいて製作者の一人が「西武撃(#12)で躓いてなかったら、あcolaは1位だったかも」と発言していた。
原文 "highkey if acola didnt bomb at seibugeki he could have taken 1"
スケールは違えど直対に偏りがあってもそれが結論にならない可能性はあると思われる。
・現状#1に最も近い二人のデータを実際に比較
① 大会成績
あcola選手のアドバンテージ
・安定感
平均 1.8>3.4 Major平均 2.1>3.7
最低順位 7th(P)>13th(A+)
・優勝した大会の総ポイント 36934>24182
・”S.Major”の順位 1st,1st,1st,3rd>2nd,3rd
・Sparg0が不振に陥った”Summit6"にて優勝
・非Majorの優勝数 B+,B,C>C
Sparg0選手のアドバンテージ
・現状最もポイントが高い大会(篝火#10)を優勝
・”Premier”の順位 1st,1st,5th>2nd,2nd,7th
・Summitを除く両者が参加した大会3つで毎度彼より1つ高い順位を樹立
② H2H
Ether,Echo平均値Top50かつ一方と対戦したプレイヤーを抽出
出席率からランキング外の強豪は主観で配置
(PtotoBanham,Shinymark)
プレイヤー色分け Top10-20-30-50-圏外
今季どちらとも対戦レコードがない Top30↑ Kameme,Bloom4Eva,Onin
あcola選手のアドバンテージ
・互角な戦績はなく負け越しカード数も極端に少ない 2>6 (0-6,1-8)
・負け星の下限
KEN,Big D(Top25)>ヤウラ,VoiD(Top30,圏外)
・Sparg0選手が負け越し相手4人に勝ち越し
Tweek,Kurama,Skyjay,VoiD
・対Top20以下スコア 31-4 >19-5
※対Top10スコアは大差なし
Sparg0選手のアドバンテージ
・Top2である最大の競合相手に5-0と圧倒的
・勝ち星を収めたTop8プレイヤーの数 6>3
(9位の同率3人を含むと 7>6)
・あcola選手が負け越しのMuteAceに1-1
総括
・戦績に無二の深さがあるSparg0選手と、支配的な広がりを持つあcola選手
・現状どちらかに大きく傾いている訳ではない
・バイアスも否定出来ないが現状リードしてる方を決めるなら後者か…?
・Sparg0選手の勢いがCrownとGOMLでも発揮されるかは大きな分岐点
→差があるS.Majorと最上位とのH2Hを改善するチャンスが多いにある為
・また同様に当然ながらあcola選手の動向も大きな注目が集まる
→日本においてもMajor級が少なくとも2つ残っている(マエスマ,西武撃)
→ただNotable Winを更に伸ばすには海外遠征も重要なファクター
(Light,Sonix,Riddlesを筆頭とした対戦していない海外勢がいる為)
⑤あとがき
・今後もスマブラ競技シーンに関連したコンテンツを思い立ったら投下
・多ジャンルに興味あり ex.大会,プレイヤー,シード,ランキング,翻訳などなど
・ただ基本スペシャリストが既に存在しているので、大会プレビューなど日本でまだ大して見ないような物の方が創作モチベは高
・大会やプレイヤー背景の記事や動画は海外に豊富なので似たものを目指すかもしれない、今作は初期から追えているので最低限の知識は…
・しかし気分屋ゆえ行動しないどころか、これが最後の記事になるかも…
改めてここまでお読み頂きありがとうございました。今後も不定期でTwitter等を稼働させていくので宜しくお願い致します。
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