書評:嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか(鈴木 忠平)
まず最初に断っておきたいが、本書は野球好きのための本ではない。むしろビジネス書として取り扱うべきだ。筆者は不世出の天才打者にして名監督である落合博満という一人の男の生き様を通じ、「プロフェッショナルとはなにか」という問いを投げかけてくる。勝負の世界に生きる落合の妥協を嫌う姿勢は、現状維持に安住する人々の弱い部分を責めたてる。
落合が監督を務めた8年間のドラゴンズについて、数々の「事件」を切り口に振り返る体裁だが、野球というのはあくまで舞台装置でしかない。故障でほとんど投げて