陣痛物語大団円!!
自分がうむんだって腹くくった。けど…
もう力が残ってない。独りよがりで思い込み激しくて、肝心なところで人に頼んだり聞いたり出来ないし、見栄っ張りで変に負けず嫌いで。だから人生の一番大切なとこで、こんなことになっちゃった。どうしよう。どうしよう。神様…
お産って生き様が出ちゃうんだなぁ。今までなら逃げてそれで終わりだったけど、だけど…
分娩台の上でくたばっていると、産道が全開ですもう、産めますよ。◯◯さん、お産開始です!!
(もう開始してましたー。すみませんー)
うっすら時計をチラ見。たしか12時ジャスト
ほんとにどうしよう。ほんとに力がすっからかん腕も痙攣して震えてる。足にも力が入らない
一回。どう振り絞ってもあと1回しかチャンスない
この、1回にかけるしかない。それでダメだったら
ダメダッタラ、ドウナル?
真剣に考えた。死ぬかもしれない。なにもかも使い果たして死ぬかもしれない。でも、なんとしてでもこの子は外に出さなけりゃならない
出す!!ワンチャンスで出してみせる!!
そう決めた瞬間、ぐわぐわぐわーっと陣痛の波が押し寄せてきた。そのエネルギーに残りの力を集結して乗せればいいんだと氣がついた
くるくるくる。1発勝負でこれで出す!!
ざっばーん。破水しました!!
その瞬間
今だー!! いけーーーーーーー!!
大勢の人が手を振り上げがんばれーーーー!!と叫ぶ姿。応援の舞みたいなのをしているひとたち
たくさんの姿が脳裏に浮かんだ
(イメージとしては千と千尋のあのシーン)
赤ちゃんを引っ張る先生と押し出すわたしたち
一方向へ向かう、とてつもなく強いエネルギーに乗っかって、人生最大の力でいきんだ!!
ぐごごごごごごごこごごごこごごごー
ごぼん!!ごろごろっ
なんか出た!!大砲の弾みたいに出た!!
なに?
はい出ました。生まれたよ!! 先生の声
しばらくして オギャー!!の声
なんかよくわかんないけど、出たみたい
あれ。ちっとも氣持ちよくないよ
幸福ホルモンのシャワーとか、ちゅるんとした感覚は? なんか焼きついたような熱しか感じないんだけど
ようやくうっすら目を開けると、知らぬ間に担当の先生以外に院長や小児科医までいる。スタッフもめちゃ増えてる。あ、どうも。小児科の先生が赤ちゃんの体ふきふきしてくれてる
そして
はい、おめでとうございます。の声とともに胸にぽん、と赤ちゃんが乗せられた
おめでとうございます
おめでとうございます
◯◯さん、よくがんばったねー。おめでとう
おめでとうのシャワーが降りそそぐ
あ、時間は?時計の針は12時20分
視線に氣がついたのか先生も見る
12時18分、ご生誕です
おめでとうございます
つづく
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