英語が話せない理由は「性格」ではない

前にも書いたことがありますが、英語が話せない理由は「性格」ではありません。「日本人は完璧主義だから」でもありません。「間違えても良いから度胸と根性で話せ」などという先生は自分の義務を果たしていないのです。

海外の英語教室に通うと、単語も文法もそれほど知らない外国人がどんどん話しているのは事実です。日本人だけ黙っているのも事実です。でも、その理由は性格ではありません。滑舌が悪すぎて話に追いつけないことです。だから、言いたいことがどんなにあっても取り残されて黙っていることになります。

「カタカナ英語で堂々と話せば良いじゃないか」という人は大勢いますが、カタカナでは普通の速度で話せないし、簡単な単語の羅列以外はわかってもらえません。対話には自然な流れがありますから、その流れに乗って、相手に理解してもらえる程度の速度と発音で話さないと追いつけないのです。そこでまず口を動かすための正しい訓練が必要になります。

日本語の音と英語の音は全く違います。これは発音と発声に使う筋肉の位置が大幅に違うためなので、いくら「英語耳」を鍛えても、「音読とシャドウイング」をやっても、筋肉の使い方を意識的に変えない限り、話す力はほとんど伸びません。これは大事な点なのでもう一度繰り返します。カタカナ英語でどんなに音読とシャドウイングをやっても、悪癖が固定されるだけです。すぐにやめましょう。

話す力を伸ばすには、話すための脳と筋肉の訓練が必要です。

①英語の音をカタカナから切り離し、正確に理解すること。
英語の音は、カタカナで「ア」と書かれているものだけで7種類ぐらいあります。それを頭の中で全部同じように処理しているうちは、話すことも聞くこともできるようになりません。

②頭で理解した音を再生できるように筋肉を鍛えること。
これは基本的に筋トレですから、まず口から喉にかけての筋肉を鍛え直す必要があります。

③今までと違う筋肉の動きが習慣になるまで意識的に反復練習すること。
これは英語だけでなく、テニスやゴルフでも楽器の練習でも同じことです。初心者がコツを飲み込むには、正しい指導を受けながら反復練習をすることが必要です。

④発音と共に、音程にも気を配ること。
英語の音域は日本語より広いので、声楽のように喉を鍛えないと「Hi」のような挨拶も自然にできません。文やフレーズの起承転結も音程で決まるので、音程の調整ができないと、機械が音を羅列しているような話し方になります。これも、普通以上にゆっくり話さないとわかってもらえない原因のひとつです。

⑤正しい抑揚をつけること。
英語の話し言葉では、すべての単語をひとつずつ個々に発音することはありません。重要な単語を発音する際に速度をやや落とし、音程を上げて強調します。それ以外の部分は圧縮して低めの音程で一気に流します。これを知らないで無理して速く話そうとすると、何を言っているのか全く分からなくなります。

⑥肺活量を鍛えて喉の奥から声を出すこと。
これは歌を歌う場合と同じです。日本人の英語が通じない基本的な理由のひとつは声の通りが悪い(喉を通過する空気の量が少ない)ことですから、地声が大きい一部の人以外はまず小声を解消することが不可欠です。

⑦「三か月でペラペラ」などを目標にしないこと。
英語に限らず、社会的な価値のある知識や技術を習得するには、どんなに短くても数年は必要です。日本の子供がアメリカの小学校に通っても、7年から8年は真剣に勉強しないと地元の子と同じ語学力はつきません。非現実的な目標設定は挫折の原因になります。ほとんどの人が数か月で匙を投げてしまうのはこのためです。5年後や10年後の目標を考え、人生設計の一部として根気強く勉強しましょう。

今回のワークショップは、LAとNYで割引中です。留学生は通常の半額で参加できます。東京と大阪の発音講座は空席あとわずかなので、今すぐお申し込みください。








この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?