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グラレコの解説noteをきっかけに書籍化。学びを発信し可能性を広げ続けるデザイナー・くぼみさん

noteで活躍するクリエイターを紹介する #noteクリエイターファイル 。今回は、グラフィックレコーディングを実践するデザイナーくぼみさんにお話を聞きました。

会議やワークショップなどで議論を可視化して、認識の共有や課題の発見を促すコミュニケーション手法、「グラフィックレコーディング」。

くぼみさんは、UI/UXデザイナーとして会社で働く傍ら、個人活動としてさまざまなイベントや対話の場でグラフィックレコーディングを実践。複雑な思考をシンプルなイラストで視覚的に表現する「ビジュアルシンキング」の研修や執筆も行っています。

noteでは、グラフィックレコーディングを学ぶ過程で得た気づき、伝わる絵や図の描き方を共有しています。

noteをきっかけに2020年8月、『はじめてのグラフィックレコーディング 考えを図にする、会議を絵にする』(翔泳社)が発売されました。

YouTubeでイベント動画を見続けてグラレコを猛特訓

くぼみさんがグラフィックレコーディングを始めたのは2018年の10月頃。UI/UXデザイナーとして、デザイン会社に勤めるくぼみさんは、会社が主催するワークショップでグラフィックレコーディングに出会います。

「面白そうだなとは思ったんですが、模造紙にペンで書くことに表現の制限を感じていました。ある時、自宅に眠っているiPadとApple Pencilの存在を思い出して、デジタルでならできる!と閃いて。たまたま行く予定だった対談イベントで、手元のiPadでグラフィックレコーディングを試してみたのが始まりです」

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「挑戦してみたらすごく楽しくて。描くことだけでなく、描いたものを参加していた人たちに共有したら喜んでもらえたことも含めて、楽しい、もっとやりたいと思ったんですね」

そこから1ヶ月もしないうちに、会社の先輩の紹介で、人前で仕事としてグラフィックレコーディングをする機会が訪れます。しかもイベントの開催は10日後。くぼみさんは、そこから毎日猛特訓をしたそう。

「もともと絵を描くことは好きでしたが、議論をリアルタイムで聞きながら、理解して誰が見てもわかるように可視化する力は鍛えていく必要がありました。行けるイベントにはリアルで参加して、YouTubeのイベントアーカイブを観て、実践して、周囲の人に見せてフィードバックをもらって、改善していく。10日間、その繰り返しで学んでいきました」

とはいえ、絵を描く力だけでなく、理解力、構成力…とさまざまな能力が必要なグラフィックレコーディング。独学ですぐにできるようになるものなのでしょうか。

「思えば、私はもともと文章を書くことが苦手で、仕事で自分のアイデアを伝えるときも言語化するのではなく絵で表現していたんです。『アイデアを素早く絵にするのが得意だね』と言われたこともよくあって。自分の得意なことに、こういう出口があったんだなあと気づかされた感じでした。もちろんまだまだ改善の余地はたくさんあって、学んでいる途中です」

noteが名刺代わりになって、仕事が広がる

くぼみさんがグラフィックレコーディングと同時に始めたのがnoteでの発信でした。

「noteは周囲で使っている人も多くて、気にはなっていたんですが、デザインの仕事はクライアントワークで守秘義務があるので、ポートフォリオをつくるのは難しくて。グラフィックレコーディングなら、ジャンルとして認知が高まっているけど、まだできる人も限られていて、私自身も成長過程にある。自分の実践と学びの過程をそのままシェアすることで、私も成長できるし、誰かの役にも立てるかもしれない。そう思って、noteでアウトプットを始めました」

始めてみると思わぬ反響と広がりが。noteをきっかけに、グラフィックレコーディングの仕事や講師としての依頼が舞い込みます。

「noteのデザイン公式マガジンにピックアップされて、自分ではリーチできない人たちに届いたことに驚きました。成功体験が得られたことで書き続けたいと思えた。人に読んでもらえなかったら、続かなかったと思います」

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「グラフィックレコーディングと一緒に、楽しくて続けていたら、『noteを見ました!』と依頼してくれる方が増えていって。noteが名刺代わりになっています」

講師として、芸術系大学の授業で「伝わる絵の描き方」を教えたときの内容をシェアしたnoteには大きな反響が。そして、このnoteから仕事の依頼が来ることも。

学ぶ、教える、アウトプットする、仕事が生まれる。noteを媒介することで、くぼみさんのグラフィックレコーディングの技術と活躍の場が加速して広がっています。

初の書籍執筆は、章の一部をnoteで公開しながら

書籍の執筆も、noteを媒介に広がった仕事のひとつ。グラフィックレコーディングを始めて4ヶ月。グラフィックレコーディングの入門書を企画し、著者を探していた編集者にくぼみさんのnoteが目に留まり、依頼が来ます。

「まだ始めたばかりだったので私でいいのかな?とびっくりしたんですが、『わかりやすかったので』と言ってくださって。成長過程にいる私だから書けることもあるかもしれないと執筆を始めました。とはいえ、文章を書くことは苦手な私が、仕事をしながら本を1冊書くことは今思えば無謀で、noteに助けられました」

くぼみさんは、最初に本の構成をつくり、章の中の一節をnoteの記事として、スケジュールを組んで執筆を進めました。

「書きやすいものからnoteに投稿して、ステップを小さくできたので精神的にも負担が軽くなりました。記事によって届く人や反響が違って、事前のリサーチにもなったし、私やグラフィックレコーディングの認知を広げることにもつながったかなと思います」

書籍=noteの執筆中、「自分を鼓舞するために書いた」という「noteを続けるために私がやっている3つのこと」はこちら。

「Twitterでネタを小出しにすること、書きかけ記事の公開予告で自分を追い込むこと、完成度8割で公開すること。今はこの3つに、Googleフォームをつくって、質問を募集することが加わりました。質問に答えるかたちだと、つまずきポイントがわかるので書きやすいんです」

本とnoteの連動で伝える、グラフィックレコーディングの醍醐味


本の執筆で意識したのは、noteと連動させること。古くならない情報は本に、新しく更新されていく情報はnoteに。本の中にもnoteに飛べるQRコードが掲載されています。

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「書籍は一度出版されると修正はできないけれど、noteは常に更新できます。たとえばiPadアプリの具体的な使い方は、本に書くとアプリがアップデートされた瞬間に古くなってしまうので、noteで読んでもらうように設計しました。ほかにも、本の中でワークの課題を出して、ハッシュタグで投稿してもらうことも促しています。私も含めて、仲間が見つけられると、学びの機会も増えていくと思うので」

noteではこれから、書籍に書ききれなかったこと、新しく更新された学びを書いていきたいと言います。

「何か新しいことを学ぶとnoteに書きたくなる癖が付いているので、noteに書きたいことはたくさんあるんです。

私はグラフィックレコーディングは言語の一つ、コミュニケーションの手段だと思っています。英語がカタコトでも伝わるように、絵が上手く描けなくても伝われば機能します。なので、もともと絵が得意な人だけでなく、会議やワークショップに参加する人みんなでグラフィックレコーディングができたらいいなあと。

特にオンラインでのコミュニケーションをビジュアライゼーションで加速することに興味がありますね。会社で実践して得た学びがあるので、noteで共有していきます」

書籍発売後も続く、くぼみさんのグラフィックレコーディングの実践と学びのアウトプットの循環。絵や図を介したコミュニケーション手法に興味がある方は、ぜひ、くぼみさんのnoteをチェックしてみてください。

■クリエイターファイル
くぼみ📙はじめてのグラフィックレコーディング

伝わる絵の描き方や図解のコツをわかりやすく解説。グラフィックレコーディングやビジュアルシンキングを実践。本業はUI&UXデザイナー。📙note書籍化!『はじめてのグラフィックレコーディング』 📕共著『アフターソーシャルメディア
note:@kuboasa
Twitter:@kubomi____

text by 徳 瑠里香 photo by 小島瑳莉



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