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わたしは好き。字を書くこと。でも。

一、二年生の漢字のお手本を書かせていただいていた。かなりじっくりゆっくり、真剣に。そして、たまにわざわざ子供達の前で書いたりしていた。
「丁寧に書いてね」って、どれだけ口で言ったところで、実際にどういう風なのか見せないとわかってもらえないから。字を書くそんなわたしの姿を、子どもたちは興味津々で見ている。わたしも、インスタなどで『文字を綺麗に書く動画』などを見るのが好きだけど、きっと彼らも同じ感覚なのではないかな。
まぁわたしは素人だから、ちょっとでも気に入らない線があったらすぐに書き直す。すると、周りで見ている子どもたちは口々に「えっ⁈なんで消しちゃうっの⁈そんなの全然気にしないよ〜。先生上手、大丈夫だよ〜。」って言ってくれる。その度に心の中で「イヤイヤ、これはお手本だから。」と思いつつ、可愛くて、笑えて仕方がない。

「先生なんでこんなに上手に書けるの?」って何度も聞かれている(子どもの目からすると、わたし程度の字でもとても上手に見えているのだ)。その度に「字を書くのが好きだから。」とか「字を書くのが趣味だから。」って答えている。「たくさん練習したから」とは、自分からは言わない。聞かれたら、「いっぱい練習したよ‼︎好きだから。」とは答えるけど。

本当はこう思っている。
字を書くのが好きな子は、勿論字を練習して上手くなれば良いんだよ。でも、嫌いなら別にそれで構わない。手書きの時代じゃないのだから、字が下手だって読めれば全然問題ない。わたしは実際、かなり真剣に書いてるからわかるんだ。子供にとってこの宿題が、どれほど大変なことか。大人の、しかも字を書くのが好きなわたしにとってすら、丁寧に書くのはかなり消耗する。
子どもにはいろんなことが大人の三倍以上の負担になってると聞く。だから1ページ書くのだって、すごくすごく大変だろうね。
わたしは好きだから練習した、ただそれだけ。みんながみんな、一律にいろんなことを全部できるようになる必要なんて、ない。字を書くのなんて、今の時代は趣味の範囲のことがらだ。字を覚えさえしたら、それ以外の時間はのんびり雲でも見ていてくれたらな…って思うのだ。そして、それぞれに好きなことを、いっぱい練習して楽しんで欲しいなぁと。

ゆっくり、じっくりとね。

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