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noteはWEB版のPR誌。早川書房の編集者が、noteを使って担当書籍を売り込む理由 #noteクリエイターファイル


noteで活躍するクリエイターを紹介する#noteクリエイターファイル。今回登場するのは、早川書房の書籍&雑誌コンテンツを配信する「Hayakawa Books & Magazines(β)」です。

ミステリ・SF・ノンフィクションを中心に出版する早川書房。2017年末よりnoteを始め、書籍や雑誌の試し読みから、キャンペーンのお知らせ、オリジナルグッズの販売まで、さまざまな情報を更新してくださっています。2019年6月現在、noteの記事数は600以上、フォロワーは4万人超え!

一企業として、どんな風にnoteを活用しているのか。早川書房執行役員・山口晶さんとS-Fマガジン編集部の溝口力丸さんにお話をうかがいました。

編集者が担当書籍を売り込むWEB版PR誌

ーー noteはどうやって運用されていますか?

山口 本や雑誌を担当している編集者全員で、noteの担当者がいるわけではなく、誰がいつ記事を更新してもいいことになっています。

溝口 自分が担当した本を宣伝するために、あとがきを載せたり、レビューを転載したり、著者インタビューを行ったり、各人の裁量でnoteを活用しています。

山口 やるかやらないか、記事の内容も、編集者の自主性に任せていて。アップされた記事を読んで、誤植があれば指摘するなど、自然と集団的に校正がなされていますね。

ーー 特にルールはないですか?

山口 あるのは、政治・宗教・差別に関することは載せないという最低限のルールのみですね。更新の頻度や時間にも決まりはないです。

溝口 更新する時間帯は、色々試した結果、反響にそこまで大きな変化がなかったんです。一番効果がある偶発的な拡散は、型をつくって守るだけでは生み出せない。

ーー noteとTwitterの連携はどのようにされているんですか?

山口 Twitterは5人で週替わりで担当しています。1週間担当すれば、次に順番が来るのは約1ヶ月後。会社として宣伝アカウントばかりをツイートするのではなく、読んだ本や観た映画など、個人として担当者の個性を出すようにしています。

溝口 Twitterもnote同様、1日何回つぶやくとか、この時間に投稿するとか、特にルールはありません。個性を立てたツイートもしますが、基本的に社内SlackのSNSチャンネルに寄せられた編集者からの文面を機械的にあげています。

山口 noteもTwitterも義務にはしていません。でも、編集者はみんな、自分がつくった本を少しでも多くの人に知ってもらいたいですから。やらない手はないですよ。

出版社は昔から、書籍を紹介する「PR誌」を制作して印刷して書店等で無料で配っています。我々にとってnoteは、編集者が書籍を売り込む「WEB版のPR誌」と言えますね。

電子書籍のコンバージョン率は20%超え。企画の種や売り上げにつながったnote

ーー社員のみなさんが自主的かつ積極的にnoteを活用する現在の体制ができるきっかけがあったのでしょうか?

山口 noteを始めた頃、ジョージ・オーウェルの『一九八四年』を無料で一部掲載したら、反応がよくて。売り上げも伸びました。話題になる記事が出てきて、社内でやりたいと手が挙がるようになりました。それまでは、他社媒体に声をかけてプロモーションをしていたので、自社でできたらいいよね、と。

溝口 ちょうど同じ頃、原尞さんの『それまでの明日』のプロモーションとして、デビュー作『そして夜は甦る』を全文掲載したnoteも盛り上がっていましたね。

ーー 最近、S-Fマガジンより転載された小野美由紀さんの『ピュア』が話題になっていましたね。

溝口 現在15万PVですね。私が担当しているのですが、S-Fマガジンのメイン読者は30〜60代の男性なんです。『ピュア』のメイン読者は女性になるので、noteで公開する時が本番だと思っていました。実際に、Twitterで『ピュア』を拡散したツイートでアンケートをとってみたところ、600人の回答者のうち8割が女性でした。

ーー ほかに手応えを感じた事例はありますか?

溝口 宮澤伊織さんの新刊発売を記念して、SFセミナーでのインタビュー「百合との遭遇2018」採録を公開したnoteも17万PVを超えました。

この記事の反響は企画の種になって、S-Fマガジンで「百合特集」を組んだら、予約が殺到し発売2週間前に在庫が切れて重版がかかりました。企画に対して読者がどれだけいるのか、「人気投票」ができるのもよいですね。

編集部注 : その後、ハヤカワ文庫JAより百合SFが一挙刊行しました

山口 あと、電子書籍のセール告知はすさまじい効果がありますね。セール中の海外SF300点以上を一覧にしたnoteはコンバージョン率20%超えです。 記事を読んだ人の2割以上が購入してくれました。

紙とWEBそれぞれの特性をいかしてコンテンツを表現

ーー noteを更新する上で、意識していることはありますか?

溝口 タイトルとサムネイル画像です。S-Fマガジンは、SFが好きな人たちに向けた雑誌なので、noteに転載する時は、もっと間口を広くできるように、タイトルは必ず変えています。画像も書籍や雑誌では基本的に縦向きなので、note画像の横向きにハマるものを選ぶか、元データからつくるようにしています。

文字量は、WEB上では、1記事3000字程度で分割した方がいいとも言われますが、我々は、できる限りまとめて伝えるようにしています。『ピュア』は24000字ありますし。

山口 半年に1回、SNS会議をしているんですが、前回の会議で、短い記事が主流なら、我々はあえて、長い記事を投稿しようという話になったんです。社是である「ONE AND ONLY」のもと、みんながやらないことをやろう、ということで。

ーー これからやっていきたいことはありますか?

溝口 WEB上で、ちゃんと読まれて、著者にもお金が入ってくる仕組みをつくっていきたいです。

山口 noteで有料記事の配信にも挑戦し、手応えを感じました。

最近は、著者に原稿料を払って書評を書いてもらったりもしていて、無料記事に対しても読者からサポートをいただいたりすることもあります。WEB上のコンテンツからも、著者への収益があげられるモデルを探っていきたいと思っています。

溝口 その他に新しいこととしては、音声や動画にもチャレンジしてみたいです。もっと読者と連動して、作品の感想が随時更新されていくファンサイトのような場所をつくることができたら面白そうだなと思います。

山口 早川書房は出版社としても、ジェネラルに広い読者に向けてではなく、SFファンをはじめコアな読者と深くつながりたいと思っています。まだまだnoteを活用して、できることはありそうですね。

■クリエイターファイル
Hayakawa Books & Magazines(β)

早川書房の書籍&雑誌コンテンツをお届け。キャンペーン、著者紹介、目録のアップも。公式ホームページは、http://www.hayakawa-online.co.jp/
note:hayakawabooks.com
Twitter:@Hayakawashobo

text by 徳瑠里香 photo by 平野太一
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