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2022ドラゴンズ 飛躍を期待する7選手

2022年の中日ドラゴンズ

2022年もドラゴンズは非常に苦しい戦いとなりそうです。

シーズンを通して壊滅状態であった2021年の打線にどうやら新外国人は加わらず、新たな野手はドラフト指名選手のみ。ルーキー含む若手選手がいきなり順位を変えるほどの活躍をするとは考えにくく、昨季からの伸びしろはコンバート組の出場機会増加に加え、高橋、阿部、福田、平田の中堅〜ベテラン野手の復活でしょうか。優勝はおろかAクラスを狙うことすら困難な野手力で、投手に目をやると絶対的セットアッパー又吉がFA移籍するも、目立った補強はなし。人的補償の岩嵜翔は好投手ですが、昨季の又吉クラスの成績を期待するのは余りにも酷でしょう。ペナント争いを放棄するような態度は他11球団に失礼だとすら感じますが、お金がないと言われてしまえばそれまで。ただガッカリすることしかできません。

勝敗に熱くなれるとは思えない今シーズン、楽しみを見出すには個人個人を応援するしかございません。大野や柳、ライデルマルティネスら一流投手の投球に魅了されるも良し、大島の2000安打をカウントダウンするも良し。

加えて、その年新たにブレイクする選手にはワクワクするものです。昨季は柳裕也や木下拓哉にとって飛躍の年となりました。今季は誰が飛躍を遂げるのか。個人的に期待する選手が7人います。



① 橋本侑樹

2021成績 28登板0先発 0勝0敗1ホールド 投球回26.2 防御率3.71

前半は一軍に帯同しブレイクの気配を見せた昨シーズンでしたが、後半戦は0登板。尻すぼみに終わってしまいました。3年目を迎える今季はブルペンのAチームに定着し、福にばかり負担が偏っている左リリーフ陣の勢力図を変えて欲しいです。

右膝が突っ張り上体が沈みきらない独特のフォームの弊害からか、ルーキーイヤーは制球難に苦しみましたが昨季はある程度改善。球威のある橋本は四球連発さえしなければ特に問題ないでしょう。

伸びしろとしては第三球種の本格化。独特な軌道を描くスライダーは強烈ですが、対右打者を中心にもう一つあると随分レベルアップになると思います。昨季僅かに投げた球種が、カットボール、チェンジアップ(スプリットチェンジ)、ツーシームの3球種。これらを全て機能させられればそれに越したことはありませんが、奪三振能力が強みのショートリリーフであることを考えるとスプリットチェンジが最も実用性が高いでしょうか。相手打者の左右問わず大きな変化球で三振を奪える、ミニ松井裕樹的な投球を期待します。

↓独特な軌道のスライダーは初見殺しの性質もあるようで、交流戦期間は非常に重宝されました。


② 梅津晃大

2021成績 3登板3先発 0勝1敗 投球回11.1  防御率1.59

エースの器と期待され続ける梅津も早くも4年目。故障離脱を繰り返し、置かれる立場は少しずつ悪化しています。能力的には既に非常に高く、通算16先発で2.92の防御率を見ても、最大の敵はコンディションと言って間違いないでしょう。梅津が一年間健康にローテーションを守れば、現状の実力でも大野、柳に次ぐ3番手と言える成績を残すのではないでしょうか。

能力的な課題で言えば、主に2点。制球と球種構成です。昨季は11.2回で12四死球と制球難を露呈。少ない失点数ながら不安定な内容が続き序盤で降板する試合も見られました。コンディションに不安を抱え、どこかをかばって投げることで全身の力が伝わりきらず、ボールが上ずっているようにも感じました。

球種構成では、カーブ気味の大きなスライダーとフォークが主な変化球ですが、もう一つ速い変化球が必要でしょう。2020年には開幕直前の6月のメットライフドームでの練習試合で、縦割れ気味のカットボールを投げていました。これが絶品だったのですが公式戦ではあまり活用せず。昨季は遂に完全に封印してしまい、幻の変化球となっています。再現性に不安があるのか、真っ直ぐの質に影響があるのか、それとも他に理由があるのか分かりませんが、是非多投してほしいボールです。中日の日本人投手で最大級のエンジンを搭載した梅津が、対になるカットとフォークを落とす王道構成を完成させれば、リーグを代表する投手になれる可能性すらあると思います。

↓このフォークは非常に強烈です。


③ 勝野昌慶

2021成績 17登板17先発 3勝6敗 投球回91.1 防御率3.74

中日に数多くいる高出力若手右腕の中でも、既に2年間一軍で貢献しており、一つ抜け出した存在となった勝野。今季は更に段階を登り、規定投球回到達を期待したいところです。

勝野の課題はゾーン内に投げられる変化球です。走者を溜めた場面でカウントを悪くすると、狙われていると分かっていても真っ直ぐを投げ込まざるを得ず、痛打されるシーンも見受けられました。こういった投手には横のカット系を勧めたくなりますが、勝野はカットを投げません。カットの延長と言えるスライダーも再現性に難があることを見ても、勝野はカットスライダー系が苦手なのでしょう。昨季フォークの大小を投げ分けてゾーン内スプリットでカウント管理という、カット系を投げるよりも断然難しそうな芸当を披露していたことからも、勝野の才能がフォーク系に尖っていることが伺えます。

ただ、そうは言ってもフォークスプリット系のグラデーションのみではここから先発としてのレベルアップは難しいでしょう。平凡な球質で、投球割合は少なくても良いので、カットボールがあるだけでも価値があるのではないでしょうか。ゾーン内で右打者からは逃げる、左打者には食い込むカットボールを意識させれば、真っ直ぐで差し込むシーンが増えると思います。

また、別プランとして、リリーフに回るというアイデアもあります。「先発よりもリリーフが苦しいチーム状態になる」、「リリーフに回り全力投球することで球速、球威が上がる」という条件を満たした場合にはなるでしょうが、アリだと思います。フォークの投げ損ないが少なく精神的なタフさも見える勝野はタイトな展開でも輝く可能性を持っています。リリーフ転向により球威の増した速球で押し込み、勝負所ではフォーク多投でチャンスを与えない。オーソドックスなセットアッパーとしての活躍も見てみたいと感じます。

↓角度ある秀逸なスプリットは低めに決まる確率も高く最大の武器です。


➃ 清水達也

2021成績 1登板1先発 0勝1敗 投球回4 防御率2.25

飛躍を期待された昨季はオープン戦で奮わず開幕を二軍で迎えると、肘痛もありシーズンのほとんどを二軍で過ごしました。唯一の一軍登板でも4四球を与え4回で降板と、不本意な一年間となってしまいました。それでも仁村前二軍監督や正捕手の木下拓哉が太鼓判を押したポテンシャルに疑いの余地はありません。スピードの乗ったストレートによってより活かされる落差の大きいカーブとスプリットは絶品で、今季の先発ローテーション定着に期待がかかります。

課題としては梅津と同じく制球と球種構成。制球が突然劇的に改善するとは考えにくく、真っ直ぐは適度に荒れながら変化球は高確率で低めに決まる状態がひとまず目標でしょうか。

球種構成は、やはりカット系。制球を乱しカウントを悪くすることの多い清水は特に、ゾーン内に投げられる変化球は必須。強度のあるツーシームを習得できるなら、それでも良いかもしれません。

↓清水のスプリットもまた優秀。カーブはそれ以上にインパクトがありますが、丁度良い公式動画が見当たりませんでした。


⑤ 京田陽太

2021成績 113試合 448打席 打率.257 3本塁打 24打点 6盗塁 OPS.618

故障離脱なく最前線で戦い続ける内野の要として既にチームに欠かせない主力である京田ですが、今季は打撃でも存在感を増してほしいです。中村紀洋コーチの指導で、早めに高いトップを作り二度引き防止のフォーム改造を施して迎える今シーズン。直球キラー+ハイボールヒッターといった性質を持ってくれれば、多少スタッツが伸び悩んでも打線の中で役割が持てそうです。

アベレージよりも長打方面に才能がありそうな京田には、三振を恐れずハードヒットにこだわってほしいです。HRは10本程度打ってくれれば大満足ですが、2塁打3塁打は量産してもらいたい。真ん中~外角高めのボールは、球種問わず片っ端から右中間を突破するイメージを描いています。具体的なスラッシュラインとしては、2021年の松原聖弥の.274/.333/.422/.756。この辺りに届くと、2023年のWBC出場も視野に入ってくるでしょう。

↓現時点では手の伸びるコースにドンピシャでタイミングが合った時しか長打が出ませんが、飛ばす才能は充分にうかがえます。


⑥ 石川昂弥

2021成績 出場なし

二軍戦の死球による骨折もあり、一軍出場0に終わった昨季と違って、今季は出場機会を積めるシーズンになりそうです。立浪監督は2B高橋3B石川のフォーメーションを理想と明言。オープン戦である程度結果を残せば開幕スタメンを勝ち取れることが濃厚で、そのまま一軍定着、更にはレギュラー獲りへの期待が高まります。

石川の打撃の中でも特筆すべきは内角捌き。腕をたたんで引っ張り込みHRにする姿は清原和博と被ります。更には速球にヘッドを効かせて叩く打撃、変化球にやや抜かれながらも前で拾う打撃も備え、はっきりした弱点は見当たりません。打率だけなら今季にもまずまずの数字を残す可能性もありそうです。将来打線の中心に据わることが宿命づけられた石川の、実質一軍一年目から目が離せません。

↓低めのボールには縦に回る、引き出しの多さが石川の凄みです。


⑦アリエルマルティネス

2021成績 48試合 94打席 打率.244 2本塁打 7打点 OPS.657

昨季は故障離脱や木下拓哉の正捕手定着により思うように伸ばせなかった出場機会ですが、今季はコンバート予定。このまま新外国人野手を獲得しないのならLFレギュラー争いの本命であることは明らかで、アリエルの定着がオフェンス面の最大の伸びしろと言えるでしょう。

彼の強みは綺麗で強いスイング。更にスイングを途中で止める器用さに優れ、選球眼も高水準です。得意ゾーンを仕留め続けてOPSを稼ぎ、ビシエドの前の打順で返す返るを両立してもらいたいところです。

弱点としては高め、速球対応。軸足に体重をかけたアッパースイングはOPS稼ぎには適していそうですが、三振や差し込まれるシーンは多くなります。右手を被せるようにして前で捉えるスイングも併用できれば、コンタクト率、打率の向上に加えて通算203打席で僅か1本しかない引っ張り方向へのHRも増えるでしょう。

↓まずは得意な低めの変化球を広角にかっ飛ばしてもらいたいです。




FAやトレードでの大型補強が困難なNPBにおいて「育成の年」というフレーズは単に戦力不足を誤魔化しているだけのようで、好きではありません。ただ、今季の中日がそういったシーズンを迎えようとしているのは明らか。こうなった以上、彼らを筆頭に多くの選手がステップアップを遂げ、近い将来の優勝を少しでも現実的なものにしてほしいものです。

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