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仕事に役立つアウトプット法とは?『自分を育てる「働き方」ノート』著・池田紀行さんに聞く、noteとTwitterの活用術

「noteとTwitterでつくる新しい企業コミュニケーション 実践編」イベント。今回のゲストは、『自分を育てる「働き方」ノート 残酷な働き方改革の時代を勝ち抜くための武器』(WAVE出版 刊)の著者・株式会社トライバルメディアハウス 代表取締役社長 池田いけだ 紀行のりゆきさんです。

池田さんは、ソーシャルメディアを活用したマーケティングの第一人者でもあり、自らnoteやTwitterでアウトプットを続けている経営者でもあります。そんな池田さんに、書籍の概要に触れていただきながら、noteやTwitterを活用したアウトプット法についてお聞きしました。

※この記事では、「X」の表記をシリーズタイトルに合わせて「Twitter」とします。


指導してもらえる環境は減少、自分で成長するしかない

——池田さんはこれまで著書を多く出されていますが、今回の『自分を育てる「働き方」ノート』はどのようなきっかけで執筆されたのでしょうか。

池田 僕は20代のとき、「自己啓発オタク」を自認していたんですよね。週に1回は書店に行って、自己啓発本を買い漁っていました。当時、書店にあった自己啓発の本をあらかた読んだのではないか、と思うほど本を読むことが大好きだったんです。

いつか自己啓発でもらったパワーとエネルギーを次の世代につなげたい。書く側に回りたいと思っていて、その夢が叶ったのがこの本でした。

池田紀行さんのイベント時のお写真
池田紀行さん
株式会社トライバルメディアハウス 代表取締役社長

池田 本を書くにあたって、一番の問題意識は20代の転職者が増加傾向にあることでした。昔は「残業代が出ない」や「長時間労働で大変だ」といった「不満型の転職」が多かったそうです。

最近は時代も変わり、残業代も出て、長時間労働も禁止という会社が増えています。環境としてはホワイトになったわけですが、その中で「(ホワイトすぎる会社にいて成長できず)自分の将来は大丈夫なんだろうか」という「不安型の転職」が増えているそうです。

20代転職決定者の推移

池田 僕自身、転職を4回して34歳で現在の会社を立ち上げているので、転職自体が悪いことだとは思いません。ただ、多くの人が「このままでは不安だ」と、口を揃えて転職している。でも不安だから自分で何か行動しているのか?というと、そうは見えないんです。

また、最近ではパワハラなどの問題もあるため、昔のように本気で叱る上司も少なくなってきています。せっかく入ってきた新入社員も2、3年で辞めるのであれば、本気で指導する上司や先輩も減ってしまいますよね。このような時代背景もあり、20代にとって教えてもらえる環境が減ってきている。であれば、自分で成長するしかないわけです。

そこで「圧倒的な努力をしない人間は一流にはなれない」といった僕の持論を、ある種の昭和の価値観をバリバリ出して伝えてしまおうというのが今回の本の趣旨でした。

楽に成果が出る「魔法の杖」はない

池田 『自分を育てる「働き方」ノート』は「働き方」についての本ですが、まず働くことの前に、「人はなぜ生きるのか?」というシンプルな問いが自分の中にありました。僕の答えはシンプルで「人の役に立って幸せになるため」なんですよね。

幸せについて曖昧に考えている人も多いですが、たちばなあきら さんの『幸福の「資本」論』(ダイヤモンド社 刊)という本では、人が幸せを感じるのは「社会資本」「人的資本」「金融資本」の3つの要素だと紹介されています。そのうち2つの資本が満たされていると、人は幸せに感じる傾向があり、1つだけだと幸せを感じづらいそうです。

確かに「金融資本」はあるけれど、人とのつながり「社会資本」が欠けていると、幸せを感じづらいですよね。

幸福な人生の3つの要素と土台
出典:橘玲著『幸福の「資本」論』あなたの未来を決める「3つの資本」と「8つの人生パターン」

池田 僕は幸せになるために仕事をしているわけですが、中でも「収入」「スキル」「健康なメンタル」「仕事や会社の選択可能性」という4つの要素を重視しています。ただ、これらはすべて結果であって、直接コントロールすることは難しい。

人の役に立ち、幸せになるには

池田 収入やスキルなどをより良くしたければ、その過程で時間やお金の使い方を見直すほかありません。つまり、「できていないこと(アウトプット)」をできるようにするためには「努力する(インプット)」しかないのです。

世の中には「誰でも、簡単に、努力せず、すぐに、確実に、成果が出る」といった話が書店でも、Twitterでも聞こえてきます。ただ、そんな「魔法の杖」なんてないんですよね。だから、楽に成果が出る方法を探すのではなく、愚直に目の前にあることをやりきることが大事だと思っています。

素直な人間ほど成長スピードが早いワケ

池田 もし自分が思い描く理想、幸せになりたいという願望に対して、現状が程遠いのであれば、ギャップが生じます。このギャップ(問題点)を解決しなければ、理想に近づくことはできません。先ほどの話でいえば、これは「できていないこと(アウトプット)」なので、何かしら「努力する(インプット)」必要があります。

この問題点をインプットで解決しようとするとき、「コントロールできるもの」と「コントロールできないもの」の2つに切り分けることが重要です。自分でコントロールできないことは悩んでも仕方がない。これを認識できれば、自分の努力で変えられることだけに集中できるでしょう。

現状を変える方法

池田 また、コントロール可能なものにも「すぐに成果が出るもの」と「すぐに成果は出ないが長期的に効いてくるもの」の2種類があります。この両方をバランスよくやっていくことで、コントロール可能な問題点を解消していくことができます。

具体的に、インプットとは「時間とお金の使い方」です。時間はすべての人に平等に割り当てられているので、「この時間をどのような意識で配分していくのか」に尽きると思うんです。書籍では「時間とお金の使い方」を「仕事への向き合い方」と「自己啓発」の2つに分解しています。

仕事への向き合い方は、一言でいえば「守・破・離」に徹すること。先人の叡智を学んで、完全にコピーをしてから自分らしさをつくり始めるべきなのに、早々に「破」をしたがる人がいます。

これは効率が悪いということはもちろんですが、それ以外にも例えば、新入社員に何か教えている時にたびたび「この仕事ってやる必要があるんですか?」と、聞かれると面倒に感じてしまうこともありますよね。上司や先輩も人間なので「わかりました!期日までに仕上げます!」という素直な人の方が可愛いんです。素直な人の成長スピードが早い理由は「守・破・離」のレールに乗っているから効率的ということだけでなく、先輩や上司から目をかけてもらえ、多くの時間を割いてもらえることも大きな要因なんです。

読書内容をnoteに「抽象化」して書く

池田 僕は「累積矢面やおもて時間」も成長するうえで重要だと思っています。「累積矢面時間」とは、後ろを振り向いたときにもう誰にも助けてもらえない、「自分が最終責任を持って仕事をしている時間」を指します。

例えば、お客さまとの会議で先輩の隣に座ってパソコンを眺めているだけでは、何時間働いても成長できません。しかし、自分1人でお客さまに説明する必要があるとなると、質問に答えるために資料を読み込んだり、勉強したりしますよね。このように「自分ゴト化」をしながら働いた矢面時間の累積でしか、人は成長しないと考えています。要は、圧倒的な当事者感です。

可能であれば「今日自分はどれだけ矢面に立ったのか」を日記に書いてみてください。仮に「0分」と書く日が続けば成長していないと考え、仕事の仕方を変えたほうがよいと僕は判断します。

(左)モデレーターの徳力 基彦さん(右)池田紀行さん

池田 次に「自己啓発」についてです。「King of 自己啓発」は、やはり読書だと思います。兎にも角にも本を読んで欲しい。課題解決のためにビジネス本を読むと思いますが、ただ本を読むだけでは成長できません。本を読んで「よくわからないけれど読み終わった」という状態では、自分で咀嚼して吸収できていないわけです。

本当に吸収するには、読書をしたらそれを「抽象化」してnoteに書くこと。読書感想文のように「この本の論点はこうです」のような書き方では意味がありません。そうではなく「この本は、実はこういうことなのでは」と、言語化をしていくと、自分の血肉になりやすいと思います。

最後にセルフモチベーションについてです。時々「上司に叱られてモチベーションが下がった」という言葉を聞きますが、僕は違和感があります。モチベーションって、いつから人に上げてもらうものになったのでしょうか。

仕事をしていると、モチベーションが下がることもあります。ただ、自分のモチベーションが下がってきたら、自分で補充してあげなければいけない。僕の場合、自分に補充してあげるのは「映画」です。いくつか気分がアガる映画シリーズを用意していて、それを観て「よし明日も頑張るぞ」と、モチベーションを上げるのです。

甘いものを食べたり、海に行ったりしてもいいと思います。自分にとって「モチベーションを上げるガソリンは何か」を知り、適宜補充してあげることが大切です。

——今までnoteなどでアウトプットしていなかった人は、何から挑戦すればいいでしょうか。

池田 まずは自分が好きなことからはじめるのがいいと思います。好きなことに対しては、「なぜこんな状況なのか」と疑問や問題意識を持っていることが多いですよね。そんな自分の考えや意見をnoteにまとめて書いていくことが一番いい方法なのではないでしょうか。

また、「続けること」も重要です。自分の考えをnoteに書いて、第三者に読んでもらうことで、続けるモチベーションにもつながります。

そのため何からはじめてもいいんですが、振り返ることが大事です。もし自分の書いた記事が人に読まれなかった場合は、「なぜ読んでもらえないんだろう」と振り返ってみてください。読まれないまま書き続けていても「書くこと」「更新すること」が目的化してしまい、成長にはつながりません。

——インプット側もサイクルを回すけれど、アウトプット側も振り返ってサイクルを回すのですね。そのときにTwitterはどのように活用すればいいでしょうか?

池田 Twitterは自分のアウトプットしたものが、みんなに興味を持ってもらえるかどうかを判断しやすくしてくれます。

読まれる記事は、基本的にその記事の関連ツイート数に比例しているんです。色々な人たちが、色々な文脈で「この記事はここがよかった」「ここが参考になった」と言及するような記事が結果的に伸びるんです。

noteを一生懸命書いても、1日1本、月30本も書けたら多いほうですよね。これがTwitterであれば、1日10ツイートは可能です。自分で仮説を作って「みんな、これに興味あるんじゃないかな?」と、ツイートしてみる。ツイートに反応がなければ、noteに書いても関心がない。逆に反応があるものは、みんなが関心のあること。そのようにTwitterを活用していけば、noteを書くテーマの選択精度が上がるはずです。

——最後に今日から取り組めることとして、ヒントを1ついただけますか。

池田 まずはいますぐnoteのアカウントを作ることですね。

「やりたい人は1万人、やる人は100人、やり続ける人は1人」なんです。みんな「やりたい」と言いますが、本当にやる人は1%しかいません。

みなさんがいますぐはじめれば1%の100人になれるし、やり続ければ0.01%の1人になることができます。ぜひ実行してみてください。

——本日はありがとうございました。

※敬称略

▼イベントのアーカイブ動画は以下からご覧いただけます。

登壇者プロフィール

池田紀行さん
株式会社トライバルメディアハウス
代表取締役社長

モデレーター 

徳力 基彦
noteプロデューサー

interviewed by 徳力基彦

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