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みんな「霊的に病んでいる」

これを読んでくれている人はたぶんビックブック(アルコホーリクスアノニマス)を読んで12ステップをやっている方が多いと思うので、くわしい説明は省きますが、「霊的に病んでいる」というのは「恨み」「恐れ」「罪悪感,、後悔」で自分の心がおおわれ、神(自分の理解する神、ハイヤーパワー)の導きが得られなくなる状態です。

施設で12ステップを学んでいる時、「霊的に病んでいる」という言葉とその意味を知ってうれしかったのを覚えています。自分がどうしてギャンブルを止めたのに、落ち着きがなく、イライラしているのか、そして仕事に行けなくなったり、妻と喧嘩したりするとスリップしてしまうのか、その理由が分かったからです。

自分がギャンブルをコントールできないギャンブル依存症だというのはわかりました。でも、それ以外にも自分は病気や障害があると思っていました。うつ病、双極性障害、回避性パーソナリティ障害、適応障害、発達障害…
ネットで調べては、どれにも当てはまるようで「自分の病気や障害は何なんだろう?」と悩んでいました(わかったところで、簡単に治らないとも思っていましたが)。でも「霊的に病んでいる」というのが一番しっくりきたのです。

施設に行って1か月くらい経った頃、僕は休職している仕事を止め、離婚して妻と3人の子どもたちと離れ、東京で一人で暮らしていこうと考え始めました。スポンサーには「具合の悪い時、人生にとって大事なことを決めるのはやめた方が良いですよ」といわれました。さらに回復(霊的変化・霊的目覚め)は自分の内側から起こっていくということも教わりました。

そこで、自分の外側(環境)を変えるのではなく、自分の内側からの変化を信じようと思い、自分から退職と離婚をするのはやめました。12ステップを学び、施設を終了すると地元に帰って元の生活に戻り、現在に至っています。

ステップワークをしてきてだいぶ楽になりました。でも、今でも自分が「霊的に病んでいるな」と思う時があります。僕は30年近く人と関わる仕事をしてきました。職場には冷静で理性的な道徳的に優れていると思える人が多く、霊的に病んでいる自分にはこの仕事に向かないと思い続けていました。

最近リモートで何か月か「ビックブック・スタディ・ガイド・ミーティング」「宗教的経験の諸相スタディ・ミーティング」、AAや依存症のステップミーティング、依存症以外の人で同じ職種の人たちとのミーティングなどに参加してきました。そこで僕にとって大きなことを学びました。

依存症の人も、依存症でない人も、道徳的に優れているように思える人も、そうでない人も、どんな職業の人でも、老若男女、世の中すべての人が多かれ少なかれ「霊的に病んでいる」ということです。

「そんなことあたりまえだろ」と思う方も多いかもしれませんが、僕にとっては大きなことでした。依存症以外の人と、本音を聞くような付き合いをしてこなかったからだと思います。

自分だけが霊的に病んでいて、他の人より劣っているような感覚が僕にはありました。

人類がみな「霊的に病んでいる」なら孤独ではないし、「霊的に病んでいる」自分を許すことができると思いました。また「霊的に病んでいる」他の人にも寛容になれるとも思いました。

多くの人はステップなどやらず生活しているわけですが、僕は依存症なのでステップワークを続けていきます(うー、いつまでだろう?)。そして道徳家ではなく信仰者になりたいです。

これからは堂々と言います。「僕はまだまだ霊的に病んでいます。」
(意味が分かる人はかなり限定的だと思いますが…)














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