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noteとSpotifyの組み合わせで活躍の場を切り拓く。音楽家・齊藤耕太郎さんの「noteでのファンの巻き込み方」

noteで活躍するクリエイターを紹介する #noteクリエイターファイル 。今回は、音楽家のKotaro Saito(齊藤耕太郎)さんの登場です。

型やジャンルにはまらない多彩な楽曲を次々とリリースし、音楽配信サービスSpotifyの国内バイラルトップ(SNSで話題)50で1位に輝き、以降再生回数が300万を越える新進気鋭の音楽家。

アーティストを軸足に、CM音楽を制作するプロデューサー、音楽に関わる記事を執筆するコラムニスト、ときに大学の講義やセミナーに登壇する講師としても活躍しています。

インドの帰国子女で、元博報堂。音楽家として異色の歩みと多様な顔を持つ耕太郎さん。

noteでは、独自の音楽マーケティングの技法から、楽曲に込めた想いと制作秘話、才能に溢れる若手アーティストの発掘まで、音楽家・Kotaro Saitoの現在地を生のまま届けてくれています。

「編集部」があるnoteに救われた

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5年間勤めた博報堂から独立して、数多くのCM音楽を手がけ、オリジナルの楽曲をリリースするようになった耕太郎さん。

初のアルバムをリリースした2018年、「無名の個人アーティストがいかにして楽曲を聴いてもらうか」を徹底的に考えて実践。その切り口になったのが、キュレーション機能があるSpotifyと、noteの組み合わせでした。

「WEBマーケティングに詳しい友人にnoteを勧められて始めたいと思いつつ、何を書こうか迷っていたんです。その時にちょうど、Spotifyの公式プレイリストに自分の楽曲がピックアップされたので、そのために何をしたかをnoteに書いたら、編集部のおすすめにピックアップされて多くの人に記事を読んでもらえました」

Spotifyにおける日本のインディーズシーンを切り拓いたとも言える耕太郎さんのこのnoteは、今でも長く読まれています。

「その後、Spotifyに楽曲をアップしてnoteを更新することを繰り返していたら、Spotifyのバイラルチャートで1位になったんです。僕自身はもともとSNSが得意じゃなくて、フォロワーも多くなかったんですが、SNSで話題になった。プラットフォームでありながら、キュレーターがいるSpotify、編集部があるnoteの力に助けられました。フォロワーありきではなく、コンテンツありきで届く“Social”の本当の意味を実感しています」

以降、耕太郎さんは毎月楽曲をリリースし、その度にnoteを更新。2〜3時間ほどかけて、5〜6000字のnoteを熱量が高い状態で書き続けています。

「国内の自分のブランディングに関する発信は、noteを中心にやろうと考えています。noteはクリエイターへのリスペクトがあって、寄り添い方が半端ない。さすが編集者がいる会社だなあと思います」

noteは、自分の言葉で自分を知ってもらう場所

noteを書き始めてちょうど2年。「書くときに意識していること」を尋ねると、その変遷を教えてくれました。

「書き始めた頃は、いかに人が欲しいネタを書くかを考えていました。とにかく楽曲を聴いてもらいたいという気持ちが強かったので。何を切り口にして、どうやって自然に楽曲のリンクを貼るか、SNSの流入を増やすかを考えていました。まずは知ってもらうために、読んでもらいやすい方法論を中心に書いていましたね」

音楽のプレイヤーとしては珍しい、その文章力や論理的な思考は広告代理店の仕事で培った賜物。noteを書き続けるうちに“文章を書くことが好きだ”と気づき、書き方にも変化が生まれたと言います。

「半年くらい経って書くことが楽しくなってからは、悩みながら試行錯誤していることとか、自分のハートの部分を濃度として増やすようになりました。フォロワーが増えてきたこともあって、リーチ獲得目的で「本当の僕らしくない切り口」からシフトチェンジしたんです。ベネフィットを提供するだけではなくて、自分という存在を知ってもらってどんな曲でも愛してもらえるよう、もっとキモチの部分を出していこうと」

ずっと変わらず、書くときに意識しているのは「自分を主語にして語ること」。

「僕が書いているのは、知識や情報ではなく自分が経験したこと。実体験であれば自分にとっては真実だから。嘘はつきたくないし、発信に責任も持ちたい。自分を主語にして、自分の言葉で自分の論調を書いて伝えることが、価値ある時代になっていると思うんです」

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耕太郎さんはnoteをきっかけに、他の媒体へのコラムの寄稿や、大学の講義やJASRACシンポジウム、SOCIAL INNOVATION WEEK SHIBUYAなどへの登壇など、仕事の枠を広げ、自分を主語に語る場所を増やしています。

noteをファンベースに、顔が見える人とつながっていく

8月7日にリリースされたニューアルバム「VOYAGER」。CM音楽業界の巨匠、内山 肇さんとの共同制作で、コロナ禍の4月、緊急事態宣言の翌日から2ヶ月半かけて制作されました。

「僕も肇さんも乗りに乗っちゃって、昼夜問わず連絡を取り合って4月中に10曲ができたんですが、仕上げに2ヶ月かかりました。作り込めば作り込むほど、重なり合う楽器のほんの一瞬のことが気になってしまい、自分たちはこんなにも妥協ができないんだってことも思い知りました。でも、だからこそ自分たちにとって全くの妥協がない、作った本人たちにとっても希望であり未来だと思える作品ができたんです」

アーティストでありながらプロデューサーでもある耕太郎さんは、今回のアルバムを届けることを前提に、noteで「ファンベースを作っていきたい」と話します。

「『Spotifyで300万回再生された』『リスナーが累計100万人いる』と数を示されても正直、実感が湧かなかったんですよ。僕は音楽家としてもっと顔の見える一人ひとりとつながりたい。世界中に点在する100万人のうちの1~2%、つまり約1~2万人の方々と直接つながれたらファンベースは機能すると思うんです。まずは本当に一人ずつ、自分に興味を持ってもらって曲にたどり着ける設計図をnoteで作りたいと思っています」

その設計図としてたとえば、アルバムの発売前に「どうやって聴いてほしいか」を開示。

「どうやって買えるの?ってよく聞かれるんですが、僕はCDを出すつもりはないんです。であれば、サブスクリプションで聴いてもらえるよう、その仕組みがいかにアーティストにとって嬉しいものなのかについて書いています。アルバムを聴く下準備をしてもらうためですね」

「この甲斐あって、これまでのリリースで声が届かなかったApple Musicのキュレーターの皆さんにも僕らの楽曲の魅力が伝わったのか、リリース前から新作ラインナップの中に入れてもらうことができました。このことは更にメジャーになれれば些細なことかもしれませんが、今の僕にとってはリリース前から多くのファンの皆さんが期待を寄せて事前予約をしてくださったことを肌で感じられ、本当に嬉しかったです」

ファンベースを広げながらも、数字ではなく顔の見える一人ひとりとの関係性を深めていく施策も。

「これまでnoteにコメントをくれたり、Twitterでシェアをしてくれている方にnote上でお礼のお手紙を書きました。彼らには僕から直接連絡させてもらって、リリース前に最高音質のVOYAGERの楽曲たちを直接お届けしました。今後、オリジナルで製作したTシャツをプレゼントしたいと思っています。今この時期にファンになってくれる人は本当に貴重。いつかライブをしたとき、その時期のTシャツを着てくれている人を見つけられたら、僕らが皆さんのことを認識できるじゃないですか。そこで、より強い絆が生まれるから」

「作るものをリスナーの方々に寄せるんじゃなくて、作ったものを好きでいてくれる方々に寄っていく。インターネットやSNSを通してもリアルと同じように、一人の人間同士で血の通った関係性が築けるということをnoteが教えてくれました」

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今後、耕太郎さんはnoteで自分が注目しているアーティストを紹介するマガジンを始めることや聖域である自身の楽曲制作論を有料で展開すること、そして2020年秋頃からスタートする、世界中で今やトップスターとなったアーティストたちを発掘し紹介してきたアートカルチャーホテル「aloft(アロフト)」の東京進出をキュレーターとしてサポートするそう。

*アロフト東京銀座(オープニングイベントはGQとのコラボレーションにて配信)

音楽家・Kotaro Saitoの進化をリアルタイムで目撃できるnoteをお見逃しなく。

そして、新アルバム「VOYAGER」は、ここから聞くことができます。

■クリエイターファイル
Kotaro Saito / 齊藤 耕太郎

2020年8月7日(金)アルバム「VOYAGER」リリース! https://friendship.lnk.to/VOYAGER / サブミット、楽曲制作、出演や取材のご依頼はWEBSITEへ → https://www.kotarosaito.com/
note:@kotarosaito

text by 徳 瑠里香 photo by 平野太一


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