陣痛物語いざ決戦へ!!
どのくらいの時間だったのかはわからない。陣痛の波が来るたび、全力全開でいきんでいたわたし
ついに力尽きてしまったことに自分で氣がつく
どうしよう。もう力が残っていない。もう無理だもう自分じゃ産めないよー!!だれか助けて!!
その時、先生が到着。準備する音、テキパキ指示を出す声(もう目を開ける力もなかった)
◯◯さん頑張ったね。赤ちゃんが引っかかってるから、お手伝いするね。引っ張ってもいいかな?
な、なんでもいいですからやってくれー!!赤ちゃんが苦しいならなおのこと早く!!
よ、よかった。これでもう大丈夫。あとは先生がなんとかしてくれる。わたしはもうなにもしなくてもいい。任せとけば大丈夫
よかった。もうあとは任せよう
心底ほっとして、全部丸投げしようとした瞬間
びりびりと轟くような大音声が響き渡る
大きすぎて聞き取れなかったけどこんな感じ
お前はまだ、生殺与奪を人に委ねるのか!!
え?なに?誰? それ鬼滅の刃のセリフぽい
おおおおおおおおおーという地響きみたいな音
なにかが激しく振動している感覚と耳鳴り
そこではっと目が覚める(目は開かないけど)
そうだ、わたし、誰かに依存して、大切なことを相手に委ねたり、譲り渡したりなんかしないって魂に刻んだんだった
そうだ。わたしがうむんだ。ほかのだれでもなく自分がうむんだ
中の人を外に出すのは、このわたし
そうだよ。だけど力がもう残ってない
言い訳でも逃げでもなく
ほんとにほんとに残ってない
どうしよう。どうしたらいい?
かんがえろ、かんがえろ
死にものぐるいで、うむしかない
つづく
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