【戦略の立て方と分析】羽柴秀吉のリスクヘッジ

よく言われていることだが新規事業を始めるより既存事業を撤退する方が難しい。これは方法論というより決断することが難しい。新しいことを始める時は勢いなどで、よし!やろう!となるが、撤退の決断は苦悩の末に行うことになる。そのため難しいと言われてしまう。

ということは言い換えると、撤退する準備や基準さえ明確であれば苦悩の末に決断することなく比較的スムーズに撤退できる。要はそれを事前に決めておく、もしくは計画の1つに入れておくかどうかだ。

明智光秀が謀反を起こした事を秀吉が事前に知っていたかどうかについては色んな憶測がある。中には中国大返しが出来たのは事前に知っていてその準備が出来ていたから、という説も見たことがあるが、秀吉の経歴を考えると謀反を事前に知っていなかったとしても撤退および兵糧準備を怠っていたとは思えない。何より名補佐役の羽柴秀長や竹中半兵衛(中国攻めの際に死んでいるが)や黒田官兵衛の両軍師が付いていて補給・撤退転進準備に不備があったとは思えない。軍師はいつでも負けた時のことを考えているものだからだ。

黒田官兵衛が信長横死を知って秀吉に光秀討伐を進言した時には既に進路・兵糧・兵士数などの計算をし目途が立った上だっただろう。おそらくそれが他幹部に周知されていただろうから(詳細は知らなくとも秀長と官兵衛のやることに抜かりはないという認知)無茶だ無理だ無謀だという意見はなくスムーズに転進できたと推測できる。準備を確り行っていると反対意見もない。

企業が新規事業を始める時には、その撤退や転進の基準を計画に盛り込み、それをスタッフに周知しておくことをお奨めする。失敗することを考えて新規事業など始める奴はいないとか失敗する条件を事前に社員に話をすると社員のやる気に関わると考える経営者もいるだろうが、気にすることはない。そういう状況にしない為の計画・戦略を確り練ることが大事。さらに失敗基準を明確にすることで、社員達に注力して欲しいポイントをより強調することができる。

まして100%成功すると確信できる事業など本当に稀。撤退を視野に入れない経営者は怠慢と言っていい。

世の中、備えあればチャンス有りなのだ。
 

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